2013年12月18日水曜日

wilsonic works 36.5


2003年に数量限定生産でリリースされた、スピッツのライヴ映像作品、
『放浪隼純情双六 Live 2000-2003』が、10年の歳月を経て、
本日2013年12月18日、廉価版にて再発売される。

いろいろこの当時の思い出とかを書いてみようかと思ったのだが、
なんかこの頃の僕はユニバーサルとドリーミュージックという
2社の仕事を抱えていて、滅茶苦茶忙しかったようで、細かい
ことを全然覚えていないのだ。
今回の再発に際して当時の経緯を思い出す必要がいくつかあったのだが、
記憶は限りなく不透明。

以下、そんな中今年10月にこの再発売のニュースのプレスキットを作る際、
資料をひっくり返しながら必死で記憶を呼び戻しながら
僕が媒体向けに書いた原稿を転載する。
このDVDの内容説明と、当時限定生産とした経緯などなど。

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スピッツ、幻のライヴDVD10年振りに再発売決定!

ファン熱望の入手困難アイテム、廉価版で再リリース 

200312月に期間限定盤としてリリースされ、瞬く間に市場から姿を消したため、
幻の作品として再発売が熱望されていたスピッツのライヴDVD『放浪隼純情双六 
Live 2000-2003』が、廉価版として10年振りに再発売されることが決定しました。

2000年〜2003年の4年間に行われた4つのツアーから選りすぐりのテイクだけを
集めた当時のライヴ集大成。9thアルバム『ハヤブサ』〜10th『三日月ロック』
の時代の作品を中心とした、ここでしか観られない貴重なライヴ・テイク
(全25曲のうち、14曲)が満載です。

<『放浪隼純情双六』とは?>


2000年〜2003年の4年間に行われた4つのツアーから選りすぐりのテイクだけを
集めた当時のライヴ集大成。

2003年発売のオリジナル・ヴァージョンはDVD2枚組。
1枚目はアルバム『三日月ロック』リリース後のツアー “双六2002-2003” からの
17曲。2枚目にはアルバム『ハヤブサ』リリース後のツアー放浪2000” “2001” 
純情2001” からの8曲と、リハーサルやバックヤードのメンバーを捉えた
オフショット映像を収録。
加えてスピッツを撮り続けるカメラマン内藤順司による100頁に及ぶ写真集、ハード
カヴァー&三方背ブックケースという豪華仕様の完全限定仕様(税抜価格 ¥6,500)。
20031217日に発売され、瞬く間に市場から姿を消したため、ファンからは
『幻のアイテム』として再発売を熱望されていました。

今回廉価版として再発売される『放浪隼純情双六 Live 2000-2003』は、
DVD1枚(片面2層)、CDサイズのジュエルケース仕様で、写真集も豪華ケースも
ありません。シンプルに、映像部分だけの復刻となります。

10年振りの廉価版再発売に関して>


オリジナル・リリースから10年の歳月を経て廉価版にて再発売するいちばんの理由は、
この10年の間に新たにスピッツのファンとなった皆さまからの強い要望です。
観たくても観られない、入手出来ないという状態が続き、ご不便をおかけしてきました。

当時、なぜ限定生産としたのか、の経緯は以下の通りです。
2001年に発売した、デビューから10年間のスピッツのライヴ映像を総括した
『ジャンボリー・デラックス LIVE CHRONICLE 1991-2000』があったため、
そこと被らない選曲がマスト。結果、一般的なスピッツのライヴ作品というより、
ちょっとマニアックな選曲になることが目に見えていた。つまり、初めてスピッツの
映像作品を購入しようとしたとき、手に取るアイテムにはならない。
カタログとしては「弱い」商品になるだろう、という考え。
それならば、ここに収録されたツアーを共有したことのある方を中心としたコア・ファン
の皆さまに、より喜んでもらえるような商品となるように内容、仕様をシフトさせて
行こう。そういう考えの結果、豪華仕様の限定盤という落としどころになった
(基本的な考え方は『小さな生き物』のデラックスエディションと同じです)。
Disc2に収録したオフショット映像や、通常のライヴ作品ではあまりピックアップ
されないMC部分をDisc1使っているのもそういった理由から。

これまでリリースされてきたライヴ映像を時系列に見てみると、2011年発売の
最新ライヴ作品『とげまる20102011』の初回ボーナス・ディスクで、2005年のツアー 
あまったれ2005” の映像がお蔵出しされたことにより、『放浪隼純情双六』に収録
された4年間だけがすっぽりと市場から抜け落ちている形になっています。今となっては
スピッツのライヴの歴史の中の貴重な記録として位置を占めていることになります。

多くの新規ファン、また発売当時買い逃した皆さまからの強い要望もあり、オリジナル・
リリースからちょうど10年経った201312月、豪華ケースも無く、100頁写真集も
無い、DVD1枚ものの廉価版として再リリースすることを決定しました。

なお、今回DVDのみのリリースということにしたのは、Blu-rayでリリースする意味が、
クオリティ的にはほとんど無いという判断と、なるべく廉価で提供したい、との考え
からです。

10年(と、ちょっと)前のスピッツ。4つのツアー、メンバーの様々な衣装、
ヘアスタイル、それぞれのステージ美術や照明など、見所満載の約120分。
たいへんお待たせしました。どうぞお楽しみいただけたら、と思います。


スピッツ・ディレクター 竹内 修(wilsonic

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2013年、僕が関わった作品のリリースはこれが最後。
2014年、ワクワクする作品がいろいろ用意されているのでご期待ください。

年内、もう1度くらいブログ更新予定。

2013年9月10日火曜日

wilsonic works 36


本日9月10日は、スピッツの約3年ぶり14枚目のオリジナル・アルバム、
『小さな生き物』の店頭入荷日。
スピッツのディレクターとなって23年。
今回のレコーディングはいつにも増して密度が濃かった。

でも今日はレコーディング時のエピソードとかではなく、
このアルバムが初の複数形態でのリリースになった
経緯というか、メンバー含めて考えていたことを書いてみたいと思う。

スピッツは、これまで初回限定のスリップケース仕様などはあったけど、
いわゆる複数形態でのリリースはしてこなかった。
ところが今回は通常盤、期間限定盤、デラックスエディション、
アナログ盤という4形態同時リリース。
期間限定盤とデラックスエディションには、DVDとBlu-rayの
2種類があるから、厳密に云えば6形態が存在することになる。
アート・ディレクターのセントラル67木村くん、煩雑な作業お疲れさまでした!
それぞれの仕様の違いはこちらを参照ください。

なんで今回こういうリリースになったかというと、
パッケージ・メディアがこの先どうなって行くか、
非常に微妙なところに来ているから、という理由がいちばん大きい。
メンバーにしても僕にしても物心ついたときからこれまで、
アナログ(もしくはカセット・テープ)からCDへの変遷はあれど、
パッケージ購入を基本として音楽と接してきた。

ところがレンタルCD、着うた〜フル、iTunes Store等のDL、
Music Unlimited等のストリーミング・サーヴィス、
そしてYouTubeやニコニコ動画などの動画サーヴィス・・・。
2013年現在、音楽に接する手段や方法は合法違法ひっくるめてさまざまだ。

こうなってくると、リリースの方法は何が正解なのかもわからない。

その上。
大体3年に1枚のペースでオリジナル・アルバムを出しているスピッツ、
『小さな生き物』の次、15枚目のアルバムは3年後としたら2016年。

その時、パッケージ・リリースの可能性はいかほどか?
CDは存続しているか?
代わりとなるメディアが出現しているのか?

もしかしたら『小さな生き物』が最後のフィジカル・リリースとなる、

かも・・・?

パッケージ・メディアを出せるうちにやれるだけのことをやってはどうか、
と考えて、今回のような複数形態でのリリースと相成った。

では、どこまでのことをやるべきか?

僕がひとつの目安としたのは、The Beach Boysの『SMiLE Sessions』
2011年にリリースされたこれは、オリジナル・アルバムではなく
『SMiLE』という1967年に未発表に終わった幻のアルバムを、
可能な限り再現するというプロジェクト。
ライトなファンには1CDもの、少し興味がある人には2CDの
デラックス・エディション、ディープなマニアには、5CD+2LP+7inch×2の
コレクターズ・ボックス、そして2枚組アナログLPという4種類が用意されていた。

スピッツで今回のようなリリースをしようと決めた際に気をつけたのは、
全てのコンテンツをコンプリートするためには複数形態を購入しなければ
ならない、という事態にならないこと。
デラックスエディションを購入しても期間限定盤のAタイプを
買わないと聴けない音源がある、とかそういうの。
スピッツの『小さな生き物』は、基本的にデラックスエディションを
購入すれば他のアイテムを購入する必要はない。

もちろん、DVDとBlu-rayを両方欲しいという方はお好きにどうぞ、
というか、僕は上記『SMiLE Sessions』の全てのタイプを
購入したし、モノによってはUS盤とUK盤も押さえるという
駄目なタイプの人間ですので・・・。

あ、ちなみに『SMiLE Sessions』には、本物のサーフボード付き
という究極のセットがありまして、なんと売値は日本円で60万円弱。
当時、僕を知る多くの方から「竹内、あれ買ったよね?」とニヤニヤ
しながら尋ねられましたが、さすがの僕もこれは買わなかった。
っていうか日本への送料だけでいくらかかるんだよ!
(いや、ツッコミどころはそこじゃねえだろ)

ボーナス映像に興味がないなら通常盤を買えばいいし、
ライヴ映像とかは要らないけど、MV観たいなー、なら
期間限定盤、全部欲しいならデラックスエディション、
ということ。

これは以前にライヴ映像商品でも書いたことなんだけど、
もしBlu-rayを視聴出来る環境にあるなら、価格は高くなるが、
DVDではなく、Blu-rayヴァージョンがおすすめ。
映像も音もBlu-ray基準で作っているので、その解像度は圧倒的に違う。

そしてそして。
本末転倒な気もするのだが、CDで『小さな生き物』を聴いた後、
Blu-rayで収録曲のMVを観て(聴いて)比べてほしい。
16bit/44.1kHzのCDと、24bit/96kHzのBlu-ray、音が全然違うから!

こんな、音や映像へのこだわりがどこまで届くのかわからない。
でも、そういう試みが出来る環境にあるなら、
出来る限りのことを試したい。
スピッツは常にそう考え、レコーディング、ミックスダウン、
マスタリング、プレスまで妥協することなく辛抱強く対峙する。
それを確認出来る環境にあるのなら、ぜひともそういう「違い」を
楽しんでほしいなあ、と思うわけです。

あと、今回は同時発売となったアナログ盤。
今回も2枚組で曲順はCDと随分変えてある。
CDはStephen Marcussenのマスタリングだが、
アナログは小鐡徹さんのカッティング。
つまり、最終的な落としどころで全く違う人が関わっているので、
基本的な音の質感がまるで違う。

加えて最終D面には贅沢にボーナス・トラック「エスペランサ」
1曲のみが刻まれている。
外周だけを使った音の良さ、たまらないっすよ!
あと、実はアナログでしか聴けない密かな仕掛けが
いくつかあるのですが、それは聴いた人のお愉しみ、
ということで、ぜひとも発見してみてください。

あー長くなった。

でもあともう少し。

絶賛発売中のデザインとグラフィックの総合情報誌『MdN』10月号で、
『小さな生き物』が巻頭特集として組まれている。
アート・ディレクターの木村豊による今回のジャケットの作り方
とか、これまで10作を手がけてきた木村くんによるジャケットの、
マサムネからのコメントなどなど。
僕、竹内はこの特集の序文を書かせてもらった。
商業誌に依頼されて文書を書くこと自体、えらい久しぶりで
どうなることかと思ったけど、名誉なことだと思ったので引き受けた。
どうやら売れ行きも上々のようなので、気になる方はお早めに
手に取っていただけたら、と。

あと、東京近郊にお住まいの方にお知らせ。
本日9月10日から9月29日まで、タワーレコード渋谷店8F、
「space HACHIKAI」にて、『スピッツ 小さな生き物展』が
開催されます。
詳細はこちらを参照いただくとして、今回のジャケットを飾る
リリエンタールのグライダーの実物を始め、『小さな生き物』、
スピッツにまつわる様々なモノがご覧いただけます。

あと、壁の一角には、僕が綴った今回のアルバムのスタートから
フィニッシュまでの『小さな生き物 制作メモ』が貼られています。
制作の流れからエピソードまで、結構読み応えあるのでぜひ
読んでみてください。
先ほど書いたアナログ盤のヒミツもここでこっそり明かされています。

今回このエントリでレコーディングの内容等に触れないのは、
この『小さな生き物展』での制作メモをチェックしてほしい、
というのがあるからなのでした。

そして、一般店舗では買えないアナログ盤も、数量限定、
つまり早い者勝ちではありますが、買えます。
確実にゲットしたい方は、お早めに!

最後に。

『小さな生き物』は、2012年から2013年にかけてレコーディングされた、
たった今現在のスピッツにしか鳴らせない音、歌えない言葉が詰まっている。
僕はその一部始終を一緒に体験出来たことを非常に嬉しく、誇りに思う。
スピッツと共に作り上げた亀田誠治さん、高山徹さんはじめ、
関わっていただいた全てのスタッフに感謝しつつ、
この長いエントリを終えたいと思います。










2013年8月28日水曜日

wilsonic works 35


本日8月28日は、SAKANAMONのニュー・シングル「花色の美少女」の発売日。
CDに収録されたスタジオ録音3曲のうち、「花色の美少女」と「回答少年」
を竹内がプロデュース、「崩壊パッケージ」はバンドとの共同プロデュース。

「花色の美少女」は、7月からスタートしたテレビ東京のドラマ、
「たべるダケ」のオープニングテーマとして起用されている。
TVでは60秒となっているけど、実は単なる編集ではない。
CDでフルのヴァージョンを聴いてTVサイズと聴き較べてほしい。
60秒サイズ用に録音している部分を発見できるはず。

前作「シグナルマン」に続いて、全国のFMでパワープレイに
選ばれているのは制作者冥利に尽きるなあ。ホント嬉しい。
僕の出身地でもある新潟のFM-NIIGATAでも8月度パワープレイ。
故郷を離れて随分経つけど、僕の知り合いが、
僕の仕事とは知らずに聴いて、しかも気に入ってくれたら、
なんてことを考えると、ラジオってなんて夢のあるメディアなの。
そしてローカルということの意味もこの時代、
すごい説得力を持つ場合があるなあ、とか。

今回「花色の美少女」には、SAKANAMONのこれまでの
レコーディングには使用されていない、初めての楽器が登場している。
それは、エレクトリック・シタール

イントロの最後の二拍三連(ぽい)フレーズや、1サビ前の
「彼女が踊るんだ」のバックで鳴るフレーズで、
ギターとユニゾンで、滲むような効果を出しているのが、それ。

僕ね、エレクトリック・シタールが大好きで、
隙あらば入れたいといつも思っているんだけど、
そう云う割に実はレコーディングで実現したのはこれが2回目かな。
1回目は1993年だからもう20年前か。
スピッツのシングル「君が思い出になる前に」。
イントロ・フレーズ等で印象的に出てくるのが、それ。
このMVで三輪テツヤが弾いているのがエレクトリック・シタール。

「君が思い出に〜」のアレンジの元ネタというか、ヒントとなったのは
恐らくPaul Youngヴァージョンの「Everytime You Go Away」だと
思われる。オリジナルのHall & Oatsは非常に渋いアレンジのアルバム曲だが、
ポール・ヤングのカヴァーはエレクトリック・シタールの効果も
あったのか、ビルボードHot100で1位となる大ヒット。

「君が思い出になる前に」は、スピッツにとって記念すべき曲で、
実は初めてオリコンの100位に入ったシングルなのです。
つまり、初ヒット。

そんなこともあり、自分にとってエレクトリック・シタールは
縁起のいい楽器でもある。
ただ、非常にクセのある楽器なので、扱いは難しい。
メロやフレーズがその音を呼ぶときにだけ、効果的に使う。
果たして今回のSAKANAMONはどう響いているだろう?
ポール・ヤングばりにヒット街道驀進したいもんです!

しかし、このサイクルで行くと次にエレクトリック・シタールを
レコーディングで使用するのはまた20年後・・・?
・・・考えないことにしよう。

SAKANAMONの「花色の美少女」は、初回限定のCD+DVDと
通常盤の2種類のリリース。初回限定のDVD、まだ観ていないんだけど、
街中の様々なロケーションで1カット撮影した弾き語り4曲と、
脱力のおまけ映像が入っているとのこと。

「花色の美少女」のMVとメイキング映像はこちら
SAKANAMON界の能年玲奈と呼ばれる(笑)ヴォーカル藤森元生、
堂々の役者デビュー?をご覧あれ!








2013年6月24日月曜日

wilsonic works 34


READ ALOUDの2ndミニ・アルバム『無花果』が6月19日に発売された。
1st『A』に引き続き、石田ショーキチと共同でプロデュースした。

2012年中にレコーディングする曲目を選び、
年明けからリハーサル、プリプロ、2月から
3月にかけてレコーディング、という流れ。

今回もエンジニアは高須寛光さん。
相変わらずというか、更に良い音。
前回ほどではないが、今回もメンバーと高須さんと石田くん、
毎日のようにカレーを食べていたなー。
後半さすがに違うもの食べてたけど。

ちなみに僕はレコーディング時に食事をしません。
理由は、眠くなるから。
もう10年以上そうしている。
お菓子も食べません。
口にするのは珈琲と水とガムだけ。

閑話休題。

昨年11月の『A』リリースと前後した、全国各地を細かく回る
ツアーを経た彼らは、一回りも二周りも頼もしくなっていた。
元々各メンバーのテクニックは相当なものだったが、
ツアーを経験し、自分たちがやっていることに対する
確信のようなものが生まれたんだろう。
出音に自信が感じられる場面が多々あった。

そして、レコーディングは前回とは比べ物にならないほど
スムーズで、早い段階で良いテイクが録れた。
石田くんとのコンビネーションも更に濃く、
意思の疎通が格段に速くなった。
スタジオの雰囲気も良かったなー。
READ ALOUDの現場はホントに前向きで活気がある。

アルバムの内容について少し。

1stではバンドの紹介という意味もあり、桑田祐宜が書く
曲の様々なヴァリエイションを見せることを意識したが、
今回はライヴ映えするアップ&ヘヴィな曲をメインに選曲。
それが今、ライヴ・バンドとしてのREAD ALOUDの
モードということだ。

とはいえ、生粋のメロディ・メイカーである桑田くんのこと、
ヘヴィであっても歌としての旋律と言葉がスッと入ってくる
曲ばかりだ。

イントロのギターのカッティングからしてかっこいい「言花 -コトヴァナ-」、
浮遊するようなメロディとサウンドが心地よい「白い月」、
初めて聴いた人でも、すぐにシンガロングできる「誰かの為に咲いてない」、
こんな歌詞の世界観、いったいどこから発想を得るのか?と、
石田くんと僕共に感心した「幸せのハナシ」、
変拍子のイントロ、抑えたトーンのAメロからサビで一気に弾ける「オートマチック」、
アルバム中最もメロウなトーンのサウンドだが、
決意を表明する強い歌詞が印象的な「未だ黄昏が咆哮るなら」の全6曲。

各曲が少しずつ聴けるアルバム・トレイラー映像はこちら
リード曲「言花 -コトヴァナ-」のMVはこちら

アルバム発売日の前日の18日、下北沢club251を皮切りに、
リリース・ツアーもスタートしたばかり。
251で久しぶりにライヴを観てきたんだけど、もうとにかく
1曲目からすごいテンションで煽る煽る。
対バンのファンも巻き込む、激しくも楽しいヴァイブ。

今後、全国を回るので機会があったらぜひとも彼らの
ライヴを体験してほしい。
詳しいスケジュール等はオフィシャルをチェックのほど。

そうそう、この春から桑田くんがインターFMでラジオ番組
始めたんですよ。年齢に相応しくない彼のヴィンテージな
ロック趣味満載。お時間があればこちらもどうぞ!

p.s.
そうだ。今回、更に良い音になっていることの要因に、
世界の小鐡こと、小鐡徹さんのマスタリング、というのもあった。
そんでもって近々また小鐡さんに会える。
うれしいな。
小鐡さんに会うのって、中央林間というロケーションも含め、
なんかウキウキする。






wilsonic works 33


今月19日発売のザ・プーチンズ、初の全国流通盤、
『ぷりぷり』に、プロデューサーとして参加した。

ザ・プーチンズは、ガット・ギターとヴォーカルの
街角マチオ、テルミンの街角マチコ(と、川島さる太郎)
から成る異色デュオ。

彼らとの出会いは、2012年1月に渋谷で行われた、
東京カランコロン主催の "ワンマソフェス2012"。
ここで初めて彼らの独特のステージに遭遇し、衝撃を受けた。

次にライヴがあれば観たいと思っていたら、意外な繋がりが
あって、とある知人から2012年5月に原宿アストロホールで
行われたイヴェント "ぷ道館" に招待いただいた。
そしてまた衝撃を受けた。
僕はすっかりザ・プーチンズのファンになってしまった。

今年に入り、街角マチオさんからメールが届いた。
アルバムを作っているので手伝ってほしいとのことだった。
ぷ道館のときに簡単に挨拶した程度の関係だったので、
オファーにはちょっとびっくりしたが、このブログを
読んでくれていたり、僕が手がけた作品を聴いてくれて
いたりしてくれていたそうで、なんとも恐縮。
僕も彼らのファンだから、喜んで引き受けた。

今回、肩書こそ "プロデューサー" となっているけど、
正確を期して云えば "アドヴァイザー" くらいの関わりかと。

彼らは基本的に自分たちでアレンジし、打ち込み、演奏し、歌う。
僕は彼らが作った音源を聴いて、アレンジや音色、歌詞や
ミックスの質感などに関してアドヴァイスする、という進め方。
スタジオに入ってやりとりをしたわけではないので、
カルマセーキのときの "アームチェア・ディレクティヴ" と近い。

ザ・プーチンズのステージの衝撃をCDに閉じ込めることは
基本的には不可能だが(DVDでも不可能。ステージは、ステージ
という空間で体験しなければ意味が無い)、各楽曲の持つ魅力を
引き上げることは出来たと思う。
収録曲「先輩」の、なんとも云えないMVはこちら
この曲を楽しめたら、ぜひともCDのご購入を!
CDが面白かったら、ぜひともステージも体験してほしい。

6月30日には、新宿タワーレコードにてインストア・ライヴあり。
スタートは14時。

また、7月には1年ぶりの "ぷ道館" が開催される。
7日のチケットは即完だったけど、追加公演の6日はまだ
購入可能。頻繁にライヴを行う人たちではないので、
この機会をお見逃しなく。
僕は7日に観に行く予定。
何が飛び出すやら、とにかくひたすら楽しみだ!


2013年5月15日水曜日

wilsonic works 32


38枚目かあー。

本日5月15日発売のスピッツのシングル、「さらさら / 僕はきっと旅に出る」
1991年3月の「ヒバリのこころ」から38枚目。
僕はその38枚すべてにディレクターとして関わっている。

1991年当時、日本のシングルCDは8cmの短冊型という形態だった。
スピッツは1999年の20枚目「流れ星」までが短冊、
2000年の21枚目「ホタル」以降12cmCDとなった。
それが現在まで続いている基本フォーマット。

前にも書いたけど、特にシングルに関しては、もはやCDとして
リリースすることが正しいのか、配信のほうが理に適っているのか、
さっぱりわからない。
何"枚"目、という数え方もいつまで有効なのか、とか。

ただ、幅広いファン層に支持されているスピッツの
スタッフとして考えると・・・。
配信のみにしたら対応出来ない人がいるかもしれない。
パッケージだと高いから遠慮しとくっていう人もいるかも。
また、「さらさら」だけが聴きたいので1曲だけダウンロード、
なんていう人も当然いるだろう。

いろんな可能性を考えて、その時々にいちばんフィットする
リリース形態を考えて行きたいとは思っている。

でも、あと数年でCDフォーマットは相当マニアックな
アイテムになって行くような気がするなー。
CDで聴きたい(CDを所有したい)人向けに限定でリリース、
というような。

個人的にはアナログが大好きなので、Vinyl or DLという
発売形態にシフトして行くと嬉しいんですけどね。

ま、自分の希望的観測は置いといて。

スピッツは、既にアナウンスされているように、
今年2013年中に14枚目となるオリジナル・アルバムを
リリースすべく、昨年末より制作活動を進めている。

その成果の第1弾が、このシングル。

「さらさら」は、東京のFM局であるJ-WAVEの春のステーション・キャンペーン、
"TOKYO NEW STANDARD〜トーキョーはまっすぐ歩かないほうがオモシロイ〜"
のキャンペーン・ソングとして3月18日から5月6日まで、
集中的にオンエアしていただいた。

スピッツがいつも曲作りを進めているスタジオで撮影された
MVはこちら
映像ディレクターは「シロクマ」など一連の『とげまる』
収録曲を手がけたOrange Films北山大介

「僕はきっと旅に出る」は、この5月10日からスタートした、
JTBのCM「JTBの夏旅」のキャンペーン・ソングに起用されている。

という、両A面シングル。

今の時代にCDで、両A面って。
という気もしないではないが、両方の曲それぞれに
今のスピッツのモードをしっかりと映し出している、
という意味合い含めて両A面。っていう感じかな?


現在スピッツは引き続きアルバムを完成させるべく鋭意作業中。
制作活動の成果その2、ご期待ください。

そんな中、今週末の18、19日にスピッツ久々のライヴがある。

今回のシングルも共同プロデュースした、
スピッツにとって10年以上の制作パートナーであり、
日本を代表する音楽プロデューサー、
亀田誠治がオーガナイズするイヴェント、
"亀の恩返し"

前回から実に4年ぶりの開催。
第1回のときにもいろんな仕掛けがあったから、
今回も期待していいと思う。

あ、僕はリハとか一切見ていないんで、具体的に
どんなことをやるのかよくわかっていません。

僕も本番をひたすら楽しみにしているひとりなのです。






2013年4月19日金曜日

wilsonic works 31



今週4月17日に発売された、SAKANAMON
メジャー初シングル、「シグナルマン」
僕がプロデュースした表題曲が大阪のラジオ局、
FM802ヘビーローテーションに選ばれた。

僕が関わった曲で同局のヘビーローテーションに
選ばれたのは、これで5曲目。
制作マン人生24年で5曲が多いのか少ないのか
わからないけど、全国FMで「イチオシ」とか
「パワープッシュ」とかいろんな呼び名で同様の
システムがあるわけだが、FM802のこれは、
自分にとって特別だ。

何せ、最初に選ばれたのが1991年4月、スピッツ
「ニノウデの世界」という曲。

大阪の宣伝担当の方もディレクターである僕も、大いに戸惑った。
だって、シングルは「ヒバリのこころ」であって、
「ニノウデの世界」はアルバム収録曲。
「選んでもらえたんは嬉しいけど、なんでこの曲やねん!」って感じ。

レコード会社やアーティスト・サイドの思惑など関係なく、
自分たちが良いと思った曲をプッシュする、
というFM802の頑なな姿勢。
その洗礼をいきなり浴びたことになる。

戸惑ったけど、嬉しくもあった。
だって、アルバムをしっかり聴いてくれて
曲をピックアップし、並みいる強力新譜の中から
スピッツを選んでくれたんだから。

そういったわけで、FM802のヘビーローテーションは、
僕にとって特別で、選ばれることは非常に誇らしいこと、
となった。


その次は1993年。
同じくスピッツの6枚目のシングル「裸のままで」。
同一アーティストが2回ヘビーローテーションに選ばれる、
という例はFM802史上数例だけとのこと。

ホーン・セクションまで入った派手なアレンジに、
ファンやそれまで応援してくれていたメディアなどから
賛否両論の「裸のままで」だったが、FM802からの
"お墨付き" は大いに励みとなった。

3曲目は2003年2月度、ゲントウキの1stシングル「鈍色の季節」。
僕の思惑では2ndシングル「素敵な、あの人。」で
全国のパワープレイを席巻するつもりだったのだが、
やはりこちらの思い通りにはさせてくれない802(笑)。

一聴しただけでは地味なスロー・バラードである「鈍色の季節」。
実はそういう曲こそヘビーローテーション映えする、
ということなのだろう。
10年経った今でも、寒い季節などに時折オンエアしていただいているようだ。

こういう、かつてプッシュした楽曲やアーティストを、
ずっと応援してくれる姿勢もFM802の素晴らしいところ。


その次は僕は直接のディレクターではなかったが、
レーベル・プロデューサーとして関わったbonobos
3rdシングル「あの言葉、あの光」。2004年8月度。

ゲントウキ、bonobos共に関西で活動をスタートしたバンド。
それだけにメンバーはヘビーローテーションが決まったとき、
それはそれは嬉しそうだった。

FM802としても関西発のアーティストをプッシュしたい、
という思いがあったことは確かだろう。

2バンドとも、現在は東京を活動拠点とし、メンバーにも
変化があったが、共に今年デビュー10周年。
おめでとう。これからも素敵な活動を!

これまでの4曲はこんな経緯。
1曲目と2曲目は "メーカー・ディレクター" 時代、
3曲目と4曲目は "レーベル・プロデューサー" 時代、
ということになる。

そして今年2013年4月度、"インディペンデント・プロデューサー"
となって初めてFM802のヘビーローテーションに選ばれた、
SAKANAMONの「シグナルマン」。
独立して4年目にして、ようやく。
記念すべき出来事なんですよ僕にとってこれは。

この曲をシングルとしてレコーディングするに至るまで、
実はいろんな面白いことがあったんだけど、それは
メンバーがインタヴュー等で少しずつ語っていくのでは
ないかと思うので、ここでは割愛。

最終的には実に堂々とした楽曲に仕上がって、
メジャーから最初にリリースする「シングル」として、
どこに出しても恥ずかしくないものになったと思う。
チャートどんどん駆け上ってほしいなあ。

あと、彼らのヴィジュアル周りは僕は全然関わっていないけど、
毎回ジャケットやMV、とても良いね。
いつも感心しています。
最近はメンバーの表情もとてもシャープになってきて。
でも、やっぱMCとかはズッコケで天然で。
それがいいバランス。
ということで「シグナルマン」のMVはこちらから。

通常盤はスタジオ録音3曲+ライヴ1曲の4トラック入りCD。
(内、表題曲と「真夜中の大岡山にて」の2曲を竹内がプロデュース)
初回限定盤はそのCDに加え、初ワンマンから7曲のライヴ映像と
オマケが入ったDVDが付いてます。

あ、明日20日(土)と21日(日)は、新宿と梅田で
SAKANAMONのインストア・ライヴがあります。
アコースティック編成はレアなので、ぜひこの機会に。

20日は15時から、タワーレコード新宿店7F特設ステージ(バンド編成)、
21日は17時から、タワーレコード梅田NU茶屋町店(こちらは藤森ソロ弾き語り)。
5月11日の渋谷タワーもあるので、詳細はこちらを。

p.s.
FM802のヘビーローテーションの歴史すべてがわかるのが、
オフィシャルサイトのこちら。お時間あったらぜひ。
1989年から、毎月どんな曲を選んできたのかがわかります。
「さすが!」とか「意外!」とか、「どんな曲だったっけ?」
とか、いろいろ面白いっすよ。

2013年4月12日金曜日

wilsonic works 30


4月10日、LOST IN TIMEのCD2枚組となるニュー・アルバム
『(   )トラスト オーバー サーティー』がリリースされた。

『明日が聞こえる』『ロスト アンド ファウンド』に続いて
作品作りに関わらせてもらったが、今回の関わり方は
今までとは少し違う。

スケジュールがなかなか合わないということもあり、
僕がスタジオでレコーディングに立ち会ったのは、
スタジオ録音5曲のうち「OVER」と「最後の頁」の2曲のみ。
他の3曲はメンバーとエンジニアの鳥羽修さんが作り上げた。

ただ、スタジオに立ち会うかどうか、ということは
僕の仕事に不可欠なことではない。
去年のカルマセーキのレコーディング体験と今回の
LOST IN TIMEの音作りの過程を経て確信を持った。

バンドに力があり、事前にしっかりと準備さえしておけば、
必ずしもレコーディングに立ち会わなくても良い作品が
出来る、と。

もちろん、可能であれば全てに立ち会って、リアルタイムに
考え方を共有するに越したことはないだろう。
でも、常にそこには共依存の関係になる可能性が潜んでいる。
関係が長くなればなるほど、その危険性は高くなる。

安心感だけを求め、お互いに依存する関係に未来は無い。
常に適度の緊張感と新鮮な感覚を持ち続けられれば良いのだが。
この話はアーティストとプロデューサーだけではなく、
いろんな関係に当てはまるけど、深すぎるのでこのへんで。

さてさてLOST IN TIMEとの今回の作業。
とっかかりは昨年秋あたり。
海北くんとの雑談のようなミーティングから。
そのときの僕の発言が海北くんの何かを刺激したらしく、
そこから今回のアルバムの構想が漠然と進み始めた。

11月に入ると、週に1回くらいメンバーと会い、
出来た曲のチェックやアレンジ、歌詞を詰める作業。
毎回いくつかの宿題や課題を出しては翌週に突き合わせる、
というような感じ。
この作業の途中で、アルバム・タイトルの元となるアイディアが
飛び交った痕跡が僕の手帖に残っている。

12月には前述の2曲のレコーディング。
年明け、1月に残り3曲の詰めミーティングを数回行い、
2月にメンバーと鳥羽さんでレコーディングを進める。

全曲、TDはファイルを送ってもらうだけにして、
チェック&フィニッシュはメンバーに任せた。
だって、基本鳥羽さんの音に間違いはないですからね。
今までのアルバムでも、TDに文句云ったことないもん。

マスタリングはPEACE MUSICの中村宗一郎さん。
僕はお会いしたことがなかったのでここはぜひとも
立ち会いたかったんだけど、スケジュール合わずで
残念無念。

今回のアルバムはスタジオ録音5曲のCDと、
ライヴ録音8曲が収められたCD、という2枚組。
それで1575円って、どんだけお値打ちなの。

で、このライヴ・テイクがまた素晴らしくて。
今年1月の新代田FEVERでのライヴなんだけど、
声の伸びが半端ない。
このライヴ、見逃してるんだよなー。
これまた残念無念。

そんな経緯もあって、出来上がった作品を今までの2作と比べると
やや客観的に見ることが出来るような気がする。

なんていうか、歌詞がよりリアルな海北くんに近づいたような。
それは、初めて他人からの提供曲を歌ったってことも
実は大きく作用していると思うんだな(収録曲「雨が降る夜」は、
盟友つばきの一色徳保さんからの提供曲)。

そしてLOST IN TIMEというバンド内力学がより理想的に
なってきたような。

そのへんのヒント、海北くんによるセルフ・ライナー
いろいろ散りばめられていますのでお時間ありましたら
ご一読のほどを。

あと、ミュージシャン仲間を始め、評判の高い「30」の
MVはこちら

p.s. この、LOST IN TIMEのアルバムは、タイトルも含め
"30代" をテーマにしているんだけど、ホントに偶然。
このエントリのタイトルを見てくださいよ。
僕がフリーランスとなり、wilsonic名義で仕事をしてから、
このアルバムがちょうど30作目。
単なる偶然だけど、面白いね。







2013年3月8日金曜日

wilsonic works 29


今週3月6日、99RadioServiceの3枚目のシングル、「STAR」が発売された。
前作「BYE×BYE」に続き、プロデューサーとして関わった。

発売日にタワーレコード新宿店に行き、「STAR」初回盤を購入してきた。
僕は、自分が関わったアイテムを発売週に1枚買うようにしている。
これは、フリーランスになってからの癖というか、決まりごと。
一種の願掛けに近い。

もうひとつ、決まりごとというか、自分が関わったアイテムが
発売される週に心がけていることがある。

それは、「他アーティストの同種アイテムを購入しない」ということ。

今週を例にすると。

今週は99RadioServiceの「STAR」という、
僕がプロデュースした"シングル" が発売された。
なので僕は今週は、他のアーティストの "シングル" は買わない。
その日タワーレコード新宿店で僕が買った他のアイテムは、
ONE OK ROCKの "アルバム" と、BUMP OF CHICKENの "Blu-ray" と、
KEYTALKの "アルバム" と、ゲスの極み乙女。の "ミニ・アルバム"。

当日タワレコで、たまたまお店に挨拶回りに来ていた
クリープハイプのメンバーに遭遇した。
彼らのニュー・シングル「社会の窓」は非常に意欲的な
傑作なので是非とも購入したいところなんだが、今週は買わない。
来週月曜日以降、つまり発売週のチャートに影響しない
期間になったら買う。

たった1枚だろうが、チャートやら店頭実績として、
僕の関わったアーティストに不利になることはしない。
これは、メーカー・ディレクター時代からやっていること。

今どきチャートとか意味ないでしょ、とか
初週のチャートよりもロングセラーを目指すべきでしょ、
という気もしないでもないが、これはもう半ば儀式みたいなもの。

僕の毎日にはこういう決めごと、儀式、ゲンかつぎがいっぱいある。
スタジオではご飯食べない、とか。
ライヴを観るときは酒を呑まない、とか。
これらはまたいずれブログで書くことがあるかも。

あ、最後に99RadioServiceに戻って。
前作「BYE × BYE」、今回の「STAR」、共に表題曲の作詞者名は
「竹平太」となっている。
これは、wilsonic竹内の「竹」、Ko-heyの「平」、Ko-taの「太」で
構成されたユニット名。
つまり、3人共作であーだこーだと歌詞を作っているのです。

Ko-taのユニークでオリジナルな言葉遣い。
Ko-heyの鮮やかなイメージの換気力。
それらを僕が俯瞰で見て、バランス取って落とし込んで行く。

なんか昔のブリル・ビルディングの作家チームって、
こんな感じだったんじゃないか?って思いながら、
今回も曲作りに関わらせてもらった。

タイトル曲「STAR」は、日本テレビ系アニメ「ちはやふる2」
オープニング・テーマとして現在OA中。
メンバーの個性がちゃんと反映されているMVはこちら

今、彼らは佐藤雅彦さんと一緒にアルバムを制作している。
スケジュールやらいろいろあって、そこには僕は
参加出来ていないんだけど、メンバーのツイートからは
確信ある音が聴こえてくる。

素晴らしいアルバムの完成を楽しみにしています。



2013年2月14日木曜日

wilsonic works 28


"To Know Him Is To Love Him"

これは、60年代に大ヒットを連発したアメリカの音楽プロデューサー、
フィル・スペクターが、そのキャリアの初期にThe Teddy Bearsという
バンドの一員として1958年に放ったヒット曲のタイトル。

邦題は「会ったとたんにひと目ぼれ」というのだが、直訳すると
「彼を知ることは、彼を好きになるということ」ってな感じ。
つまり、「彼は彼を知るだれからも愛された」、と。

あるとき、東京カランコロンのことを考えていたら
このタイトルを思い起こしたことがあった。
カランコロンにアダプトすると、

"To Know Them Is To Love Them"

東京カランコロンを知ることは、彼らを好きになるということ。
彼らの吸引力というか、人々を魅了する力は本当にすごい、と。

僕自身が初めてのライヴ体験で一発でKO喰らったわけだしね。
(そのときのことはこちらのエントリで。)

ミュージシャン仲間、インタビュアー、コラボレーションした人、
レコード会社の人々、CDショップのバイヤーさん、ラジオDJ、などなど。
カランコロンを知ったとたんに彼らのファンになり、応援してくれる。
自分が出来る最大限の貢献をしたいと思ってしまう。

なぜか。

それは、東京カランコロンのメンバーが、常に一生懸命
考え、努力し、やれる限りのことをしているから、だ。
目的、目標がしっかり見えていて、そこに辿り着くために
ひたすら努力する。
そしてそれを実に楽しそうに、面白がってやっているのも重要な点。

結果、非常にユニークでオリジナルな音楽が生まれ、
それを産み出すメンバーの個性、キャラクター、立ち位置も
はっきりとし、輝いてくる。

彼らのこの姿勢がある限り、多くの賛同者、応援団、
そしてファンがどんどん増えていくことだろう。
僕はもう、彼らの今後が楽しみでしょうがない。

さて、昨日2月13日は、東京カランコロンのメジャー進出後
初めてのフル・アルバム『We are 東京カランコロン』の発売日。
今回も全面的にプロデュースで関わらせてもらった。
彼らと一緒にレコーディングをするようになって、
初めての、ようやくのフル・アルバム。

これまで、シングルやミニ・アルバムでコンセプチュアルに
楽曲を提示してきた彼らの、とりあえずの全貌が見渡せる、全12曲。
その充実した内容はもう、とにかく聴いていただくしかない。

1年ちょっと前かな。1曲目の「いっせーの、せ!」が初めて
ライヴで披露されたとき、僕はその堂々たるアレンジとメロディに
感激して、マネージャーの江森さんに「メジャー・デビュー曲、
出来ちゃったじゃないすか」と思わず云ったのを覚えている。

その後、ミニ・アルバムでのメジャー・デビューとなったため、
僕の言葉は実現しなかったけど、結果的にメジャーでの1st
アルバムのトップを飾るリード曲になった。
(「いっせーの、せ!」のMVはこちら

それぞれの曲に関するエピソードを語りだしたらキリがないので、
以下は関わった音楽的スタッフに関して。

4曲目、「Darling, Hello? (SZK着メロMIX)」は、
『東京カランコロン e.t.』でのレコーディング・パートナーである、
She'sのドラマー、SZKがアレンジ、エンジニアリングでがっつり参加。
「着メロ」という微妙な近過去を思い起こさせるサウンドを
聴かせてくれる。

シングル「×ゲーム」(11曲目収録)に続き、cafelonの石崎光くんが
アレンジ&サウンド・プロデュースで参加したのは8曲目の
「渚のセレナーデ」。
これはもう、時代設定とかどうなっているのか、もはや
なんだかよくわからない、云わばメタ歌謡。
全員爆笑しながらレコーディングしていたなー。
イントロ部分で音楽祭のMCよろしくカランコロンを紹介して
いるのは、「アッゲー木村」なる謎の男(笑)。

12曲目「ばいばい、また明日」には、チャラン・ポ・ランタンとの
活動で知られる、カンカンバルカンのメンバー3人のホーン・セクションが参加。
ホーン・アレンジはテナー・サックスの岡村トモ子さん。
去年彼女が主宰する、女子ばかり19人で構成される
 "たおやめオルケスタ" のライヴを初めて拝見したけど、
これが恰好良くて楽しくてもう。
僕は管楽器フェチなもんで、ちょっと悶絶モノだった。

そんなゲスト陣と、既発表曲「泣き虫ファイター」の
高橋久美子(ex. チャットモンチー)、「サヨナラ バイバイ マルチーズ」
のElvis Woodstock(a.k.a. リリー・フランキー)という
作詞での参加。

多くの人たちが、カランコロンの音楽をもっと楽しいものに
するために、それぞれの得意分野で腕を揮ってくれている。

あ、書き忘れるところだったけど、アートワークでの
ファンタジスタ歌磨呂さんにも大きな拍手を!


これを書きながらアルバム『We are 東京カランコロン』を
改めて頭からフルで聴いていたんだけど、その豊富なアイディアと
サウンドや言葉の新鮮さに改めて感心していたところ。
本当に良いアルバムだなー。
誇らしいなー。

でも、その感動やら感心やらも、13トラック目で大爆笑して、
チャラにしちゃうのが、彼ららしさ。
まったくもう。

そして、まだ1枚目。
ここから伝説はスタートするんだよ。
みんなで目撃、しましょ。