2015年5月23日土曜日

wilsonic works 48


5月20日、ココロオークションの初の全国流通盤シングル
「ターニングデイ|プリズム」がリリースされた。
前作『ヘッドフォンミュージック』に続き、
2曲のレコーディングにarmchair directiveとして参加した。

armchair directiveっていうのは、地方在住のアーティストと、
主にメールで詞、曲、アレンジのやりとりをし、曲を
完成させるためのアドヴァイザリーをする、という作業を指す造語。
実際のレコーディングには立ち会わない。

どんな感じで今回のレコーディングに携わったのか、
に関しても言及されているココロオークションのインタヴューがこちら。

そのインタヴューにも触れられているように、今回僕は
彼らの歌詞に関してはほとんど意見していない。
譜割りのこととか少し指摘した程度。
もちろん、基本ヴォーカル粟子くんの書く歌詞が
よく出来ているから、なんですけど。

僕みたいなノンミュージシャン系プロデューサーは、
結構歌詞のブラッシュアップに特化している人が多いんだけど、
僕はそういうタイプではない。

歌詞にももちろん目を向ける。
でもそれよりも「メロディと歌詞の関係」のほうが
重要だと思っているし、それ以前にメロディが良くなければ
どんな言葉を持ってきても個人的には面白くない。

過去に歌詞を共作したこともある。
そのときもストーリーやリリカルな表現は共作者にまかせ、
僕はメロディに馴染みのいい言葉を選んだり、
音階と仲の良いイントネーションを探したり、
というような感じだった。

あ。
これを読んでいるミュージシャン、シンガー・ソングライターの方へ。

よく、歌詞をギリギリまで決められず、歌入れ当日まで格闘する
人がいるけど、これは本当に止めたほうがいい。
最近は曲先が主流を占めているのでこういうことに
なりがちなのだが、良いことはひとつもない。

アレンジの前に歌詞があれば、勇壮な歌詞ををさらにドラマチックに
聴かせることが出来る。
事前に無いと、最終的にハッピーな曲なのに悲しげなアレンジに
してしまう可能性だって、無いとは云えない。
バンドのメンバーはその歌詞を知り、何かしら思いを演奏に反映させるだろう。
歌う人は、事前に歌詞を把握し、歌い回しなど、
練ってからレコーディングに臨めることになる。
歌詞は早めにあるに越したことはない。

ちなみに、先のインタヴューで、今回元々「プリズム」を
シングル曲として作っていたが、後から録った「ターニングデイ」
の出来が良いので両A面シングルとなった、という経緯が
話されているが、こういうことって実はよくある。
いろんな理由で。

スピッツでは「青い車 / 猫になりたい」がそうだった。

ディレクターの僕は、「猫になりたい」をA面のつもりで
制作していた。なのでジャケットもよくわからない
動物のようなもののオブジェをモチーフにしていた。

しかし、社内で「青い車」を大いに気に入った宣伝マンがいて、
彼が頑張って「青い車」でタイアップを決めてきたのだ。

結果、A面曲は「青い車」となり、このシングルは小ヒット。
シングル・チャート最高位は、その時点でのスピッツにとって
最高の27位を記録し、翌年のブレイクのための布石となった。

このとき、もし僕の目論見通り「猫になりたい」がA面に
なっていたら、その後のスピッツはどうなっていたのだろう?

そして、今回2曲を両A面としたココロオークションの今後は???

少なくとも、2曲それぞれが違うFMのパワープレイに
選ばれるなど、両曲共に評価されているのは狙い通り?

そして、当初2000枚限定を予定していたこのシングル、
予約が殺到して、このままでは店頭にほとんど商品が
並ばなくなる可能性が出てきたため、急遽枚数を限定3000枚に追加。
これもすごいお話。
期待値、どんだけなの。

毎回良い曲を丁寧に作って、誠意を持ってライヴを行い、
応援、協力してくれる人たちには感謝を忘れない彼ら、
そしてスタッフの頑張りが、この状況を呼んでいるのだと思う。

引き続き、armchair directiveとして関わり続けたいと思うし、
ゆくゆくは一緒にスタジオに入ってがっぷりやりたいとも願っている。

というわけで、ココロオークションの限定シングル
「ターニングデイ|プリズム」、店頭から消える前に
ぜひとも入手のほどを!

2015年5月16日土曜日

wilsonic works 47


5月13日、ウルトラタワーの2枚目のミニアルバム『bluebell』と、
初めてのシングル「希望の唄」が同時リリースされた。
両方とも、前作に引き続きがっつりとプロデュースに関わっている。

『bluebell』にも収録されている「希望の唄」は、
この4月から放送がスタートしたアニメ『食戟のソーマ』のオープニング・テーマ。
昨年11月から曲作りに着手し、年明けの1月いっぱい、
年末年始含めずーっとこのタイアップのことを考えていた。

この作業のすぐ後に、スピッツの「雪風」のレコーディングが
あり、なんかずっとタイアップ物件のことを考える日々だった。

タイアップというものは、音楽を作る側と音楽を使う側、
両方にとってメリットが無ければ成り立たない。
僕のような立場でディレクターやプロデューサーとして
関わっている人間は、両者の意図を理解して、
双方が望むことの最大公約数を見つけ、
いかにスムーズに最高の形に到達させるか、を考える。
それも、仕事のひとつ。

通常、フリーランスの立場で関わっていると、
クライアントとのミーティングにはなかなか立ち会えないのだが、
スピッツや今回のウルトラタワーの場合は、
ありがたいことに最初のミーティングから参加させてもらえた。
クライアントや監督の意図することを直接お伺い出来たので、
理解が深まり、仕事もしやすかった。

アニメ『食戟のソーマ』がスタートして以来、「希望の唄」の
評判は上々のようで、ホッとしている。
これまで、ウルトラタワーのことを知らず、このアニメで初めて
彼らのことを知った人が、「いい曲」と素直に反応してくれる。
タイアップの醍醐味だ。
これをきっかけにYouTubeを検索してくれたり、
CDを聴いてくれたり、ライヴに足を運んでもらえたりすると、さらに嬉しい。

ということで「希望の唄」のMVはこちら。
監督は、スピッツ「スパイダー」やセロファンのMVでも
お世話になった、井上強さん。
とても久しぶりだったけど、相変わらずのスタイリッシュな
作風にシビれました。

そしてミニアルバム『bluebell』。
前作『太陽と月の塔』の完成度を軽く凌駕したんじゃないかな、と。
「希望の唄」以外の曲の充実度、半端ないっす。
デビュー以降いろいろと体験したことが、
曲の深度に反映されている。
特に「春に残る雪」というバラードは、歌詞も曲も、その両方の
マッチングも、アレンジも歌唱も相当すごいんじゃないか、と思う。
ちなみに弦アレンジは前作に続いて棚谷祐一さん。

あまりに良い曲なので、この曲もMV作っちゃいましょうよ、
なんて冗談半分に云い続けていたら、
本当に作れてしまったのでびっくり。
強い音楽は人も予算も動かす、ってことですね。

というわけで、映画『FORMA』で世界に名を馳せた
坂本あゆみ監督による「春に残る雪」のMVはこちら。
曲の上に、撮影現場で録音した自然音などを被せた、
フィールド・レコーディング的手法を取り入れた、
日本ではあまり類を見ない意欲作。
ヴォーカル大濱の役者デビュー作でもあるので、
是非ともチェックのほどを。

あと、今回のアート・ディレクションとデザインは、
TLGFの河原光さん。
なんと、多分18年振りくらいにお仕事させてもらった。

数年前に河原さんがCENTRAL67の木村さんらと
三人展をやったときにお会いして、お久しぶりですーなんて
挨拶して以来、またいつか機会があればご一緒したいと思っていたのだった。
カメラは中野敬久さん。
彼ともお仕事は数年振り。
この二人のいろんなアイディアで、撮影は非常に楽しく、
マニアックなものになった。
ジャケットには、河原さんとメンバーとで考えた、
いろんな仕掛けがあるので、隅々まで目を凝らしてほしい。

というわけで、今回のウルトラタワー、音源のみならず、
ジャケットやMVなどのヴィジュアル周りも含めて、
全て竹内がトータル・プロデュースというものになっている。
こういう関わり方、元々メーカーでディレクターをやっていた
人間にとっては、とても嬉しいものなのです。

リリースを受け、続々とライヴも決まっている。
お近くでライヴがある際は、是非とも足をお運びください。
詳しいスケジュールは彼らのオフィシャルで。

2015年4月21日火曜日

wilsonic works 46


スピッツの約1年半ぶりの新曲「雪風」が、テレビ東京のドラマ24
「不便な便利屋」のエンディング・テーマとして、この4月から流れている。
4月15日にはiTunes、mora、レコチョクなどで配信がスタートした。
今回、この曲はCDシングルなどフィジカルの販売の予定は無い。
次のアルバムが出るときに収録されるかもしれないし、されないかもしれない。

CDとかアナログ盤とか、フィジカルでリリースされないと実感が無いし、
味気ないという意見がある。
世代的に僕もその意見はよくわかる。
例えば、1曲入りのワンコイン・シングルで出してほしい、とか。

そのためのジャケット・デザイン〜印刷、プレス、流通。
これらのコストを考えると、実は500円ではほとんど利益が出ない上に、
ユーザーにとっても「1曲で500円かよ」という割高感はあるのでは。
何か適当な音源をカップリングにして1000円で売る、というのも
ファンの皆さまに申し訳ないし、したくない。
それなら、欧米と比較したら少し高いけど、1曲約250円でDLする、
というのは悪くないんじゃないかと思う。

DLしたその瞬間からすぐに音が聴ける。
ジャケットの映像がPCや端末から楽しめる。
CDショップでCDを買っても、ポータブルCDプレイヤーが
無ければすぐには聴けない。
アナログなんて家に帰らなきゃ聴けない(それがいいんだけど)。

ちなみに僕の知人で、待望のCDをフライング・ゲットして、
どうしてもすぐに聴きたいので携帯CDプレイヤーをすぐさま購入した、
という猛者がいる。尊敬に値する行為だと思う。

僕の音源購入はCDがメイン。
ときどきアナログを買うし、DLもよく利用する。
iTunesやAmazonでしか買えない音源をDL購入することもあるし、
2010年からはBandcampのヘヴィ・ユーザーで、頻繁にDL購入している。
DL音源で困るのは、スタッフやミュージシャンのクレジットが
入っていないことが多いくらいかな。
あとはもう、全くストレスが無い。

しかしまあ、スピッツ・ファンの立場になってみると、
昨年の配信シングル「愛のことば -2014mix-」に続き、
フィジカル・リリース無し。
加えて前回書いた映画『横浜サンセット 2013 -劇場版-』も
劇場公開オンリーでDVD等パッケージの予定無し。
と立て続けの仕打ちとなってしまっている。
意図的なのではなく、たまたまなんですけどね。
いやもちろん、それぞれの対応は意味と必然があってのこと。
それぞれのコンテンツの最良の楽しみ方を考えての結論だ。

あ。

フィジカル・リリースが無いことで曲にたどり着けない
ケースのひとつに今、思い当たった。
基本的に音楽をレンタルCDで楽しんでいる人たちだ。
テレビでたまたま聴いて、スピッツの新曲をレンタルCDショップで
探したけど、無かったら、それっきりかもしれない。
ネットでググってくれるくらいの思いが無ければ。

産まれてこのかた、貸しレコードやレンタルCDを
利用したことが一度も無いので、考えが及ばなかった。

さて、「雪風」という曲に関して。
「不便な便利屋」の監督にして脚本も手がけた、“ミスター”こと
鈴井貴之さん(スピッツとは20年来の交流がある)からの依頼を受け、
ドラマのために書き下ろした、という経緯で出来た曲だ。
なので、ドラマの舞台となっている北海道の雪景色を
思い起こさせるワードが歌詞に織り込まれている。

リリカルなギターのアルペジオのスタートからして、
スピッツ印満載なイメージだけど、相当変わった構成の一曲だ。
まず、メロディがAとB(サビ)しかない。
それが2回繰り返されて、間奏なのか大サビなのか判然としない
マサムネによるひとり多重コーラス・パート(雪原の吹雪の音を
模しているようにも聴こえる)を抜けると、
静かなAメロに戻ってスッと終わる。
トータル3分ちょっとのシンプルにしてコンパクトな作品。

ちなみに、「不便な便利屋」のエンディングで流れる音源は、
サビ終わりの箇所をTV用に特別に編集したヴァージョン。
フルで1分15秒くらいあるのでなかなか最後まで流れないと
思うけど、回によってはフルでかかることもあるかもしれない
らしいので(つまり、毎回エンディングのサイズが違うということ)、
気になる方は毎回チェックのほどを!

p.s.
上記文章の最後のほうに「大サビ」というタームがありますが、
最近若いバンドと話しているとこの言葉が違う意味で使われている
ことが多く、話が通じなくなることが多い。

「大サビ」とは、英語ではbridgeとかmiddle eightと呼ばれる、
verse(Aメロ)でもchorus(サビ)でもない、基本的には
その曲の中で1回しか出てこないメロディの部分を指す。
多くの場合は2番のサビが終わってから、とか、間奏の後
などに登場する(大サビが登場しない曲も当然あります)。

っていうのが基本認識なんだが、最近のバンドマンは、
“最後にもう1回繰り返される、曲中でいちばん盛り上がるサビ”
を「大サビ」だと思っているようだ。
「大トリ」とか「大晦日」などの用法の転用なのかな?

だから最近は「大サビ」という表現をなるべく使わず、
曲の中に出てくる順番で、Aメロ、Bメロ、サビ(Cメロ)
があった上で「大サビ」が出てくるなら、「Dメロ」と
呼ぶようにしているのだが、なんか釈然としない。
釈然としないぞ。




2015年3月24日火曜日

wilsonic works 45


スピッツが2013年9月に横浜赤レンガパークで行った一夜限りのコンサート
“横浜サンセット2013” を映画化した『スピッツ 横浜サンセット2013 -劇場版-』が、
3月21日の横浜ブルク13を皮切りに全国で順次公開される。
3月28日からは、新宿バルト9で公開。

最近音楽と映画のコラボレーションが活発で、洋邦新旧問わず様々な
アーティスト、バンドの映画が製作され、公開されている。
このスピッツの映画には、ドキュメンタリー、密着、証言などは一切ない。
ただただ、当日の様子を出来る限り忠実に再現する目的で
つくられた「コンサート映画」だ。

たった一日限り、スピッツにとって16年振りの大型野外公演とあって、
約15,000枚のチケットに、何倍もの応募が殺到した。
プラチナチケットを手に出来なかったファンにとっては幻のコンサートだった。

2013年から2014年にかけて行っていた『小さな生き物』のツアー先の会場で、
僕の顔を知るスピッツ・ファンの方から、「『横浜サンセット』の商品化、
をお願いします」と懇願されたことも何回かあった。

しかし、この日のステージ、演奏や歌でいくつか大きなミスがあったのだ。
それがどうにも商品化という決断に至らなかった原因のひとつ。
曲をカットしたり、演奏を直したりということも、
このスペシャルなコンサートの意味合いからして考えられなかった。

昨年、『小さな生き物』のリリースに絡むツアーが全て終了した後、
横浜サンセットの映像素材をどうするかをメンバー、スタッフで考えた。
その結果が、
“ミスも含めてその日のそのままをノーカットでまるごと見せるコンサート映画”
という結論だ。
DVD、Blu-ray等のパッケージにはせず、劇場公開オンリー。
より詳しい経緯は、映画のパンフレットに様々なスタッフの
証言があるので、そちらを参照してほしい。

ところで。
前にこのブログでも書いたけど、映画における「ディレクター」は監督のこと。
この映画の監督は、スピッツのライヴ映像作品を多く手掛けている番場秀一。
僕がいつもスピッツの仕事でクレジットされている「ディレクター」
を使うと、監督と間違われちゃうので、この映画での僕の肩書きは
便宜上「サウンド・ディレクター」ということになっている。

こういうときのディレクターの悲哀と喜びについて記しておこう。

このような映画やDVDなど、ライヴ映像作品を作るとき、
僕は当日のステージの模様を生で観ることが出来ない。
横浜サンセットの当日も、僕は音中車(音声中継車)と呼ばれる車の中で、
録音されている音を、ステージの映像を観ながらチェックしていた。
ライヴ・レコーディングにおけるディレクターの仕事とは、こういうものなのだ。
つまり、僕はスピッツのこれまで商品化されたライヴ映像を、生で観たことがない。

ちょっと悲しいんだけど、考え方を変えたら、ライヴ会場の音ではなく、
クリアに録音されたメンバーの演奏をリアルタイムで聴くことが出来るのは、
エンジニアと音中車のスタッフと僕だけ。
なんという特権なんだ!(少し強がってます)

最後にまた映画の話に戻って。

これまで、スピッツのライヴ映像をVHSやLDを経て、
DVDやBlu-rayに定着させる作業を幾度となく行ってきて、
それなりのノウハウは経験してきたつもりだった。
でも、映画はそれらとは全く勝手が違っていた。

2月某日、出来上がった映画を深夜の映画館で、メンバーと共に
コンサート・スタッフや映画スタッフとチェックした。
意味合い的には「完成試写」くらいのつもりでいたのだが、問題勃発。
スタジオでは迫力ある音像だったのに、このとき映画館で流れた音は、
全くパワーが足りないものだった。
これではライヴを追体験する映画にならない。
音を作り直すことになった。

ミキシング・エンジニアやMAエンジニアによる試行錯誤と
ブラッシュアップの作業が毎日のようにあり、日に日に
音質は向上して行った
多くのスタッフのアイディアと惜しみない尽力のおかげで、
なんとか公開までに完璧な音像を作ることが出来た。
演奏だけではなく、映画の中の全ての「音」が生々しく響くものに。
映画(映画館)における音作りは、本当に奥深い。

ということで、『横浜サンセット 2013 -劇場版-』は、
映画館ならではの大画面と大音量でスペシャルなコンサートを
観るという、今までにない体験が出来る映画です。

お近くの映画館でかかったなら、ぜひ。

p.s.
『横浜サンセット 2013 -劇場版-』は、パッケージ化の予定はありませんが、
その後行われたSPITZ JAMBOREE TOUR 2013-2014 “小さな生き物” の
大宮公演を収録したライヴ映像商品、『JAMBOREE 3 “小さな生き物” 』が
7月1日に発売されることが発表されました。
映画に続き、現在これの編集やらトラックダウンなどの作業を進めている最中です。
ご期待ください。







2015年1月2日金曜日

wilsonic annual report 2014


昨年1年間の自分のことをまとめてみます。

まず、本業に関して。

その壱:2014年にリリースされた、竹内が関わった作品
(括弧内は役割&肩書き)

02月 岡本愛梨 mini album『敏感なアンテナ』(producer & director)
02月 岡本愛梨 download single「アタシ劇場」(producer & director)
07月 PERIDOTS album『TIMEPIECE』(director)
08月 ウルトラタワー mini album 『太陽と月の塔』(producer)
09月〜12月 平沢 進 リマスター&リイシュー企画全9w (supervisor)
10月 ココロオークション mini album 『ヘッドフォンミュージック』
   (2曲でarmchair directive)
11月 READ ALOUD (co-producer & director)
12月 The Beach Boys 『All Summer Long』『Smiley Smile』(liner notes)

仕事の内容は2013年と比べると仕事量は減っているが、
ヴァラエティとしては広がった。

ファンになって約10年、ようやくお声がけいただいた
PERIDOTSとのレコーディングはひたすら楽しかった。

9月からの平沢さん関連のリイシュー企画、
12月のビーチ・ボーイズのライナー執筆は本当に嬉しかった。

久々のarmchair directive仕事も楽しかったし、
新しいアーティストとの仕事は常に刺激的。

2015年はどんなアーティストとの出会いがあるだろうか。



その弐:2014年に購入した音楽

洋楽:721アイテム
邦楽:233アイテム

洋楽は順調に購入が減っている。
その分?、邦楽が2割増しくらい。
そして洋楽の購入はフィジカルが減り、ダウンロードが増えた。
DLは主にBandcampで。

昨年の年間報告で書いた、CD類の断捨離がより具体的に
なりそうな予感。
と言いつつ、宣言した書籍関連の断捨離もまだ済んでいない。

その参:2013年行ったライヴ、イヴェント数とアーティスト数

ライヴ・イヴェント:233
アーティスト数(のべ):804

イヴェント数は前年とそんなに変わらないが、
アーティスト数がめちゃ増えた。
サーキット型フェスやオムニバス・イヴェントに
たくさん出かけた、ということなのだろう。

そうそう、水口さんがキュレートするイヴェント、
“Beat Happening!” には時間が許す限りとにかく通った。
2015年も引き続き通う所存であります。


その肆:2014年に観た映画(映画館で観たもの)

2014年に映画館で観た映画の総本数は、258本。
またまた昨年より大幅に増えた。
暇だったんだよなー。
ホント、今年は真面目に仕事しようと思いましたよ。

以下、2014年竹内的良かった映画(鑑賞順)。
2014年日本公開の新作に限ってます。

【洋画20選】

『少女は自転車にのって』
『旅人は夢を奏でる』
『MUD -マッド-』
『なんちゃって家族』
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
『ダラス・バイヤーズクラブ』
『LIFE!』
『ダブリンの時計職人』
『ブルージャスミン』
『グランド・ブダペスト・ホテル』
『リアリティのダンス』
『ぼくを探しに』
『ソウォン 願い』
『365日のシンプルライフ』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
『物語る私たち』
『ジャージー・ボーイズ』
『アバウト・タイム 〜愛おしい時間について〜』
『ニンフォマニアック パート1』
『インターステラー』
『ゴーンガール』

【邦画10選+1】

『東京戯曲』
『小さいおうち』
『大人ドロップ』
『闇金ウシジマくん 2』
『サッドティー』
『滝を見にいく』
『劇場版テレクラキャノンボール2013』
『こっぱみじん』
『2つ目の窓』
『ほとりの朔子』

『おとぎ話みたい <ニューバージョン>』

マシュー・マコノヒーという役者の素晴らしさを実感し、
今泉力哉という監督の才能にようやく気づき、
沖田修一がやっぱり自分にフィットすることを確認した年だった。

キネカ大森の名画二本立てで観た『わたしはロランス』
には圧倒されたが、日本での初公開は昨年ということで、
残念ながら選には入れられなかった。

新作以外では、イエジー・スコリモフスキ、アレハンドロ・ホドロフスキー、
ジャック・タチ、フランソワ・トリュフォーらの作品をまとめて観る
機会に恵まれたのが何よりだった。
特にトリュフォー没後30周年の全23作品のうち、
17作を観た10月〜11月は、本当に充実していたなー。
つーかこの時期、何にも仕事してなかったなー。

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以上、2014 年の年間リポート。
2013年の年間リポートはこちら。



2014年12月2日火曜日

wilsonic works 44


好きだ好きだと云い続けていると、何かが起きたりするものだなあ、と、
感慨も一入な今日この頃。
なんと、明日12月3日に発売されるビーチ・ボーイズの紙ジャケ復刻
6作品の中の2作品の、ライナーノーツを書かせてもらった。

僕の人生の目標のひとつに、

“ビーチ・ボーイズの作品のどこかに、自分の名前がクレジットされる”

というものがあったのだけど、遂に達成してしまった。

リリース全体の内容はこちらを参照ください。
ビーチ・ボーイズの名盤6タイトルが、紙ジャケットでプラチナSHM、
SHM−CD、SACDという3フォーマットでリリースされる。
つまり、全部で18種類のディスクが出る、というわけです。
僕はこの中の『オール・サマー・ロング』と『スマイリー・スマイル』
の解説を担当した。

これまで、邦楽作品のライナーを手がけたことはいくつかあるが、洋楽は初めて。
しかも相手は世界でいちばん好きなアーティスト。
まさかこんな機会に恵まれるとは思ってもいなかった。
オファーがあったときは天にも昇る思いだったが、引き受けた
直後から地獄の日々が始まった。

考えれば考えるほど、文章が書けなくなっていくのだ。
そして、ビーチ・ボーイズのことを好きだ好きだと云いながら、
俺は全然ビーチ・ボーイズのことを知らなかったのだ、
ということに気づかされ、唖然とした。
これまで僕は浴びるようにビーチ・ボーイズの音楽に触れてきたが、
ホントにただボケーっ浴びているだけだったのだ。
他人にその素晴らしさを説明出来るだけの知識も見識も無い。
俺は30年間何をしてきたんだ、とマジ凹みました。

しかし、引き受けたからには自分にしか書けないものを、
と心を切り替えて今更ながらに猛勉強。
家にある膨大なビーチ・ボーイズに関する書籍、映像、音源を
(リーガル、イリーガル共に)改めてチェックし、曖昧な記憶を
訂正するなど、インプットに次ぐインプットに2週間。
その後1週間かけて2本の原稿を書き上げた。

この間、仕事に必要なこと以外、ビーチ・ボーイズ以外の音源を
一切聴かなかった。聴く暇が無かった。
一日中家に籠って何冊もの本を広げて音楽を聴き続けていた。
一度提出した後、3回も書き直したりして、ご迷惑をおかけした。

結果、今の自分に書けることは全て書き切れたと思う。
何より嬉しいのは、ビーチ・ボーイズへの理解がまた一歩進んだこと。
今まで「解説を書く」という姿勢で向き合ってこなかった音楽を、
違う角度から見つめることにより、見えていなかった側面が
浮かび上がってくるのだ。
30年以上聴き続けてきた音楽が、更に新鮮に聴ける歓び!
こういう機会を与えてくれたYさんには感謝しかない。

なお、今回僕が担当した2枚以外のライナーを書かれたのは、
漫画家でThe Pen Friend Clubという素敵なバンドのリーダー
である平川雄一さんと、小説家(BB5の「素敵じゃないか」
を主題歌とした映画『陽だまりの彼女』の原作者)の越谷オサムさん。
僕を含め3人とも音楽評論家ではない、というのが面白い。

お二人の文章、タッチは違えどそれぞれ行間からビーチ・ボーイズ
大好きオーラが出まくっていて、こちらも興奮してくる。
僕の文章がどう読まれるのか想像もできないけど、
これを読んで少しでもビーチ・ボーイズのことをより好きに
なってくれたなら、これ以上の喜びはない。

そして、これを読んでいる方で、まだビーチ・ボーイズを
体験したことがない、あまり知らない、というあなたに。

まあ、何から聴いてもいいんだけど、僕のオススメ。
まずは『オール・サマー・ロング』を聴いてみて。
ここで少しずつですが全曲試聴出来ます。

このアルバムには初期ビーチ・ボーイズのエッセンスが全て詰まっている。
これが気に入ったら、その前後の作品を聴いて、どちらの時代に
進むか決めるといい。
間違っても最初に『スマイリー・スマイル』はやめておきましょう。
自分でライナー書いておきながらナンですが、これは上級者用アイテムです。

というわけで、50年生きてきて初めての洋楽のライナーノーツを書いて、
ウカレている男の自慢話ブログでした。



2014年11月5日水曜日

wilsonic works 43


READ ALOUDの3rdミニアルバム『アカンサス』が11月5日に発売された。

今回はプロデュースが亀田誠治&バンド、僕は共同プロデューサー及び
ディレクターとして関わった。

よく、プロデューサーとディレクターってどう違うんですか?
という質問を受ける。

日本の音楽界では、プロデューサーは主にサウンド面のプロデュースを
指すことが多く、基本的にアレンジもプロデューサーが行うことが多い。
プロデューサー=音楽家、プレイヤーであるのが普通。

ディレクターは、通常レコード会社、レーベルの社員とか契約社員。
(元)ミュージシャンの場合もあるが、ノンミュージシャンの
人も結構いる。役割はいろいろだが、予算、スケジュールの管理などの
事務的な面と、楽曲のクオリティ・コントロールとか、ジャケット等
ヴィジュアル周りまで関わることが多い(『アカンサス』では
僕はヴィジュアルには関わっていません)。

映画界におけるプロデューサー(制作者)が音楽業界のディレクターで、
映画界のディレクター(監督)が音楽界ではプロデューサーと呼ばれている、
と考えると近いかもしれない。

僕の場合は、アーティストによって関わり方が違うので、
その都度肩書きを使い分けている。
今回のREAD ALOUDのミニアルバムでは、ディレクター的役割が
メインで、予算とスケジュール管理、楽曲の粗選びなどをやった。
アルバム全体の構想段階から関わって、詞やメロディ、
コードや構成などの詰めにも関与したため、共同プロデュースの
クレジットも入れてもらった。

実際のスタジオ作業は基本的に亀田さんとメンバーに全面的にお任せして、
僕はただただ“いい曲”が“もっといい曲”になっていくのを眺めていた。

エンジニアは僕が全幅の信頼を寄せる牧野英司さん。
マスタリングはバーニー・グランドマン前田康司さん。

前作から約1年半。これまでの蓄積と、全国を回るツアーで得た
感触とを上手く消化し、丁寧に時間をかけて作った楽曲たち
(今回はクワタユウキだけではなく、メンバー全員が詞曲作りに
関わっている)。
亀田誠治という新たなパートナーによって引き出された
READ ALOUDのプレイの魅力とクワタのヴォーカル力。
『アカンサス』は、今の充実したREAD ALOUDの姿が
余すことなく詰まっている傑作だ。

初監督映画『FORMA』も話題となった映像作家、坂本あゆみさんが
監督した「君の声を思い出す」のMVはこちら。

12月7日には渋谷クラブクアトロでのワンマン・ライヴも決定している。
彼らの音、映像、生演奏にぜひとも触れてほしい。

p.s.

バンド名のREAD ALOUDは、音読、声に出して言う、というような
意味合いだけど、彼らはそれを地で行くというか、何に対しても
真剣に、本気で議論する。遠慮せず、主張する。
メンバー同士でも、他者に対しても。
そして、言ったことには責任を持つ。

事なかれ主義、空気を読む、摩擦を起こさない、なんて若者が
多いこの時代に、彼らのガチンコぶりは新鮮だ。
いつまでもそのREAD ALOUD精神でいてもらいたいし、
僕もなるべくそうありたいと、彼らを見ていて思った次第。