2015年4月21日火曜日
wilsonic works 46
スピッツの約1年半ぶりの新曲「雪風」が、テレビ東京のドラマ24
「不便な便利屋」のエンディング・テーマとして、この4月から流れている。
4月15日にはiTunes、mora、レコチョクなどで配信がスタートした。
今回、この曲はCDシングルなどフィジカルの販売の予定は無い。
次のアルバムが出るときに収録されるかもしれないし、されないかもしれない。
CDとかアナログ盤とか、フィジカルでリリースされないと実感が無いし、
味気ないという意見がある。
世代的に僕もその意見はよくわかる。
例えば、1曲入りのワンコイン・シングルで出してほしい、とか。
そのためのジャケット・デザイン〜印刷、プレス、流通。
これらのコストを考えると、実は500円ではほとんど利益が出ない上に、
ユーザーにとっても「1曲で500円かよ」という割高感はあるのでは。
何か適当な音源をカップリングにして1000円で売る、というのも
ファンの皆さまに申し訳ないし、したくない。
それなら、欧米と比較したら少し高いけど、1曲約250円でDLする、
というのは悪くないんじゃないかと思う。
DLしたその瞬間からすぐに音が聴ける。
ジャケットの映像がPCや端末から楽しめる。
CDショップでCDを買っても、ポータブルCDプレイヤーが
無ければすぐには聴けない。
アナログなんて家に帰らなきゃ聴けない(それがいいんだけど)。
ちなみに僕の知人で、待望のCDをフライング・ゲットして、
どうしてもすぐに聴きたいので携帯CDプレイヤーをすぐさま購入した、
という猛者がいる。尊敬に値する行為だと思う。
僕の音源購入はCDがメイン。
ときどきアナログを買うし、DLもよく利用する。
iTunesやAmazonでしか買えない音源をDL購入することもあるし、
2010年からはBandcampのヘヴィ・ユーザーで、頻繁にDL購入している。
DL音源で困るのは、スタッフやミュージシャンのクレジットが
入っていないことが多いくらいかな。
あとはもう、全くストレスが無い。
しかしまあ、スピッツ・ファンの立場になってみると、
昨年の配信シングル「愛のことば -2014mix-」に続き、
フィジカル・リリース無し。
加えて前回書いた映画『横浜サンセット 2013 -劇場版-』も
劇場公開オンリーでDVD等パッケージの予定無し。
と立て続けの仕打ちとなってしまっている。
意図的なのではなく、たまたまなんですけどね。
いやもちろん、それぞれの対応は意味と必然があってのこと。
それぞれのコンテンツの最良の楽しみ方を考えての結論だ。
あ。
フィジカル・リリースが無いことで曲にたどり着けない
ケースのひとつに今、思い当たった。
基本的に音楽をレンタルCDで楽しんでいる人たちだ。
テレビでたまたま聴いて、スピッツの新曲をレンタルCDショップで
探したけど、無かったら、それっきりかもしれない。
ネットでググってくれるくらいの思いが無ければ。
産まれてこのかた、貸しレコードやレンタルCDを
利用したことが一度も無いので、考えが及ばなかった。
さて、「雪風」という曲に関して。
「不便な便利屋」の監督にして脚本も手がけた、“ミスター”こと
鈴井貴之さん(スピッツとは20年来の交流がある)からの依頼を受け、
ドラマのために書き下ろした、という経緯で出来た曲だ。
なので、ドラマの舞台となっている北海道の雪景色を
思い起こさせるワードが歌詞に織り込まれている。
リリカルなギターのアルペジオのスタートからして、
スピッツ印満載なイメージだけど、相当変わった構成の一曲だ。
まず、メロディがAとB(サビ)しかない。
それが2回繰り返されて、間奏なのか大サビなのか判然としない
マサムネによるひとり多重コーラス・パート(雪原の吹雪の音を
模しているようにも聴こえる)を抜けると、
静かなAメロに戻ってスッと終わる。
トータル3分ちょっとのシンプルにしてコンパクトな作品。
ちなみに、「不便な便利屋」のエンディングで流れる音源は、
サビ終わりの箇所をTV用に特別に編集したヴァージョン。
フルで1分15秒くらいあるのでなかなか最後まで流れないと
思うけど、回によってはフルでかかることもあるかもしれない
らしいので(つまり、毎回エンディングのサイズが違うということ)、
気になる方は毎回チェックのほどを!
p.s.
上記文章の最後のほうに「大サビ」というタームがありますが、
最近若いバンドと話しているとこの言葉が違う意味で使われている
ことが多く、話が通じなくなることが多い。
「大サビ」とは、英語ではbridgeとかmiddle eightと呼ばれる、
verse(Aメロ)でもchorus(サビ)でもない、基本的には
その曲の中で1回しか出てこないメロディの部分を指す。
多くの場合は2番のサビが終わってから、とか、間奏の後
などに登場する(大サビが登場しない曲も当然あります)。
っていうのが基本認識なんだが、最近のバンドマンは、
“最後にもう1回繰り返される、曲中でいちばん盛り上がるサビ”
を「大サビ」だと思っているようだ。
「大トリ」とか「大晦日」などの用法の転用なのかな?
だから最近は「大サビ」という表現をなるべく使わず、
曲の中に出てくる順番で、Aメロ、Bメロ、サビ(Cメロ)
があった上で「大サビ」が出てくるなら、「Dメロ」と
呼ぶようにしているのだが、なんか釈然としない。
釈然としないぞ。