2015年12月31日木曜日

wilsonic works 56


2015年も本日で終わり。

1年中『ハチミツ』の20周年トリビュートのことを考えて、
1年中スピッツのライヴ映像の編集作業をやっていた。

そんな年だった。

3月から公開がスタートした『スピッツ 横浜サンセット 2013 -劇場版-』は、
昨年から編集やミックスダウンの作業を進めており、年明け早々から
スタジオや映画館などで試写しながら最終形を固めて行った。

その作業が済んだら『JAMBOREE 3 “小さな生き物』
7月1日の発売に向け、3月〜5月にかけての制作。
スピッツはファンクラブ・ツアー “GO! GO! スカンジナビア vol. 6”や
VIVA LA ROCK出演などの合間を縫っての作業となった。

それが終わるや否や、明日2016年1月1日に発売日を迎える、
『THE GREAT JAMBOREE 2014 “FESTIVARENA” 日本武道館』に取りかかる。
5月の下旬から作業に入り、パッケージの最終チェックは11月まで、
足掛け7ヶ月。

2014年夏前くらいだったか。
『横浜サンセット』を劇場公開のみの映像作品とすることを決めた時点で、
全3作品の大体の時系列、パッケージのイメージは出来ていた。

2013年9月、アルバム『小さな生き物』の発売〜“横浜サンセット 2013”
の開催をスタート地点とした “FESTIVARENA” 終了までのスピッツの1年間を、
2015年初頭から約1年かけて展開して行く。みたいな。

決めたはいいけど、実際にやってみると作業に追われる日々だった。
僕なんか制作部分しかやっていないので大して忙しくなかったけど、
初めて取り組む映画というメディア、
日本ではここまで精巧なものはなかなかお目にかかれない
『FESTIVARENA』デラックスエディションの仕掛け絵本など、
関わったスタッフの尽力には感謝しかない。

3作品全ての映像監督は番場秀一。
赤レンガパーク、大宮ソニックシティ、日本武道館という会場、
劇場公開のみの映像と、パッケージ商品としての映像など、
それぞれをどう録り、どう編集するか、彼のヴィジョンには
大いに唸らされた。
1年半に及ぶ作業、本当にお疲れさまでした!

先ほど、自宅のTVで『FESTIVARENA』を久しぶりに観た。
スタジオで散々観た映像だけど、自宅で観るとこれがまた新鮮なのだ。
いつも書きますが、Blu-rayは画像ももちろん、音質も最高。
スピッツに限らず、視聴環境が整っているなら、Blu-rayおすすめです。

ということで、2015年最後のブログ更新は簡潔に終わります。
年明けて早々に2015年の総括したいと思います。

では皆さま、良いお年を。

p.s.
最近スタジオに籠りっぱなしで全然レコード屋に行けなかったのだが、
昨日久しぶりにタワーレコード新宿店に行けた。
『JUST LIKE HONEY』と『FESTIVARENA』を中心とした7Fの
展開、ちょっとグッと来るものがあった。
Twitterのタイムラインで見るいろんなお店のディスプレイとか、
熱いコメントとか、本当にありがたい。
来年も、お店が思いっきりプッシュしたくなるような作品を
送り出して行く所存であります!

2015年12月23日水曜日

wilsonic works 55


スピッツの6thアルバム『ハチミツ』が発売されてから20年。
その、20周年を記念して企画したトリビュート・アルバム、
『JUST LIKE HONEY 〜『ハチミツ』20th Anniversary Tribute〜』
が12月23日にリリースとなった。

正確に云うと、既に12月9日からiTunesストアで配信がスタート、
23日はCDのリリース日である。
来年1月27日にはアナログ盤としても発売される。

僕はこのアルバムの企画立案をし、トータルのプロデューサーを務めた。

こちらのサイトにこのアルバムの企画意図など、多少硬めに書いたし、
アルバムに封入される投げ込みで、MUSICA鹿野さんと対談して、
リリース当時のスピッツのことなど語っているので、
ここでは少し違うネタを。

実は、最初考えていたのはトリビュート・アルバムではなくて、
『ハチミツ』20周年記念の豪華デラックス・エディションだった、
というお話。
飽くまでも僕の頭の中の妄想レヴェルでは。

きっかけというか、大いに参考になったのは、2014年3月に
リリースされたエルトン・ジョンの『Goodbye Yellow Brick Road』
40周年記念スーパー・デラックス・エディション
リマスター、ライヴ音源、映像など4CD+DVDというヴォリューム。
その中の1枚のCDに、アルバム全曲ではないが、エド・シーラン
若手アーティストによるカヴァーが入っていたのだ。

これに倣い、『ハチミツ』も未発表ボーナス・トラックや当時のライヴ音源、
そしてアルバムまるごとのトリビュートなど、3枚組ボックスとかに
ならないかなー、と思いついた。

思いついてみたものの、よく考えるとこの頃のスピッツに
未発表マテリアルなんて存在しないし、ライヴは『JAMBOREE 1』
(現在は『ジャンボリー・デラックス』)が出ている。
そんなわけで、『ハチミツ 20th Anniversary Super Deluxe Edition』は、
2014年春に思いついた途端に自分内で却下された。

ただ、そのときにイメージしたトリビュート・アルバムのことは
頭の隅に残っていたのだな。
半年くらい経った2014年秋に、どういうメンツが集まったら
面白いんだろう、と少しずつなんとなく考え始めていた。

『ハチミツ』のオリジナルの発売日は9月20日なので、
リリースするなら2015年9月を目標にしよう、と思い、
年末にユニバーサルのA&Rと情報を共有する。

明けて2015年初頭、正式にリリースに向け準備を始め、
2月以降順次アーティストに参加要請のお声掛けを始めた。

と、あっさり書いているけど、全ラインナップが決定したのは
そこから半年以上経過した2015年8月。
全音源のレコーディングが終わる見込みが11月頭となった。
当初考えていた9月発売なんて完全に無理で、
年内発売もあわや、というところまで行きかけたが、
なんとか20周年の2015年内にリリースにこぎ着けることが出来た。

2002年にカヴァー・アルバム『一期一会 Sweets for my SPITZ』
制作した経験値があるので、その当時のタイム感で進めていたのだが、
全然勝手が違った。
何よりも12曲という限られた楽曲を振り分けるというパズル感は、
『一期一会』とは比較にならないくらい大変だった。

2015年は常にこのアルバムのことが頭の片隅にあり、
ずーっと不安な気持ちを抱えたままだった。
テトリスで長い棒が全然落ちてこないみたいな、
どうしようどうしよう、って焦っている気分。
でも、待つしかないわけで。

一緒に企画して進めたA&RのFさんの支えが無ければ、
この企画は成り立たなかった。僕一人じゃ絶対に無理だった。
深い感謝を捧げます。

11月上旬にマスタリングを終え、中旬にアナログのカッティングを
終えたとき、初めて安堵の気分を味わった。
よ・う・や・く・で・き・あ・が・っ・た!!!

そして。
このトリビュート・アルバム、相当面白い出来になっていると思う。
当初予想していたものと結構違っていて、それが逆に楽しい。

お忙しい中このような企画に賛同し、ご参加いただいた
アーティストの皆さまには、ひたすら感謝しかない。
無いスケジュールをこじ開けていただいたスタッフの皆さまのご厚情にも深謝。

あとは、ひとりでも多くの方に、このアルバムをお届け出来れば。

こういうアルバムを企画するなら、まずはきちんと売る、
伝えることが参加アーティストへの最低限のマナーですからね。

そして、これを知った、聴いた人には、

1. スピッツ(『ハチミツ』)ファンの人が、スピッツ以外のアーティストを知る。
2. 収録アーティストのファンが、スピッツ(『ハチミツ』)のことを知る。
3. 収録アーティストのファンが、別の収録アーティストを知る。

という3種類の「知る」チャンスが訪れる。
このことがその人のその後の音楽ライフに何らかプラスになるといいなあ、と。

普段から日本のロック、ポップスに親しんでいて、
収録アーティストの大半を知っている人でも、
これまで持っていたイメージと違う新鮮なものを受け取るかもしれない。
普段あまり音楽を積極的に探っていない人に、
新たな扉が開くような出会いがあれば、企画者としてこれ以上嬉しいことはない。

僕自身がこれまでいろんなカヴァーやトリビュートで、
新たな出会いをしてきたことが、こういうアルバムを作る
原動力になっているんだと思う。
どうか、多くの方に新規ご贔屓アーティストが増えんことを!

しかしまあ。
あんなにしんどい思いをして制作を進め、途中段階では
「もう二度とトリビュート企画なんてやりたくない!』とまで
思っていたのに、実はもう僕の中では違うアイディアが
いくつか浮かんできている(スピッツ関連ではないっす)。
これが制作マンの業というものなのか・・・。
ま、実現するかどうかはわかりませんが。

p.s.
アルバムのアートワークは、オリジナルの『ハチミツ』の
アートディレクターでもある、CENTRAL67木村豊
ポップで可愛いデザイン、アナログ盤が楽しみでしょうがない!

p.s. 2
アルバム・タイトルの『JUST LIKE HONEY』は、ご存知の通り
Jesus & The Mary Chainの1985年のシングル曲で、彼らの
1stアルバム『Psycho Candy』に収録されている曲のタイトルと同じ。

でも、実はもうひとつ元ネタがあって。

僕の大好きなイギリスの音楽プロデューサーで、Joe Meekという人がいる。
この人、1960年代にたくさんのヒット曲を放ったのだが、
その中で2曲の有名なトリビュート・ソングがある。
1曲がMike Berryの「Tribute to Buddy Holly」。
そしてもう1曲がHeinzによる「Just Like Eddie」。
前者はバディ・ホリー、後者はエディ・コクランという、
いずれも早逝したアメリカのロックンローラーに捧げた歌。
後者の「Just Like Eddie」の「Eddie」の部分を「ハチミツ」に
変換したのが『JUST LIKE HONEY』というわけなのでした。
ここで書いておかないと自分でも忘れそうなんで、備忘録。


2015年10月28日水曜日

wilsonic works 54


10月21日にリリースされた、さかいゆうのシングル「ジャスミン」に、
ディレクターとして参加した。

2015年の初頭にマネージメントのスタッフからお誘いいただき、
さかいくんの新作の制作のお手伝いをすることになった。
オフィスオーガスタの人たちとは20年来のお付き合いがあるが、
こういう形でお仕事をしたのは今回が初めて。
4月から始めていたレコーディングの成果の第一弾が「ジャスミン」。

まず。

噂には聞いていたが、さかいゆうは本当に凄かった。
20歳を過ぎてから音楽を本格的に始めた、
という普通の音楽家に比べれば遅めのスタートなのだが、
それを全く感じさせない、音楽的身体能力の凄まじさ。
プレイヤーとしてもシンガーとしても舌を巻く上手さ。

ただ上手いだけじゃない。
音楽を理論ではなく、純粋に「音楽そのもの」として体で受け止めている。
かといって野性のままに突き進むわけではなく、
自分や他人のプレイを客観的に判断する冷静さも併せ持つ。
いろんな音楽を分け隔てなく聴き、その分析も的確。
あと、いろいろ聴かせてもらったモノマネが特徴を捉えていて最高に面白い。

つまり、なんというか、全身が音楽で出来ているような人なのだ。
いやー、初めて会うタイプの。ある意味天才。

さてさて新作シングル「ジャスミン」のことを。

これまで、基本的にセルフ・プロデュースで音楽を作ってきた
さかいくんが、これまでやってこなかったことにも積極的に
チャレンジしよう、という意思のもと、表題曲のプロデュースは
蔦谷好位置さんにお願いした。

カップリングの「WALK ON AIR」はcafelonの石崎光プロデュース。
作詞は同じくcafelonのメンバーであり、Schroeder-Headz
渡辺シュンスケ

加えてカヴァー曲。ORIGINAL LOVEの「接吻」をセルフ・プロデュースで。

この3曲、全部違うプロダクションで、ミュージシャンもみんなバラバラ、
そしてとにかく豪華!
以下、各曲のミュージシャンを列挙します。

「ジャスミン」
ドラムス:玉田豊夢
ベース:松原秀樹
ギター:山口周平
ストリングス:弦一徹ストリングス

「WALK ON AIR」
ドラムス:あらきゆうこ
ベース:根岸孝旨

「接吻」
ドラムス:屋敷豪太
ウッドベース:鹿島達也
ギター:田中 "TAK" 拓也

すげー豪華!
そして全曲のピアノはさかいゆう。

普段、バンドもののレコーディングに関わることが多く、
このようにいろいろなミュージシャンが参加するレコーディングを
あまり体験していないので、非常に刺激的だった。
皆さんホントに素晴らしいプレイヤー!

そして、全曲のミックスを手がけているのが、
久しぶりにご一緒した、molmolこと佐藤宏明
約5年振りだったけど、更に進化したその音作り。
彼のミックスにも唸らされっぱなしだった。

同じエンジニアだけど、3曲のプロダクションが違うことによる
その肌触りの違いを楽しむことも出来る。
「ジャスミン」と「WALK ON AIR」はそれぞれプロデューサーが
ヴォーカル・ディレクションをしているが、「接吻」は僕が
歌入れをしている。やっぱ歌入れする人によって、歌の表情って
随分違うんだなー、と今回改めて思った。

というわけで、僕のさかいゆうくんとの初仕事である
「ジャスミン」是非ともチェックのほど、よろしくお願いします。

早見あかり出演のMVはこちら
初回限定生産盤の映像ダイジェストはこちら
蔦谷さんとさかいくんの対談はこちら

そして、さかいゆうはライヴで観てもすごい。
っていうか凄いライヴをやるのです。観たら確実に彼を見る目が変わる。
11月〜12月にはツアーもあるので、こちらもぜひチェックのほどを。

2015年9月20日日曜日

wilsonic works 53


9月16日、ココロオークションのフルアルバム『Relight』が発売された。
5月のシングル「ターニング・デイ / プリズム」に続き、
armchair directiveという肩書きで参加。
全曲ではなく、上記シングル2曲含む5曲で、あーだこーだやっている。

自分が関わった曲と、関わっていない曲が混在している作品は、
聴いていて面白い。
自分では意識していなかったことが発見出来たり、
アーティストの持つ個性や志向性が、
自分が関わっていない曲からほの見えたりするのだ。

例えば『Relight』の1曲目と2曲目。
1曲目の「day by day」はメンバーだけで制作し、
2曲目「ここに在る」は僕が参加したもの。

「day by day」の持つスピード感、一筆書きのような
メロディと歌詞の展開、一方向に徹底したアレンジとサウンド。
これらは僕が入ったら少し勢いが削がれていたかもしれない、と思うのだ。
それに比して「ここに在る」は “構築” 感があるというか、
手堅い作りになっているような気がする。

ココロオークションは、圧倒的にキャッチーなメロディを
武器とするバンドなのだが、同時に斬新なアイディアや、
自分たちが面白がれることに貪欲にアプローチをする姿勢を持つ。
そういうバンドに対して僕が行うことの多くは、いわば “剪定” 。

アイディアが斬新過ぎたり、過激だったり、ミュージシャン的な部分で
面白がり過ぎたりして、本来曲が持っていた魅力が削がれていないか、
なんてことを俯瞰や一歩退いて観ながら考える。

アーティスト発信のオリジナリティは残しつつ、
はみ出過ぎてしまった枝を切り、
より多くの人に伝わる形にする。

それが、僕の仕事。

前述のようにアルバム『Relight』全8曲のうち、
僕は5曲に関わっている。
上記の情報を得た上でアルバムを聴いて、
どれがそれなのかわかったりしたらすごいですけどね。

ともあれ。

本当に強いメロディと多彩なギター・サウンドを核とした
アレンジで綴られる『Relight』、是非ともチェックのほどを。

また、今回収録の「雨音」で3部作完結となる
「夏のMV3部作」も要チェック。以下の順番でどうぞ!
「雨音」ラスト、ヤラれますよ。

蝉時雨→②夏の幻→③雨音

そして。
最近のココロオークション、ライヴが非常に充実してるので、
東京でのライヴは行けるときは必ず行くようにしている。
速い曲もしっとりした曲もしっかり伝わる緩急あるステージ、
機会があったら是非とも体験してみてほしい。


p.s.
若い頃はアーティストと一緒になって面白がっていろんなことをやった。
いろんなことを学んだ。
成功も失敗も経験した。
無駄なこと、遠回り、試行錯誤、いっぱいやった。
余計な事はしすぎるほどいいのだ。

そういう経験を積ませてもらったことには、
当時所属したレコード会社には本当に感謝している。
今は、失敗が許されない空気が蔓延しているのが残念だ。


2015年7月18日土曜日

wilsonic works 52


高知出身の女性4人組バンド、sympathyの2ndミニアルバム、
『トランス状態』が7月15日にリリースされた。
収録曲全6曲のうちM1〜M5の5曲に、ディレクション&共同プロデュース
という形で関わった。

彼女たちのキャッチコピー、“超絶無名バンド”って誰が考えたんだろう?
確かに、昨年リリースの1stミニアルバムが大きな話題になったわけでもないし、
ライヴハウス・シーンで注目されているわけでもない。
オフィシャルに載っているインタヴューなどでこれまでの経緯を語っているので、
なぜ彼女たちが超絶に無名なのかはそちらで把握していただくとして。

彼女たちが現在の事務所に入るきっかけとなった東京での
1回きりの2014年夏のライヴ、実は僕も偶然?観ていた。
8月18日の渋谷O-Crest。
このとき、その会場に僕が目利きと認識している音楽業界人が
最低2名いたことも覚えている。
その事実だけで「あれ、このバンドなんかあるのかな?」
という匂いを感じ始めていた、ような。

ちなみに僕はライヴを観たら必ず感想をメモしているのだが、
彼女たちに関しては、ドラムとギターのプレイの素朴さに触れつつ、
「vocalの子のシャウトと歌詞に未来あり」と結んでいる。

その、1枚のミニアルバムと東京での1回きりのライヴという実績のみで、
現在の所属事務所の社長は彼女たちにアプローチし、
ビクター内の新レーベルconnectoneからのリリースも決定。
これ、まずフツーはあり得ないトントン拍子の展開だ。
しかも本人たちはそういう活動を特に望んでいなかったにも関わらず。

今年に入り、まずはミニアルバムをリリースしよう、と決まったはいいが・・・。
二人が高知在住、一人が東京、一人が滋賀という距離。
加えて全員が学生であるため、平日はまず活動することが出来ない。
まとまってレコーディングするには、春休みを利用するしかない、
ということで3月にプリプロ〜レコーディングを行った。

最初は基本的な音楽用語を教えて共通言語を持つところからスタート。
もしかして相当大変なことになるのかなあ、と覚悟をしていたが、
僕はその後、彼女たちの恐るべき吸収力、理解力に舌を巻くことになる。
日を追うごとにミュージシャンとして成長し、
覚えたことを確実に実践し、さらに工夫する。

ドラムテックは元HOW MERRY MARRY河添将志くん、
ギターテックにはTHEラブ人間エドガー・サリヴァン坂本遥くん。
現役のバンドマンである二人がいてくれたおかげで、
メンバーはとても安心してレコーディングに臨めたと思う。
河添くんは頼もしいし、遥くんは若いのに教え方が上手。

メンバー4人は仲良しではあるが、決してなあなあになることはない。
遠慮をせずに意見を言い合い、sympathyというバンドの
アイデンティティを確認しながら進めて行く。
これ、なかなか出来ないこと。メンバー同士でも遠慮してしまったりする。
でもこれが出来ていないと、バンドってものは長続きしないんです。

そして、僕はそんな彼女たちの2015年春時点の姿を、
鮮度を損なわないように記録することに専念した。
彼女たちがやりたいことを、僕なりの解釈でプレイや音色などに
関してアドヴァイスをするだけ。
過剰なお化粧やお仕着せのアイディアは必要ない。
だって、彼女たちが考えたこと、思いついたことを
実行するのが、いちばん面白いんだから。

たとえば。

sympathyの曲には、テンポチェンジやブレイクが頻繁に出てくる。
譜面で会話しない彼女たちが、言葉とメロディと自分たちの奏でる
音に寄り添ったときに、自然に生まれるものなんだと思う。
それは曲にとって必然で、全体を通して聴いてみると、
「なるほどなー」と感心することが多かった。
曲にも、詞にも、アレンジにも演奏にも、物語があるのだ。

ま、そういう作りなので、多くの曲はクリックを使わず(使えず)、
リズム録りもダビングもちょっと苦労しましたけど。

今作のエンジニアの田中俊介さんとは、久々の再会だった。
彼は以前青葉台スタジオにいて、スピッツの『スーベニア』という
アルバムで、1枚まるごとアシスタント・エンジニアを務めてくれた。
それ以来、約11年振りのお仕事。
ま、この年齢になると、10年なんてついこの前なので、
すぐに昔のテンポを思い出し、とても良いリレーションで
仕事ができたんですけどね。

ここでの再会が存外に良い感触だったので、実はその次に入ってきた
新規プロジェクトのレコーディングも、田中さんと行ったのだ。
縁というのは不思議なものだなあ、と改めて。

さてさて。
マスタリングまで足掛け3ヶ月(何せ、4人集まれる日が限られている)
という期間で出来上がった2ndミニアルバム『トランス状態』。
6曲目「あの娘のプラネタリウム」は、バンドが初めて作ったオリジナル曲とのこと。
この曲だけ出羽良彰さんのサウンド・プロデュース&編曲で、
流石のサウンド・クオリティ。

通して聴くと、1曲の中のストーリーとはまた違う、
6曲全体で語られるストーリーが見えてくる、そんなアルバムだ。

アルバムのアルバムのダイジェスト映像はこちら
リード曲「さよなら王子様」のMVはこちら

隙間いっぱいの音作りは、今どきの主流とは違うかもしれないけど、
彼女たちにしか作れないオリジナルなサウンド。
どうか、超絶無名から、有名バンドへ羽ばたいてくれー!

つーか早く東京でライヴ観たいので、その辺ひとつよろしく。

※大阪で8月21日にフリーライヴ決定。なんと、BIG CAT!
詳細はオフィシャルでチェック!

p.s.
sympathyの音楽は作詞作曲も含めてメンバー4人で作り上げるのだが、
大きく分けてヴォーカルの柴田さん主導の曲と、
ギターの田口さんが主導の曲に分かれる。

柴田さんが中心となって作った曲は、
迷いの無い一筆描きのような思い切りの良さがある。
対して田口さんは、繊細でアンビヴァレントな感情を、
これしかないというところまで考えたメロディと言葉で綴る。

そういう音楽を、柴田さんはときに可愛らしく、
ときに素っ気なく、ときにいたずらっぽく、ときに悪ぶって歌う。

そうだ、びっくりしたことがあった。

レコーディング中のあるとき、柴田さんが、
「なんか、歌っていると自分が作った曲か(田口)かやなの曲か、
わからなくなるよね」というような主旨だった。

そんな人、柴田さんしかいないよ。
自分で曲を作る人が、他の人が作った曲を歌うとき、
何かしらの違和感(とまでは云わないまでも、違い)を
感じないとしたら、それは奇跡だ。
sympathyのメンバーはそれだけ一心同体、ということなのか。

いやはや、これからの展開が全く予想できないけど、
こんなバンド、いろんな意味で前代未聞。
未来に期待しかないっす。

2015年7月8日水曜日

wilsonic works 51


7月8日はPERIDOTSの4枚目のオリジナル・アルバム『PEAK』の発売日。
セルフ・カヴァー・アルバムの前作『TIMEPIECE』に続いて、
ディレクターとしてアルバム・レコーディングに立ち会った。

前作もそうだけど、PERIDOTSの場合、ディレクターといいながら
僕はほとんど仕事らしきことをしていない。

もちろん曲選びとか、レコーディング前のミーティングや、
メールでのやりとりなどして、意見や感想を伝えるし、
全てのレコーディングに立ち会って、その進行を確認した。

ディレクターというよりは “Morale Booster”のほうがしっくりくる。
意味合いとしては、士気を高めるもの、くらいの感じ。
Roger Nichols and the Small Circle of Friendsの1stアルバムに、
Van Dyke ParksRandy Newmanなどがこのクレジットで入っている。
実際当時Van Dykeらがどんな形でMoraleをBoostしたのかは
わからないけど。

曲作りの段階、アレンジの最中、レコーディング現場に僕がいる。
その都度、客観的な意見、違う角度からの見方などを提供し、
刺激なり意欲増進なりをする、というような役割。
なのではないか、と。

まあ僕の役割なんてどうでもいい。
このアルバムの密度、相当なことになっているので、そのことを。

今回、プロデュースはPERIDOTSことタカハシコウキ本人と久保田光太郎さん。
アレンジも基本全編光太郎さん。
ドラムスに中畑大樹さん、ベースにFIREさんというお馴染みの
チームでのリズムでレコーディングした曲もあれば、
これまたお馴染みの浦清英さん、河野圭さんのピアノを
フィーチュアした曲もある。

でも、なによりも。
久保田光太郎という音楽家が、これまでの経験値と
永年のPERIDOTSとの歴史を踏まえて、
考えに考え抜いたアレンジが全曲で炸裂している。
それがまずすごい。

全体のバランスを考えながら、各曲に見合ったアレンジを施す。
そのアレンジを活かす最良の楽器を選び、最高の音色を探り、最善のプレイをする。
ちょっと違うかなと思ったら、根本まで戻って考え直す。
言葉、メロディ、歌い方、曲毎のマイク選び、
全てに妥協無くトライする姿勢。
久保田光太郎、タカハシコウキ、エンジニアの渡辺敏広のトライアングルは、
上記のような取り組み方でレコーディングを進め、
結果『PEAK』は、とてつもない密度のアルバムとなった。

本来当たり前のことなんですよ、音楽を作るに当たってこういう姿勢で臨むのは。
でも昨今、レコーディングというものがカジュアルになり過ぎて、
こういった本来の姿勢が忘れられている現場が多い。

誰でも安価で、簡単に録音が出来るような世の中になったのは、
全体のパイを広げたり、敷居を低くするという意味では
歓迎すべきことなのだろうが、その弊害も同じくらいあるわけで。

ま、この辺のことはいつかまとめて書きます。

『PEAK』に収録された全10曲。
よく、“ヴァラエティに富んだアルバム” なんていうけど、
それはこのアルバムにこそ相応しい形容だと思う。
詞もメロディもアレンジも、ここまで振り切ったアルバムはなかなか無い。
それでいて聴きにくいわけではなく、肌触りはとてもポップ。
密度は濃いけど、暑苦しくはない。
なんなんだろう、これ。

音楽が好きな人が、より音楽のことを好きになる、
そんなアルバムなんじゃないかと思う。
音楽って、まだまだ可能性があるんだなって。

そんなことを思った。

今までのPERIDOTSを知っている人も、
PERIDOTSを全然知らない人も、
このアルバムを通して聴いたら、ちょっとびっくりすると思うんだ。

たくさんの人に、届いてほしい。

p.s.
PERIDOTSのマスタリングは、これまではほぼLAのStephen Marcussenだったが、
『PEAK』 はロンドンのMetropolis MasteringTim Youngによるマスタリング。
7曲目の「Tomorrow My Friend」で、その起用の意味がストンと腑に落ちる。
同業者の方、ぜひともその辺、聴き取って感じてもらいたいっす。

p.s. 2
タカハシくんと光太郎さんが全曲解説をしながらアルバムを試聴する
スペシャル対談の映像はこちら。サブテキストとして、どうぞ。

2015年7月2日木曜日

wilsonic works 50


2015年も後半に突入。

今週7月1日にスピッツのライヴ映像作品(DVD & Blu-ray)、
『JAMBOREE 3 “小さな生き物”』が発売された。
ライヴ映像作品に “JAMBOREE”の名を冠するのは、
2001年の編集盤『ジャンボリー・デラックス』以来。
『3』の前、『JAMBOREE 2』に至っては1999年だ。
16年振りのシリーズ第3弾、というわけだ。

“JAMBOREEシリーズ” がどんな意味合いを持つのか、厳密な定義は
特に無いのだが、なんとなく “ホール公演の映像作品” なのかな、と思っている。
ここ数作のスピッツの映像商品は、スペシャルなアリーナ公演を中心としたもの
が続いていたので、タイトルもスペシャルなものとなっていたが、
今回は1アルバムのツアーの中の1日を切り取ったもの。
スピッツがアルバムのリリース毎に行っている、
全国くまなく回るステージをパッケージングした、という形。
それが、『JAMBOREE 3』というタイトルを呼んだのだろう。

そして本作品は、ホール公演としては初めて本編を全編収録している。
これまで、アリーナ公演で同趣向はあったが、ホールでは今回が初。
「SPITZ JAMBOREE TOUR 2013-2014 “小さな生き物” 」
題された、全53本に及ぶツアーの1日がしっかりと記録されている。

2014年2月18日、火曜日。
大宮ソニックシティ。
ツアー中盤の25本目。
大宮でしか観られないアレも、遂に収録。

この映像で、スピッツのレギュラーなホール公演がどういうものか、
わかっていただけると思う。
メンバーの佇まい、ステージ美術、照明、曲順のあり方、などなど。

派手な演出や煽りの類いとは無縁だが、
どれもが本当によく考えられており、練られている。
決して保守的になることなく、新しい要素、サプライズなども潜んでいる。
このツアーで僕は恐らく全国で20本くらいを観ているはずだが、
全く飽きることは無かったし、古くから知っているはずの曲の、
新たな魅力に気付いたりすることもあった。

そして、ホール・コンサート特有の、親密な雰囲気。
この距離感。
スピッツが、なぜある時期まで、頑に武道館などのキャパの大きい会場で
コンサートを行わず、ホールでの公演にこだわっていたのか、
この映像を観てもらえると少しわかってもらえるのではないだろうか。

武道館を拒んでいたのは、ちょっと違う意味もあるんだけどね。

ともあれ。

大変お待たせいたしました。
スピッツ、本当に久しぶりのフィジカル・リリースです。
なんと、アルバム『小さな生き物』以来なので、約22ヶ月ぶり
『放浪隼純情双六』は再発なので、新作としては)。
じっくり、何回も楽しんでいただけたら幸いです。

p.s.
劇場公開のみの映画『スピッツ 横浜サンセット2013 -劇場版-』は、
8月末から9月上旬の横浜ブルク13での最終上映に向けて、
現在アンコール、追加上映継続中です。
お見逃しの方、もう一度観たい、という方は、この機会に是非。
詳細はこちらをご覧ください。

p.s. 2
wilsonicという屋号を名乗ってもうすぐ6年。
携わった作品がこのDVD & Blu-rayで50となった。
ちょっとだけ感慨深い。
もう少し頑張ろうと思った。


2015年6月29日月曜日

wilsonic works 49


松本隆 作詞活動45周年トリビュート『風街であひませう』が、6月24日に発売された。
『風街でうたう』と題されたディスクに、草野マサムネ(スピッツ)の歌う
「水中メガネ」が収録されている。

「水中メガネ」のオリジナル・シンガーは、アート・ディレクション集団である
グルーヴィジョンズが作り出したキャラクター、Chappie(チャッピー)
1999年の七夕、7月7日に彼女?の3rdシングルとしてリリースされた。
作詞はもちろん松本隆、作曲は草野正宗(作詞作曲のときは漢字表記)。
なので、作詞家松本隆へのトリビュートであると共に、
草野にとってはセルフ・カヴァーでもある。

草野が他のシンガー、アーティストに提供した楽曲の中でも、
個人的にぜひともセルフ・カヴァーしてほしいと思っていた
曲なので、感慨もひとしお。

僕は今回、ヴォーカル・ディレクションでこの曲に参加した。

ヴォーカル・ディレクションは、通常「歌入れ」と呼ばれる作業。
これまでもスピッツがセルフ・プロデュースでレコーディングする
際は、ほとんどの場合僕が歌入れを行ってきているので、
今回もその延長線上の流れ。

歌入れのエンジニアは古賀健一くん。
現在はフリーランスのエンジニアとして活躍しているが、
かつて青葉台スタジオに所属しており、スピッツの
レコーディングで何度もアシスタント・エンジニアを務めてくれた。
スタジオは彼のプライヴェート・スタジオであるXylomania Studio。
ここでの作業は草野も僕も初めてで、草野にとってはかなり久々の
レコーディングだったが(スピッツの「雪風」は「水中メガネ」の後に録音した)、
非常にスムーズだった。

『風街であひませう』アルバム全体のサウンド・プロデューサーである
鈴木正人さんの、オリジナル(Chappie版)から大幅にアレンジを変えず、
よりアコースティックな質感を追求した美しいオケも、歌入れがスムーズに
進んだ要因だろう。
アルバム収録の他の曲も、大半が鈴木さんのアレンジで、統一感がある。
個人的には安藤裕子小山田壮平&イエロートレインにグッときた。

さて、冒頭のほうに「水中メガネ」は草野にセルフ・カヴァー
してほしい曲だった、というようなことを書いたが、
そう思った要因のひとつに、1999年に開催された「風街ミーティング」がある。
松本さんの作詞活動30周年を記念して、渋谷ON AIR EAST(現在の
O-EAST)で11月9日、10日の2日間に亘って開催されたイヴェントだ。

草野マサムネは初日9日にシンガーとして参加し、
原田真二の「タイム・トラベル」と「水中メガネ」を歌った。
これがね、良かったんですよ。しみじみと。
自分のメロディ、他人が付けた歌詞、それを歌う草野、
という珍しい組み合わせが、不思議な効果を醸していた。

それ以来、スピッツでいつかセルフ・カヴァーできないかなあ、
なんて思っていたのだ。

それにしてもこの、風街ミーティングで歌った2曲の松本隆
作詞作品が、その後1曲はスピッツで、1曲は草野がシンガーとして
参加する形で音盤になるとは。
しかも、すぐ後じゃなくて、10年以上を経て。

少年時代に聴いた曲をずっと好きでいる草野にもブレが無い。
そして、松本さんが、草野と作った「水中メガネ」という楽曲を
大切に思い続けてくれているからこその、今回なのだろう。
長い年月が経って、更に想いが強くなったり、確信したりすること、
あるものね。


ところで、Chappieによる「水中メガネ」。
僕は当時このレコーディング、それこそ歌入れに立ち会っている。
ChappieのディレクターだったHさんから、歌入れの日時を
伺っており、「お時間あれば・・・」とお誘いいただいていたのだ。
一応、今もこの歌を歌ったのは誰か、というのは公式には
伏せられているのだが、僕は誰だか知っている上に、
ご本人が歌っている姿を拝見しているのである。
これ、相当レアな体験だったなと、16年後の今、思う。

2015年5月23日土曜日

wilsonic works 48


5月20日、ココロオークションの初の全国流通盤シングル
「ターニングデイ|プリズム」がリリースされた。
前作『ヘッドフォンミュージック』に続き、
2曲のレコーディングにarmchair directiveとして参加した。

armchair directiveっていうのは、地方在住のアーティストと、
主にメールで詞、曲、アレンジのやりとりをし、曲を
完成させるためのアドヴァイザリーをする、という作業を指す造語。
実際のレコーディングには立ち会わない。

どんな感じで今回のレコーディングに携わったのか、
に関しても言及されているココロオークションのインタヴューがこちら

そのインタヴューにも触れられているように、今回僕は
彼らの歌詞に関してはほとんど意見していない。
譜割りのこととか少し指摘した程度。
もちろん、基本ヴォーカル粟子くんの書く歌詞が
よく出来ているから、なんですけど。

僕みたいなノンミュージシャン系プロデューサーは、
結構歌詞のブラッシュアップに特化している人が多いんだけど、
僕はそういうタイプではない。

歌詞にももちろん目を向ける。
でもそれよりも「メロディと歌詞の関係」のほうが
重要だと思っているし、それ以前にメロディが良くなければ
どんな言葉を持ってきても個人的には面白くない。

過去に歌詞を共作したこともある。
そのときもストーリーやリリカルな表現は共作者にまかせ、
僕はメロディに馴染みのいい言葉を選んだり、
音階と仲の良いイントネーションを探したり、
というような感じだった。

あ。
これを読んでいるミュージシャン、シンガー・ソングライターの方へ。

よく、歌詞をギリギリまで決められず、歌入れ当日まで格闘する
人がいるけど、これは本当に止めたほうがいい。
最近は曲先が主流を占めているのでこういうことに
なりがちなのだが、良いことはひとつもない。

アレンジの前に歌詞があれば、勇壮な歌詞ををさらにドラマチックに
聴かせることが出来る。
事前に無いと、最終的にハッピーな曲なのに悲しげなアレンジに
してしまう可能性だって、無いとは云えない。
バンドのメンバーはその歌詞を知り、何かしら思いを演奏に反映させるだろう。
歌う人は、事前に歌詞を把握し、歌い回しなど、
練ってからレコーディングに臨めることになる。
歌詞は早めにあるに越したことはない。

ちなみに、先のインタヴューで、今回元々「プリズム」を
シングル曲として作っていたが、後から録った「ターニングデイ」
の出来が良いので両A面シングルとなった、という経緯が
話されているが、こういうことって実はよくある。
いろんな理由で。

スピッツでは「青い車 / 猫になりたい」がそうだった。

ディレクターの僕は、「猫になりたい」をA面のつもりで
制作していた。なのでジャケットもよくわからない
動物のようなもののオブジェをモチーフにしていた。

しかし、社内で「青い車」を大いに気に入った宣伝マンがいて、
彼が頑張って「青い車」でタイアップを決めてきたのだ。

結果、A面曲は「青い車」となり、このシングルは小ヒット。
シングル・チャート最高位は、その時点でのスピッツにとって
最高の27位を記録し、翌年のブレイクのための布石となった。

このとき、もし僕の目論見通り「猫になりたい」がA面に
なっていたら、その後のスピッツはどうなっていたのだろう?

そして、今回2曲を両A面としたココロオークションの今後は???

少なくとも、2曲それぞれが違うFMのパワープレイに
選ばれるなど、両曲共に評価されているのは狙い通り?

そして、当初2000枚限定を予定していたこのシングル、
予約が殺到して、このままでは店頭にほとんど商品が
並ばなくなる可能性が出てきたため、急遽枚数を限定3000枚に追加。
これもすごいお話。
期待値、どんだけなの。

毎回良い曲を丁寧に作って、誠意を持ってライヴを行い、
応援、協力してくれる人たちには感謝を忘れない彼ら、
そしてスタッフの頑張りが、この状況を呼んでいるのだと思う。

引き続き、armchair directiveとして関わり続けたいと思うし、
ゆくゆくは一緒にスタジオに入ってがっぷりやりたいとも願っている。

というわけで、ココロオークションの限定シングル
「ターニングデイ|プリズム」、店頭から消える前に
ぜひとも入手のほどを!

2015年5月16日土曜日

wilsonic works 47


5月13日、ウルトラタワーの2枚目のミニアルバム『bluebell』と、
初めてのシングル「希望の唄」が同時リリースされた。
両方とも、前作に引き続きがっつりとプロデュースに関わっている。

『bluebell』にも収録されている「希望の唄」は、
この4月から放送がスタートしたアニメ『食戟のソーマ』のオープニング・テーマ。
昨年11月から曲作りに着手し、年明けの1月いっぱい、
年末年始含めずーっとこのタイアップのことを考えていた。

この作業のすぐ後に、スピッツの「雪風」のレコーディングが
あり、なんかずっとタイアップ物件のことを考える日々だった。

タイアップというものは、音楽を作る側と音楽を使う側、
両方にとってメリットが無ければ成り立たない。
僕のような立場でディレクターやプロデューサーとして
関わっている人間は、両者の意図を理解して、
双方が望むことの最大公約数を見つけ、
いかにスムーズに最高の形に到達させるか、を考える。
それも、仕事のひとつ。

通常、フリーランスの立場で関わっていると、
クライアントとのミーティングにはなかなか立ち会えないのだが、
スピッツや今回のウルトラタワーの場合は、
ありがたいことに最初のミーティングから参加させてもらえた。
クライアントや監督の意図することを直接お伺い出来たので、
理解が深まり、仕事もしやすかった。

アニメ『食戟のソーマ』がスタートして以来、「希望の唄」の
評判は上々のようで、ホッとしている。
これまで、ウルトラタワーのことを知らず、このアニメで初めて
彼らのことを知った人が、「いい曲」と素直に反応してくれる。
タイアップの醍醐味だ。
これをきっかけにYouTubeを検索してくれたり、
CDを聴いてくれたり、ライヴに足を運んでもらえたりすると、さらに嬉しい。

ということで「希望の唄」のMVはこちら
監督は、スピッツ「スパイダー」やセロファンのMVでも
お世話になった、井上強さん。
とても久しぶりだったけど、相変わらずのスタイリッシュな
作風にシビれました。

そしてミニアルバム『bluebell』。
前作『太陽と月の塔』の完成度を軽く凌駕したんじゃないかな、と。
「希望の唄」以外の曲の充実度、半端ないっす。
デビュー以降いろいろと体験したことが、
曲の深度に反映されている。
特に「春に残る雪」というバラードは、歌詞も曲も、その両方の
マッチングも、アレンジも歌唱も相当すごいんじゃないか、と思う。
ちなみに弦アレンジは前作に続いて棚谷祐一さん。

あまりに良い曲なので、この曲もMV作っちゃいましょうよ、
なんて冗談半分に云い続けていたら、
本当に作れてしまったのでびっくり。
強い音楽は人も予算も動かす、ってことですね。

というわけで、映画『FORMA』で世界に名を馳せた
坂本あゆみ監督による「春に残る雪」のMVはこちら
曲の上に、撮影現場で録音した自然音などを被せた、
フィールド・レコーディング的手法を取り入れた、
日本ではあまり類を見ない意欲作。
ヴォーカル大濱の役者デビュー作でもあるので、
是非ともチェックのほどを。

あと、今回のアート・ディレクションとデザインは、
TLGFの河原光さん。
なんと、多分18年振りくらいにお仕事させてもらった。

数年前に河原さんがCENTRAL67の木村さんらと
三人展をやったときにお会いして、お久しぶりですーなんて
挨拶して以来、またいつか機会があればご一緒したいと思っていたのだった。
カメラは中野敬久さん。
彼ともお仕事は数年振り。
この二人のいろんなアイディアで、撮影は非常に楽しく、
マニアックなものになった。
ジャケットには、河原さんとメンバーとで考えた、
いろんな仕掛けがあるので、隅々まで目を凝らしてほしい。

というわけで、今回のウルトラタワー、音源のみならず、
ジャケットやMVなどのヴィジュアル周りも含めて、
全て竹内がトータル・プロデュースというものになっている。
こういう関わり方、元々メーカーでディレクターをやっていた
人間にとっては、とても嬉しいものなのです。

リリースを受け、続々とライヴも決まっている。
お近くでライヴがある際は、是非とも足をお運びください。
詳しいスケジュールは彼らのオフィシャルで。

2015年4月21日火曜日

wilsonic works 46


スピッツの約1年半ぶりの新曲「雪風」が、テレビ東京のドラマ24
「不便な便利屋」のエンディング・テーマとして、この4月から流れている。
4月15日にはiTunesmoraレコチョクなどで配信がスタートした。
今回、この曲はCDシングルなどフィジカルの販売の予定は無い。
次のアルバムが出るときに収録されるかもしれないし、されないかもしれない。

CDとかアナログ盤とか、フィジカルでリリースされないと実感が無いし、
味気ないという意見がある。
世代的に僕もその意見はよくわかる。
例えば、1曲入りのワンコイン・シングルで出してほしい、とか。

そのためのジャケット・デザイン〜印刷、プレス、流通。
これらのコストを考えると、実は500円ではほとんど利益が出ない上に、
ユーザーにとっても「1曲で500円かよ」という割高感はあるのでは。
何か適当な音源をカップリングにして1000円で売る、というのも
ファンの皆さまに申し訳ないし、したくない。
それなら、欧米と比較したら少し高いけど、1曲約250円でDLする、
というのは悪くないんじゃないかと思う。

DLしたその瞬間からすぐに音が聴ける。
ジャケットの映像がPCや端末から楽しめる。
CDショップでCDを買っても、ポータブルCDプレイヤーが
無ければすぐには聴けない。
アナログなんて家に帰らなきゃ聴けない(それがいいんだけど)。

ちなみに僕の知人で、待望のCDをフライング・ゲットして、
どうしてもすぐに聴きたいので携帯CDプレイヤーをすぐさま購入した、
という猛者がいる。尊敬に値する行為だと思う。

僕の音源購入はCDがメイン。
ときどきアナログを買うし、DLもよく利用する。
iTunesやAmazonでしか買えない音源をDL購入することもあるし、
2010年からはBandcampのヘヴィ・ユーザーで、頻繁にDL購入している。
DL音源で困るのは、スタッフやミュージシャンのクレジットが
入っていないことが多いくらいかな。
あとはもう、全くストレスが無い。

しかしまあ、スピッツ・ファンの立場になってみると、
昨年の配信シングル「愛のことば -2014mix-」に続き、
フィジカル・リリース無し。
加えて前回書いた映画『横浜サンセット 2013 -劇場版-』
劇場公開オンリーでDVD等パッケージの予定無し。
と立て続けの仕打ちとなってしまっている。
意図的なのではなく、たまたまなんですけどね。
いやもちろん、それぞれの対応は意味と必然があってのこと。
それぞれのコンテンツの最良の楽しみ方を考えての結論だ。

あ。

フィジカル・リリースが無いことで曲にたどり着けない
ケースのひとつに今、思い当たった。
基本的に音楽をレンタルCDで楽しんでいる人たちだ。
テレビでたまたま聴いて、スピッツの新曲をレンタルCDショップで
探したけど、無かったら、それっきりかもしれない。
ネットでググってくれるくらいの思いが無ければ。

産まれてこのかた、貸しレコードやレンタルCDを
利用したことが一度も無いので、考えが及ばなかった。

さて、「雪風」という曲に関して。
「不便な便利屋」の監督にして脚本も手がけた、“ミスター”こと
鈴井貴之さん(スピッツとは20年来の交流がある)からの依頼を受け、
ドラマのために書き下ろした、という経緯で出来た曲だ。
なので、ドラマの舞台となっている北海道の雪景色を
思い起こさせるワードが歌詞に織り込まれている。

リリカルなギターのアルペジオのスタートからして、
スピッツ印満載なイメージだけど、相当変わった構成の一曲だ。
まず、メロディがAとB(サビ)しかない。
それが2回繰り返されて、間奏なのか大サビなのか判然としない
マサムネによるひとり多重コーラス・パート(雪原の吹雪の音を
模しているようにも聴こえる)を抜けると、
静かなAメロに戻ってスッと終わる。
トータル3分ちょっとのシンプルにしてコンパクトな作品。

ちなみに、「不便な便利屋」のエンディングで流れる音源は、
サビ終わりの箇所をTV用に特別に編集したヴァージョン。
フルで1分15秒くらいあるのでなかなか最後まで流れないと
思うけど、回によってはフルでかかることもあるかもしれない
らしいので(つまり、毎回エンディングのサイズが違うということ)、
気になる方は毎回チェックのほどを!

p.s.
上記文章の最後のほうに「大サビ」というタームがありますが、
最近若いバンドと話しているとこの言葉が違う意味で使われている
ことが多く、話が通じなくなることが多い。

「大サビ」とは、英語ではbridgeとかmiddle eightと呼ばれる、
verse(Aメロ)でもchorus(サビ)でもない、基本的には
その曲の中で1回しか出てこないメロディの部分を指す。
多くの場合は2番のサビが終わってから、とか、間奏の後
などに登場する(大サビが登場しない曲も当然あります)。

っていうのが基本認識なんだが、最近のバンドマンは、
“最後にもう1回繰り返される、曲中でいちばん盛り上がるサビ”
を「大サビ」だと思っているようだ。
「大トリ」とか「大晦日」などの用法の転用なのかな?

だから最近は「大サビ」という表現をなるべく使わず、
曲の中に出てくる順番で、Aメロ、Bメロ、サビ(Cメロ)
があった上で「大サビ」が出てくるなら、「Dメロ」と
呼ぶようにしているのだが、なんか釈然としない。
釈然としないぞ。




2015年3月24日火曜日

wilsonic works 45


スピッツが2013年9月に横浜赤レンガパークで行った一夜限りのコンサート
“横浜サンセット2013” を映画化した『スピッツ 横浜サンセット2013 -劇場版-』が、
3月21日の横浜ブルク13を皮切りに全国で順次公開される。
3月28日からは、新宿バルト9で公開。

最近音楽と映画のコラボレーションが活発で、洋邦新旧問わず様々な
アーティスト、バンドの映画が製作され、公開されている。
このスピッツの映画には、ドキュメンタリー、密着、証言などは一切ない。
ただただ、当日の様子を出来る限り忠実に再現する目的で
つくられた「コンサート映画」だ。

たった一日限り、スピッツにとって16年振りの大型野外公演とあって、
約15,000枚のチケットに、何倍もの応募が殺到した。
プラチナチケットを手に出来なかったファンにとっては幻のコンサートだった。

2013年から2014年にかけて行っていた『小さな生き物』のツアー先の会場で、
僕の顔を知るスピッツ・ファンの方から、「『横浜サンセット』の商品化、
をお願いします」と懇願されたことも何回かあった。

しかし、この日のステージ、演奏や歌でいくつか大きなミスがあったのだ。
それがどうにも商品化という決断に至らなかった原因のひとつ。
曲をカットしたり、演奏を直したりということも、
このスペシャルなコンサートの意味合いからして考えられなかった。

昨年、『小さな生き物』のリリースに絡むツアーが全て終了した後、
横浜サンセットの映像素材をどうするかをメンバー、スタッフで考えた。
その結果が、
“ミスも含めてその日のそのままをノーカットでまるごと見せるコンサート映画”
という結論だ。
DVD、Blu-ray等のパッケージにはせず、劇場公開オンリー。
より詳しい経緯は、映画のパンフレットに様々なスタッフの
証言があるので、そちらを参照してほしい。

ところで。
前にこのブログでも書いたけど、映画における「ディレクター」は監督のこと。
この映画の監督は、スピッツのライヴ映像作品を多く手掛けている番場秀一。
僕がいつもスピッツの仕事でクレジットされている「ディレクター」
を使うと、監督と間違われちゃうので、この映画での僕の肩書きは
便宜上「サウンド・ディレクター」ということになっている。

こういうときのディレクターの悲哀と喜びについて記しておこう。

このような映画やDVDなど、ライヴ映像作品を作るとき、
僕は当日のステージの模様を生で観ることが出来ない。
横浜サンセットの当日も、僕は音中車(音声中継車)と呼ばれる車の中で、
録音されている音を、ステージの映像を観ながらチェックしていた。
ライヴ・レコーディングにおけるディレクターの仕事とは、こういうものなのだ。
つまり、僕はスピッツのこれまで商品化されたライヴ映像を、生で観たことがない。

ちょっと悲しいんだけど、考え方を変えたら、ライヴ会場の音ではなく、
クリアに録音されたメンバーの演奏をリアルタイムで聴くことが出来るのは、
エンジニアと音中車のスタッフと僕だけ。
なんという特権なんだ!(少し強がってます)

最後にまた映画の話に戻って。

これまで、スピッツのライヴ映像をVHSやLDを経て、
DVDやBlu-rayに定着させる作業を幾度となく行ってきて、
それなりのノウハウは経験してきたつもりだった。
でも、映画はそれらとは全く勝手が違っていた。

2月某日、出来上がった映画を深夜の映画館で、メンバーと共に
コンサート・スタッフや映画スタッフとチェックした。
意味合い的には「完成試写」くらいのつもりでいたのだが、問題勃発。
スタジオでは迫力ある音像だったのに、このとき映画館で流れた音は、
全くパワーが足りないものだった。
これではライヴを追体験する映画にならない。
音を作り直すことになった。

ミキシング・エンジニアやMAエンジニアによる試行錯誤と
ブラッシュアップの作業が毎日のようにあり、日に日に
音質は向上して行った
多くのスタッフのアイディアと惜しみない尽力のおかげで、
なんとか公開までに完璧な音像を作ることが出来た。
演奏だけではなく、映画の中の全ての「音」が生々しく響くものに。
映画(映画館)における音作りは、本当に奥深い。

ということで、『横浜サンセット 2013 -劇場版-』は、
映画館ならではの大画面と大音量でスペシャルなコンサートを
観るという、今までにない体験が出来る映画です。

お近くの映画館でかかったなら、ぜひ。

p.s.
『横浜サンセット 2013 -劇場版-』は、パッケージ化の予定はありませんが、
その後行われたSPITZ JAMBOREE TOUR 2013-2014 “小さな生き物” の
大宮公演を収録したライヴ映像商品、『JAMBOREE 3 “小さな生き物” 』が
7月1日に発売されることが発表されました
映画に続き、現在これの編集やらトラックダウンなどの作業を進めている最中です。
ご期待ください。







2015年1月2日金曜日

wilsonic annual report 2014


昨年1年間の自分のことをまとめてみます。

まず、本業に関して。

その壱:2014年にリリースされた、竹内が関わった作品
(括弧内は役割&肩書き)

02月 岡本愛梨 mini album『敏感なアンテナ』(producer & director)
02月 岡本愛梨 download single「アタシ劇場」(producer & director)
07月 PERIDOTS album『TIMEPIECE』(director)
08月 ウルトラタワー mini album 『太陽と月の塔』(producer)
09月〜12月 平沢 進 リマスター&リイシュー企画全9w (supervisor)
10月 ココロオークション mini album 『ヘッドフォンミュージック』
   (2曲でarmchair directive)
11月 READ ALOUD (co-producer & director)
12月 The Beach Boys 『All Summer Long』『Smiley Smile』(liner notes)

仕事の内容は2013年と比べると仕事量は減っているが、
ヴァラエティとしては広がった。

ファンになって約10年、ようやくお声がけいただいた
PERIDOTSとのレコーディングはひたすら楽しかった。

9月からの平沢さん関連のリイシュー企画、
12月のビーチ・ボーイズのライナー執筆は本当に嬉しかった。

久々のarmchair directive仕事も楽しかったし、
新しいアーティストとの仕事は常に刺激的。

2015年はどんなアーティストとの出会いがあるだろうか。



その弐:2014年に購入した音楽

洋楽:721アイテム
邦楽:233アイテム

洋楽は順調に購入が減っている。
その分?、邦楽が2割増しくらい。
そして洋楽の購入はフィジカルが減り、ダウンロードが増えた。
DLは主にBandcampで。

昨年の年間報告で書いた、CD類の断捨離がより具体的に
なりそうな予感。
と言いつつ、宣言した書籍関連の断捨離もまだ済んでいない。

その参:2013年行ったライヴ、イヴェント数とアーティスト数

ライヴ・イヴェント:233
アーティスト数(のべ):804

イヴェント数は前年とそんなに変わらないが、
アーティスト数がめちゃ増えた。
サーキット型フェスやオムニバス・イヴェントに
たくさん出かけた、ということなのだろう。

そうそう、水口さんがキュレートするイヴェント、
“Beat Happening!” には時間が許す限りとにかく通った。
2015年も引き続き通う所存であります。


その肆:2014年に観た映画(映画館で観たもの)

2014年に映画館で観た映画の総本数は、258本
またまた昨年より大幅に増えた。
暇だったんだよなー。
ホント、今年は真面目に仕事しようと思いましたよ。

以下、2014年竹内的良かった映画(鑑賞順)。
2014年日本公開の新作に限ってます。

【洋画20選】

『少女は自転車にのって』
『旅人は夢を奏でる』
『MUD -マッド-』
『なんちゃって家族』
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
『ダラス・バイヤーズクラブ』
『LIFE!』
『ダブリンの時計職人』
『ブルージャスミン』
『グランド・ブダペスト・ホテル』
『リアリティのダンス』
『ぼくを探しに』
『ソウォン 願い』
『365日のシンプルライフ』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
『物語る私たち』
『ジャージー・ボーイズ』
『アバウト・タイム 〜愛おしい時間について〜』
『ニンフォマニアック パート1』
『インターステラー』
『ゴーンガール』

【邦画10選+1】

『東京戯曲』
『小さいおうち』
『大人ドロップ』
『闇金ウシジマくん 2』
『サッドティー』
『滝を見にいく』
『劇場版テレクラキャノンボール2013』
『こっぱみじん』
『2つ目の窓』
『ほとりの朔子』

『おとぎ話みたい <ニューバージョン>』

マシュー・マコノヒーという役者の素晴らしさを実感し、
今泉力哉という監督の才能にようやく気づき、
沖田修一がやっぱり自分にフィットすることを確認した年だった。

キネカ大森の名画二本立てで観た『わたしはロランス』
には圧倒されたが、日本での初公開は昨年ということで、
残念ながら選には入れられなかった。

新作以外では、イエジー・スコリモフスキアレハンドロ・ホドロフスキー
ジャック・タチフランソワ・トリュフォーらの作品をまとめて観る
機会に恵まれたのが何よりだった。
特にトリュフォー没後30周年の全23作品のうち、
17作を観た10月〜11月は、本当に充実していたなー。
つーかこの時期、何にも仕事してなかったなー。

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以上、2014 年の年間リポート。
2013年の年間リポートはこちら