2016年10月20日木曜日

wilsonic works 71


モノブライトのキャリア初となるセルフ・カヴァー・アルバム『VerSus』
10月12日にリリースされた。
今年4月のアルバム『Bright Ground Music』に続き、ディレクター及び
共同プロデュースで関わった。

デビューから10年という節目に、彼らがこれまで発表してきた楽曲が、
ライヴを経てどんな進化をしてきたか、を記録することを基本に
スタートしたこの企画。
僕は、カヴァーされた楽曲のオリジナル・レコーディングに立ち会っていない、
という自分の立場、立ち位置を逆手に取り、新鮮な耳で楽曲を聴き、
新しいアレンジの提言などさせてもらった。

オリジナルの枠組みを壊すことなく、そこに最新型のモノブライトを注入した、
現在の彼らの勢いとスキルが反映されたアルバムになっている。
収録曲「DANCING BABE」のMVはこちら

レコーディング・メンバーはドラムスにケンスケアオキ(SISTER JET)、
キーボードに村上奈津子(WONDERVER)という、最近のライヴでも
お馴染みの2人と、モノブライトの3人。

この5人によるレコ発ツアーが本日20日からスタートする。
題して “Bright VerSus Tour” 。
その名の通り、全国5箇所を対バン形式で回るという趣向。
詳細はこちらを参照のほど。

実は音楽制作に携わって今年で27年目にもなるが、こういった
セルフ・カヴァー・アルバムに関わったのは今回が初めて。

平沢進さんやスピッツで、単曲のリ・レコーディングなどはあったけど。

ここ最近日本ではちょっとセルフ・カヴァーが流行しているのかな。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのこれとか、175Rのこれとか。

アーティストによってセルフ・カヴァーに向かう動機や理由は様々だろう。
リリースから年月を経て、初出のときとは違うアプローチがしたい、とか、
技術やテクノロジーが進化した故に今ならこんなことが出来る、とか、
単純にオリジナル・ヴァージョンに不満があった、とか。

そして、受け取るファンも反応はそれぞれだと思う。
オリジナルがいちばん好き!という人もいれば、
新しく生まれ変わった音にワクワクさせられることもある。

以下、ちょっと個人的なことも含めて。

この種のいわゆるセルフ・カヴァーもので、僕の人生の中で
いちばん多く聴いたアルバムは、恐らく大滝詠一『DEBUT』(1978年)。
僕は、ここに収録された曲のいくつかに、オリジナル以上の輝きを見出した。

ちなみに。
便宜上このブログでもその言葉を使っているけど、
“セルフ・カヴァー” という用語は、日本でのみ通じる和製英語というか和製ターム。
しかも、本来はソングライターとして他人に提供した曲を作家本人がレコーディング
することを “セルフ・カヴァー” と呼んだのが始まりではなかったか。

今年リリースされて大きな話題となった大滝詠一の『DEBUT AGAIN』は、
その、本来日本で「セルフ・カヴァー」と呼ばれたものを集めた作品集。
ラッツ&スターや松田聖子、小泉今日子らに提供した楽曲の、
大滝本人による歌唱を収録している。

いろいろ胸に去来するものがあって、このアルバムは3月のリリース以来、
まだ1回しか聴いていない。

2016年10月8日土曜日

wilsonic works 70



前エントリからの続き。

今週は、10月5日に初の全国流通盤『omoide fight club』をリリースした、
ベランパレードとの経緯を。

プププランドを初めて観たのと同じ2014年のこと。
10月10日に新宿JAMのイヴェントを観に行くと、
宮崎から来たというこのバンドが出ていて、
やる曲やる曲みんなキャッチーなんで、ちょっとびっくりしながらライヴを観ていた。

1コーラス聴いたら、2番からは一緒にシンガロング出来る、
それくらい強烈に印象深いメロディと言葉。
そして自分たちの音楽を100%伝えようとする熱いパフォーマンス。

終演後手売りのCD-Rを購入した。
音源で改めて聴いても、曲の強さに恐れ入る。

地元が宮崎なので東京でのライヴは少なく、
その後観る機会がなかなか無かった。

年が明けて2015年の上旬、ライヴハウスでよく顔を合わせる
LUCKYHELLのスタッフと雑談していて、最近気になるバンドの
ことを話していたら、彼の口からベランパレードの名前が!
「去年観てすげーいいと思っていたんですよ!」と伝えると、
彼もびっくり。

その後、バンドが東京にライヴに来た際に挨拶したり、
少しずつ距離が縮まり、そうこうするうちにLUCKYHELLが
ベランパレードのアルバムをリリースすることになった。
件のスタッフから僕にお声がかかり、レコーディングを
お手伝いすることになった、という流れだ。

ベランパレードのアルバムでは、事前に準備する時間が結構あったのと、
トータルにプロデュースというオファーだったので、曲選び、
アレンジのチェックなど、初期段階からコミットした。

多くの曲はこれまでライヴで何回も演奏されていたものだが、
レコーディングするに当たり、改めてアレンジや言葉の載せ方などを
確認したり、あいまいだったところをクリアにしたり。

彼らにとって初めてのちゃんとしたレコーディング、しかも東京。
そしてなんかよくわからないけどプロデューサーとかいう人がいて、
あれこれと質問されたり、「こうしたら?」なんて提案される、という環境。
不安だったと思いますよ。
どこまで信用していいんだか、わからんもの。
僕が彼らの立場だったら、いろいろ疑ってかかる。

でもメンバーのみんなは、僕の言うことを真摯に受け止めて、
一生懸命頑張ってくれた。
結果、ベランパレードが今提示出来る最高のものが出来たと思う。
曲目も、ベスト・オブ・ベランパレードだしね。
全曲、抱きしめたくなるような曲ばかり。
ライヴでは全員参加の超アンセム、「ナイトウォーリー」のMVはこちら

レコーディングは普段からよく使用している祐天寺のSTUDIO MECH
エンジニアはこのスタジオ出身の英保雅裕さん。
彼の丁寧で適切なアドヴァイスが、どれだけ助けになったことか。
お世話になりました!

ということで、2014年に初めてライヴを観た2バンドと、
今年になって関わることになり、2週続けてリリースされて、
しかもお店によってはこんなふうに一緒に展開してもらえる、
そんなマジカルな経緯を2回にわたってお送りしました。
※写真はタワーレコード新宿店8F






























p.s.
それにしても、2014年はたくさんのライヴを観て、
自分にとって多くの重要なバンドに出会ったもんだ。
プププランド、ベランパレードでしょ、みるきーうぇいハラフロムヘル・・・。
このエントリを読むと、どうやら2014年が自分史上いちばん多くの
アーティストのライヴを観た年のようだ。
そして、今後これを更新することはおそらく無いだろう。

p.s. 2
そういえばプププランドもベランパレードも、僕が初めてライヴを
観たときからメンバーがひとり替わっていて、レコーディングでは
今回のアルバムが初参加、というのも共通していることに気がついた。
ただそれだけですけど。

p.s. 3
実は来週10月12日にも竹内が関わったアルバムがリリースされます。
See you sooooon!

2016年10月2日日曜日

wilsonic works 69


今週来週と、2週続けて自分が関わったアルバムがリリースされる。

9月28日に発売となった、プププランド『Wake Up & The Light My Fire』
10月5日に発売となる、ベランパレード『omoide fight club』

この2つのバンド、元々僕がライヴで見かけて気になっていて、
つまり僕自身がそのバンドのファンとなったことがきっかけで、
今回仕事としてご一緒出来た、という経緯が似ているのだ。
その辺のことをブログに、と。

まず、今回のエントリではプププランドに関して。

神戸在住のこのバンドのことを知ったのは、メモによると
2014年の6月10日、渋谷LUSHでのイヴェント、Beat Happening!にて。
軽く衝撃を受けた。

このときから既に出囃子がよしだたくろう(吉田拓郎)の「結婚しようよ」
だったかどうかはもう覚えていない。多分そうだったはず。なんだそのセンス。

「ミスター・ムーンライト」というタイトルの曲は、ビートルズ・オマージュかと
思いきや、歌詞は平尾昌章「星はなんでも知っている」を下敷きにしていたり、
フォークロック的な佇まいで「おっぱい」というタイトルの曲を演奏するという、
某バンドのアマチュア時代のステージを彷彿させる場面があったり、
かたやチャック・ベリー直系のロックンロール・ナンバーあり、
いやはや個人的に興味をそそられる要素満載で、一気に気になるバンドとなった。

その日は会場限定のCD『BOYS IN THE BAND』を購入して帰宅。
その音源を繰り返し聴いた。

翌7月に大阪のサーキット・イヴェント『見放題 2014』でもライヴを観て、
すっかりこのバンドのファンになってしまった。
その後、東京でのライヴなどを何回か観るうち、自分の中で確信した。

「このバンド、俺と一緒にレコーディングしたらきっともっと良くなるはず」

いやあの、妄想ですよ、完全に。
でも確信しちゃったんで、彼らが所属するエキセントリック・レコーズの
はいからさんにアポ取って会いに行った。
関西と東京を忙しく往復する中、わざわざお時間を割いてもらった。
僕はときどき、いても経ってもいられなくなってこういう行動を取ることがある。

peridotsがレコード会社ともマネージメントとも契約を終了した、
という話を聞いたとき、なんでもいいから協力したい、と思い、
伝を辿って本人と話をした。そのことも含めた、僕とperidotsの
これまでのことを書いたエントリはこちら

初めてandymoriの音源を聴いて、うわーすげー才能出てきちゃった、と思い、
プロデューサーであるYouth Recordsの庄司さんの連絡先を調べ、
いきなり会いに行き、いかにandymoriが素晴らしいかを
一方的にまくしたててしまったこともある。

peridotsとはそれから数年後に一緒に仕事をすることになった。
andymoriとは特に何もないまま、彼らは解散してしまった。

プププランドとは、嬉しいことに今回のアルバムのタイミングで
一緒にレコーディング出来ることになった。

アルバム・トータルのディレクターやプロデュースではなく、
収録曲の半分くらいのヴォーカル・ディレクション、
数曲のコーラス・ディレクションをお手伝いした形。

彼らのレコーディングは、とにかくみんな楽しそうなのが素晴らしい。
前向きにいろんなことを試し、みんなが遠慮せずに発言する。
今回から新たに加入した谷くんのアプローチも、レコーディングを
活性化させた要因のひとつだったのだろう。
これまで自分たちだけでレコーディングしてきたノウハウもあり、
判断が早く、サクサク進むレコーディングにすっかり感心した。

そういう中僕は、少し時間をかけてじっくりやることの効能、
みたいなものを提示してみたつもり。具体的にここには書かないけど。
多分、それなりに届いたはず。

アルバムのレコーディングは下北沢のhmc studioで行った。
LOST IN TIMEのレコーディングでスタジオを使用したことは
あったのだが、エンジニアの池田洋さんとは初のお手合わせ。
ドラムテックで参加の佐藤謙介さん含めて、新しい出会いに感謝。

そんなわけで、プププランド1年10ヶ月ぶりのフル・アルバム、
『Wake Up & The Light My Fire』は、狂熱のダンス・ナンバー、
叙情的なカントリー・ソング、トロピカルなサマー・チューン、
ヘヴィなギターが炸裂するオルタナ・ロックなどなど含む全9曲収録。
ヴァラエティに富みながらも、人懐こいメロディと
つい口ずさみたくなる印象的な歌詞が次々と繰り出される充実盤。

アルバムのオープニングを飾る「MUSIC」(なんとも堂々たるタイトル!)
のMVはこちら

アルバム制作の経緯などを語り、僕のことにも少し
言及してくれているインタヴューはこちら

10月1日の神戸からリリースツアーもスタート。
インストア含め、全国を回るので、ライヴもぜひとも。
スケジュールはこちらでチェックのほどを。

ということで秋の竹内祭、第1弾プププランドでした。
次週はペランパレードです。
See you soon.




2016年9月6日火曜日

wilsonic works 67 & 68


9月に入ってしばらく経つわけだが、8月にリリースされた自分関連のワークスに
関して、遅ればせながら記しておく。

まず、スピッツ『醒めない』の翌週、8月3日にリリースされた、
『ソウル・フラワー・ユニオン & ニューエスト・モデル 2016 トリビュート』
こちらに収録されたスピッツの「爆弾じかけ」にディレクターとして参加。

アルバム『醒めない』の中の「ブチ」「こんにちは」と同じく、
メンバーによるセルフ・プロデュースでレコーディングされた、
ニューエスト・モデルの最初期の曲のカヴァー。

僕がスピッツのライヴを初めて観たのは1989年のことだが、
それ以前の、マサムネがアコースティック・ギターを持つ前の
スピッツって、きっとこんな感じだったんじゃないかな?と
思わせるようなアレンジと演奏。
あと、この曲とか「こんにちは」は、歌入れの際、いつも使うマイクではない、
ちょっと粗く録れるマイクを使用している、というトリヴィア。

8月24日にはウルトラタワーの15ヶ月ぶりの新曲、
「ファンファーレが聴こえる」が配信リリースされた。
前作「希望の唄」がアニメ『食戟のソーマ』とのタイアップ効果もあり、
YouTubeでもうすぐ300万再生というヒットを記録した彼らの待望のリリースだ。
今回も竹内プロデュース、エンジニアに佐藤雅彦さんというコンビ。
定評のある流麗なメロディと、エモーショナルにして伸びやかな歌声。
ウルトラタワー、今回も裏切らないっすよ。
メンバーが虫刺されに耐えながらシューティングしたMVはこちら

そして昨今の彼ら、ライヴのアヴェレージ上がってきている。
「希望の唄」というキラーチューンがライヴでも効果的に
機能しているからこそ、なのだろう。
観ていて自然に身体が揺れる。

そして。
8月はラジオのゲスト出演という珍しいこともやった。
FM COCOLOの『J-POP LEGEND FORUM』
1ヶ月、ワン・アーティスト、ワン・トピックを採り上げて、
4週〜5週に亘って掘り下げるという、イマドキ非常に贅沢にして丁寧なプログラム。
8月のテーマはスピッツだった。

案内人の田家秀樹さんとは、もう随分前から面識はあり、
以前にも別のプログラムでコメント出演をしたことがあったが、
今回は1ヶ月まるごと、全部で5週にわたって出演というヴォリューム。

最初の2週は最新作『醒めない』の全曲紹介。
これはまあ記憶が新しいので精神的にはまだ気楽だったが、
3週目からは過去のアルバムすべてを時間軸で追って行く構成。
メジャー・デビュー以降、全作品にディレクターとして関わっている、
という触込みで(実際そうなんだが)ラジオに出演しているからには、
間違ったことは言えないというプレッシャーは結構キツかった。

ただ、こんなふうにまとまった形でふりかえることもそうそうないので、
当時の資料やメモ、スケジュールなどを引っくり返して、
結構楽しませてもらったことも事実。
会社員時代のエピソードとか、メンバーが知らないようなことも
盛り込んだりして、自分なりの視点でお話できたと思う。
結果、結構ヘヴィなファンの方にも喜んでもらえたみたいで、
ホッと胸を撫で下ろしている。

そういえば、7月には岡村詩野さんが講師を勤める、
“音楽ライター講座in京都” にもゲストという形出演し、
スピッツに関するお話をさせていただいた。

人前でお話することや、文章を書くことにオファーがあると、
なんか本当にありがたいことだなあ、と思う。
ディレクター続けてきてよかったなあ、とも。

そして今は、もう少し続けたいな、と思っている。

2016年7月28日木曜日

wilsonic works 66


まずは告知から。

wilsonic竹内、ラジオにゲスト出演します。
8月の毎月曜日、21時〜22時、FM COCOLOの「J-POP LEGEND FORUM」。
音楽評論家の田家秀樹さんが案内人となって、毎月音楽にまつわる1つの
トピックを深く掘り下げるという、丁寧かつ現代において非常に贅沢な番組です。
8月はスピッツがピックアップされ、5週に亘ってディレクターである竹内が
ゲストとして出演することになりました。

8月1日と8日はニュー・アルバム『醒めない』全曲特集。
15日以降の3週は、デビューから前作までを時間軸で追っていく予定。
スピッツの楽曲制作の知られざるエピソードなど、スタッフ・サイドからの
視点で語らせていただきます。
関西エリアの方は是非ともチェックしてみてください。
ラジコプレミアムなら、全国どこからでも聴けます。

番組のブログはこちら
案内人田家秀樹さんがブログでこの件をとり上げてくださいました。

以上、告知でした。

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7月27日、スピッツの15枚目のオリジナル・アルバム『醒めない』が発売された。
スピッツのアルバムが夏にリリースされるのはとても珍しく、
過去には『ハヤブサ』(2000年7月26日)だけ。以来16年振り。

今回はファンクラブ会員のみ購入可能な “デラックスエディション”、
CDにDVDもしくはBlu-rayが付いた “初回限定盤”、CDのみの “通常盤”、
そして2枚組ヴァイナル(アナログ盤)という4パターン6種でのリリース。
予約限定生産なので、既に入手が困難になっているのだが、
このブログではアナログ盤に関することを書いてみようかと。

まず、最近の自分のことから。
昨年の暮れくらいから、洋楽の新譜はほぼヴァイナル(アナログ盤)で購入している。
今年の1月〜6月に購入した洋楽の音源は約300枚。
その内、半数以上の約160枚がアナログだ。

欧米でリリースされるアルバムのほとんどがアナログもプレス
されるようになったことと、昨年末にCDを3000枚ほど処分した
ことがアナログ転向の大きな理由だ。
CDしか出ていないものはCDを買うしかないけど、
両方出ているなら、ちょっと割高でもアナログを買う。
大きなジャケットを眺めながら聴くと、音楽は更に楽しい。
音楽を “所有” するなら、アナログがいい。
そんな最近のモードなのです。
保管スペースの確保だけが大問題ですが・・・。

世界的にもアナログ・レコードの市場はここ数年右肩上がりが続いており、
日本でも、近年アナログでリリースする人が増えてきている。

そして、スピッツはこれまで全てのオリジナル・アルバムを
アナログでもリリースしてきた。

5年前、『とげまる』のアナログ盤リリース時に書いた、
スピッツのアナログ盤の歴史についてのエントリはこちら
今読むと、5年で僕自身の考え方が随分変わったことが伺えて面白い。

さて。
これまでスピッツのアルバムのアナログ盤は、CDの発売の数ヶ月後に
発売されてきたが、今回は初のCD・アナログ同時発売!

アナログをCDリリースより遅らせていたのは、
単純にアナログは製造工程に時間がかかるのと、受注のシステム等の問題があったため。
また、アナログにはアナログとして意味のあることを、と考えて、
CDとは曲順を変えたり、曲目を増やしたり、ヴァージョン違いを入れたり、
毎回オリジナルのイラストや漫画を封入したりしていたので、
準備に時間がかかっていたのだ。
今回、同時発売が実現したのは、ひとえにユニバーサルJの
スタッフの尽力のおかげ。お疲れさまでした!

今回の『醒めない』のアナログは、前作までと違ってCDと同じ曲順となっている。
深い意味はないのだが、同時発売なので徒に曲順を変えることも
ないだろう、という考えからだ。
あと、これまでは後発リリースなので、CD購入やDLしてアルバムを聴いていた人が、
別アイテムとしてアナログを買っていた、というケースが多かったはず。
内容を変えるのはそういう方へのサーヴィス的意味合いでもあった。
同発の今回はアナログ一択という方もいるのではないか、と考えると、
大幅に曲順を変えるのは適切ではないかな、と。

漫画はヤマザキマリさんの描き下ろしが実現した。
レコーディング中に、オファーに対して快諾のお返事いただき、
そのニュースにメンバー共々大いに盛り上がった。
「テルマエ・スピッツ」と題された漫画、最高です。

『小さな生き物』のアナログにはCDとほんの少しだけ違うところがあった。
それは当時全国タワーレコードで開催した “小さな生き物展” で公開した
僕の「制作メモ」でしか明らかにしていないので、知らない人が多いかもしれない。

さて、今回はCDとアナログで違いはあるのだろうか?
両方購入した方は、是非ともチェックのほどを。

あと、これは毎回そうなのだが、CDとアナログは基本的に音が違う。
フォーマットによる違いは勿論のこと、エンジニア高山徹のミックスした
音源を、CDはそのまま高山さんがマスタリング(さりげなく今回のトピックですこれ)、
アナログはビクターの小鐡さんがカッティングしている。
最終工程を違う人が行っているんだから全然違うんです。
聴き比べ出来る方は、その辺気にして聴いてみてはいかがでしょうか。
ま、CDもアナログもそれぞれめっちゃいい音であることは保証します!

本当にアナログのことしか書かないブログになってしまった。
アルバム全体の宣伝も最低限しなきゃ!

田家秀樹さんによるオフィシャル・ライナーノーツはこちら
アルバム・トレーラー映像はこちら
MVは、「みなと」「醒めない」をどうぞ。
あと、タワーレコード渋谷店8Fにて、『醒めない展』開催中です。
8月7日までなので、お早めに!

スピッツのディレクターとしてレコーディングに携わって今年で26年。
オリジナル・アルバム15枚目にして、まだまだワクワクさせてくれる、
こんなミラクルなバンドのディレクターでいられて、ホント幸せ者っす。

というわけで毎回自己新記録を更新するバンド、スピッツの最新作『醒めない』。
今回も、最高です。

p.s.
これを書きながら思い至った。
10代後半〜20代にかけて、ナイアガラ・レーベルの諸作品に触れ、
オリジナルと再発盤、CDとアナログでのヴァージョン違いなどに
大いに振り回された僕自身の経験が、スピッツのアナログ盤を出すときの
考え方に反映されているのだなあ、と。
当時、宝探ししているような気持ちで音楽を聴いていたんだ、僕は。
そして、いろんな宝物を見つけることが出来た。
それが僕の “ガーンとなったあのメモリー”。



2016年7月24日日曜日

wilsonic works 65


2016年7月13日は、パレードパレード初の全国流通盤ミニアルバム、
『Squall』の発売日。メンバーとの共同プロデュースという形で全面参加した。
今回のミニアルバムは彼らにとって3枚目だが、初の全国流通となる。

パレードパレードは、札幌で結成された4人組ポップ・バンド。
キーボード&ヴォーカルの大松沢ショージが曲を書き、
ギターの松本晃貴が詞を書く(この関係性、ウルトラタワーと同じ)。

パレードパレードの音楽は、“シティ・ポップ” と称されることが多い。
この “シティ・ポップ” というジャンル名に関してちょっと説明をば。

元々は1970年代の “ニュー・ミュージック” が、アメリカ等の同時代の
フュージョン〜クロスオーヴァー、ファンク、AOR等の影響を受け、
職業アレンジャーとスタジオ・ミュージシャンが作り上げた音楽を指す。
80年代初頭〜中盤、シンガー・ソングライターを中心に
シティ・ポップと呼ばれる音楽がひとつの潮流を作り、
アイドル、歌謡曲の世界でも同様のサウンドが導入されるようになった。

それとは別に、ここ数年、東京のバンドを中心に “シティ・ポップ” と
呼ばれるものが増えている。
これらのバンドの多くは、80年代の “シティ・ポップ” と
直結しているものではないようだ。
まず、それらのほぼ大半がバンドだということが特徴。ソロ・シンガーは少ない。
そして、70年代後半〜80年代を踏まえているのではなく、それ以前の
70年代前半へのオマージュからスタートしているバンドが多い。
はっぴいえんど、はちみつぱい、シュガー・ベイブ、ティン・パン・アレイなど。

これら70年代前半に活動したバンドたちは、その後の足跡や
度重なる再評価によって現在では揺るぎない地位を誇っているが、
70年代当時は一般的には「マイナー」だし、「マニアック」な音楽だった。

対して、80年代のシティ・ポップは、メジャーだった。
山下達郎の『RIDE ON TIME』(1980)、大滝詠一『A LONG VACATION』(1981)
という、70年代にマイナーだったバンドのメンバーのアルバムが、
80年代初頭に大ヒットしたのは、象徴的な出来事。

さてさて、かように “シティ・ポップ” というのは解釈が難しいというか、
話す人によって随分意味合いが違ってくるのだが、
話はいったいどこに進むのかというと、パレードパレードの “シティ・ポップ” は、
いったいどういう音楽なのか、ということ。

彼らの音楽の分母には、80年代の “シティ・ポップ” も、
そしてそれらを構成していた70年代〜80年代の洋邦ポップスも、
そして同じくリアルタイムに聴いてきた90年代後半〜現在に至る
同時代の音楽も総て並列にあるように思う。
スティーヴィ・ワンダーもユーミンも星野源もディアンジェロもみんな並列。
音楽を聴き始めた頃からYouTubeが存在する世代の “シティ・ポップ” 。

時代もジャンルも洋も邦も問わず、面白いと思うもの、
カッコいいと思うものを追い求め続けていたら、
全くオリジナルな音楽が出来上がった。そんな感じ。
そこに最近の “シティ・ポップ” バンドに見られる
サブカル的な側面が一切感じられないのも特徴。
とても素直に、直感的に音楽に向き合っている。

バンドの音と打ち込みを同居させ、隅々まで練り上げられたサウンド、
様々な形で現れるヴォーカル・ハーモニーへのフェティシズム。
「林檎」に顕著なちょっと淫靡な香りすらする、男女の機微を描く歌詞。
今、横並びで同じような音を鳴らしているバンドは、まずいない。
よくよく聴き込むと相当変なことやっているのに、ポップスとして機能する。
パレードパレード、最強じゃないか。

アルバム1曲目を飾る「林檎」のMVはこちら
彼らのルーツや楽曲作りの背景に迫るロング・インタヴューはこちら。
初の全国流通盤『Squall』、お見知りおきのほどを。

p.s.
パレードパレードは、前回このブログで書いたOfficial髭男dismと共通点が多い。

共にヴォーカリストが鍵盤を弾く。&ドラム、ベース、ギターの4人組。
地元である程度のキャリアを積み(コンテストで上位入賞など)、
満を持して2016年前半に上京、活動の拠点を東京に移す。
Official髭男dismは山陰、パレードパレードは北海道と、
これまで活動してきた地域の違いはあれ、年齢も近く、
僕が関わるタイミングも近かったので、ちょっとしたシンクロニシティ。

東京という情報過多な街で活動していなかったことが、
それぞれのバンドのオリジナリティ形成にプラスに働いている、
というのも共通点かな。
共に、東京からはまず出てこない音楽だと思う。

あ、ヴォーカリストが共にaikoファン、というのもオマケの共通点。


2016年6月18日土曜日

wilsonic works 64


6月15日にリリースされた、Official髭男dismのミニアルバム、
『MAN IN THE MIRROR』にディレクターとして参加した。

まずはバンドのプロフィールを簡単に。

2012年にバンド結成したピアノ・ポップ・バンド。
山陰をベースに活動を続ける。
2015年に初の全国流通盤、『ラブとピースは君の中』をリリース。
全国的には未知の存在ながら “タワレコメン” に選出されるなど、
その高い音楽性、ポップな質感が、このリリースによって俄然注目される。
2016年、活動の拠点を東京に移す。

全員が上京してすぐにこのアルバムのレコーディングがスタートしたのだが、
レコーディングしながらいろんなことをすぐさま吸収し、成長する姿を見て、
その理解力、咀嚼力にびっくりしたものだ。

やりたいこと、鳴らしたい音、目指す完成形がわかっている。
その理想に向かって、試行錯誤と取捨選択をしていく。
メンバー同士でも提案したり、相談したりするし、
エンジニアの古賀健一くんや僕が、アドヴァイスしたり選択肢を提示したり。
密度が濃く、とても充実したレコーディングだった。
僕もたくさん勉強させてもらった。

彼らの良いところはたくさんあるのだが、何より素晴らしいのは、
アカデミックな意味での音楽的知識を充分持っているのに、
出来上がったものが頭デッカチな音楽になっていないこと。
これ、とても重要。
それは彼らの音楽が身体を伴っているから。
センスや知識が先行する、リスナー体質の音楽ではないのだ。
だから聴いていて痛快なの。
考える前にカラダが反応しちゃうの。
「生演奏」の質感を大事にした音作りもとても心地よい。


個人的には、歌入れがとても楽しかった。
僕のオールドスクールな歌入れのスタイルも、
彼らの志向性とマッチしたみたいで何より。

オールドスクールな歌入れとは、プロトゥールス普及以前のスタイル、
とでも思っていただければ、と。

ちょっと脱線。

最近、デヴィッド・ボウイとの仕事で知られる音楽プロデューサー、
トニー・ヴィスコンティがアデルとちょっともめたニュース
あったけど、彼が言う通り、今どきの音楽の大半は、演奏にも
ヴォーカルにも何らか機械的な処理がされている。

新しいハードやソフト、プラグインや概念などが、
新たな音楽的刺激をもたらすことがある。
新しい音楽のジャンル名が出てくるときに、こういった新しいテクノロジー、
もしくは今までと違う使い方を発明することがきっかけとなることは多い。
ポピュラー音楽の歴史、進化は、テクノロジーの発達と切っても切れない関係にある。
それは確か。

しかし、だ。

テクノロジーを、新しい音楽をクリエイトしようという意志を持たず、
単に「便利なツール」として「安易に」使うことが昨今非常に多い。
そしてそのことによって音楽としての強度が減ってしまっているのが問題。
やり直せたり、取り返しのつく作業に、緊張感など入り込む隙はないものね。

あんまりくどくど書きたくないけど、少しだけ。

「便利なもの」は、「安易に」使ってはいけないんです。
慎重に使いましょう。
じゃなければ大胆に使いましょう。
そして「便利」が「当たり前」だと思わないほうがいい。
これは音楽に限った話じゃないよ。

あと、「音楽」は「見た目」じゃない。
これ、レコーディング現場のモニターの話ね。
画面を見て音楽を判断することに馴れてはいけない。
耳で聴いて思ったことを最優先せよ。

そんなわけで、僕のオールドスクールな歌入れは、
あまり最新の便利なテクノロジーを使わずに行われている。
必要以上にツルンとした質感の歌が多い昨今の音楽の中で、
Official髭男dismのヴォーカル藤原聡くんの、
リアルな息づかいが感じられる生々しい歌声は、どう響くのだろう。

ニュー・アルバム『MAN IN THE MIRROR』のリード・トラック、
「コーヒーとシロップ」のMVはこちら

ちなみにこのアルバム、iTunesで2週間先行リリースしたところ、
メンバーが目標としていたiTunesのアルバム・チャート1位を、
見事獲得している。
満を持してのフィジカル・リリース、というわけだ。

ご機嫌なアップテンポから切ないスローバラードまで、
詞も曲もアレンジも演奏も、更に研ぎすまされた全6曲。
ポップスのミラクルに溢れたアルバム『MAN IN THE MIRROR』、
Official髭男dismの伝説、ここからスタートです。


2016年6月14日火曜日

wilsonic works 63


6月9日の札幌ベッシーホールからスタートした、モノブライト
レコ発ツアー、“Bright Ground Music 〜B.G.M〜 Tour。
このツアー会場限定で販売されるシングル「bonobonoする」に、
アルバムに続いて共同プロデュース、ディレクションで参加した。

レコーディング自体は、アルバム『Bright Ground Music』の
作業とほぼ地続きだった。レコーディングに関わったメンツも
基本的にアルバムと同じ。
ただ、この曲はタイトルでも類推できるように、この4月からスタートした
フジテレビのアニメ、『ぼのぼの』の主題歌として書き下ろされたもの。

海と森を舞台にした『ぼのぼの』の世界を描写するように、
基本的にアコースティックな楽器と声だけで構築された「bonobonoする」。
エレクトリック・ギターを中心としたモノブライトのいつものサウンドとは、
ひと味違う仕上がりとなっている。

ツアー会場に行ける向きは、ぜひともこのワンコインCDをご購入し、
新しいモノブライトの音世界をお楽しみいただければ、と願います。

このツアー、残るは15日(水)は大阪、梅田CLUB QUATTRO、
17日(金)はファイナルの東京、恵比寿LIQUIDROOM。


さて、ここで “ライヴ会場限定CD” に関して少し書いてみようと思う。

最近の若者(若者に限らずだけど)は、まずCDを買わない。
いや今の時代、CDとは言うまい。「音源」を買わない。
音楽を「買う」という行為をしない。

「音楽が好きです」という人も、YouTubeサーフィンをするくらい。
Apple MusicAWALINE MUSICなどの有料会員だったらもう偉いレベル。
まあ、若いミュージシャン、バンドマンからして滅多にCD買わないしね。
CD買わないイコール、CDショップ、レコード屋に行かない、ということ。
だからいくら店頭でプッシュしていても、行かない人たちには一切届かない。
ライヴよく行く人でも、音源を買うという行為になかなか至らない。

音楽を買わない人を非難しているわけではない。
ただ時代がそうなっている、ということをちょっと悲しい思いで書いているだけ。

でも、ライヴ会場限定でCDを売っていたら?
これ、買う可能性高いと思うんですよ。
好きなアーティストのライヴに行って、その会場でしか
買えない音源があったら、買うでしょ。
好きなアーティストがライヴ会場でしか買えないCDを
リリースするなら、CD買いたいからライヴ行くでしょ。

初めて観たバンドのライヴがすげー良くて、しかも自分が
とてもいいと思った曲が会場限定のCDとして売られていたら、
そりゃ買うでしょ。
お金に余裕があればね。
そしてCDを再生するなりリッピングするなり出来る環境にあればね。
なんならCDというフォーマットじゃなくてもいいわけで、
それは今後の音楽の聴き方の主流に則れば良いだけのこと。

これからの(もっともっと音楽が売れなくなる)時代、
会場限定CDとか、ファンやファン予備軍に向ける売り方は有効だと思う。

あと、これからの(もっともっと音楽が売れなくなる)時代は、
大きな意味でパトロナイズが音楽を支えて行くと思われる。
会場限定CDは、そういった側面も持ち合わせるのではないか。
やり方によってはね。

いろんな意見が飛び交うクラウド・ファンディングも、僕は
やり方次第でいろんな可能性が見出せると思っている。

おっとこの調子で書き続けると止まらなくなる。

“音楽とパトロナイズ” に関しては、まだまだいろんなことを
考えなきゃいけないので、今日はこの辺にしときます。
またじっくり、改めて。

p.s.
アニメ『ぼのぼの』の原作である漫画『ぼのぼの』(いがらしみきお)は、
1986年の漫画雑誌連載スタート時から大好きな漫画だった。
30年経って好きな漫画のアニメ化、その主題歌に関われるなんて。
ちなみに、数年前谷澤智文くんから教えてもらった、いがらしみきおの
『羊の木』という漫画(原作:山上たつひこ)は衝撃だった。
『ぼのぼの』からは考えられない絵柄とストーリー。
個人的にここ数年でいちばんハマった漫画だった。
万人にオススメとは言えないけど・・・。

2016年4月27日水曜日

wilsonic works 62


本日4月27日は、スピッツの41作目(ダウンロード・シングルを含む)の
シングル、「みなと」の発売日。
フィジカルのシングルとしては2013年の「さらさら」以来約3年振り。

先週22日、テレビ朝日の「ミュージックステーション」に、
これまた3年振りに出演し同曲を披露した。
マサムネまさかのいきなり歌い出し間違えるというハプニングに、
スタッフ一同一瞬真っ青になるも、さすがに30年近く一緒に
やっているメンバー同士、阿吽の呼吸で立て直す。
結果的にはスピッツのTVパフォーマンス史上、かなりの上位に入る
出来だったのではないだろうか?

そしてこの日のもうひとつのトピック。
口笛とタンバリンでサポートに入ってもらった、スカートの澤部渡くん。

本人のツイッター(そして僕も含むリツイート)ぐらいしか
事前情報は無かったため、本番がスタートして、
視聴者の間で「あのタンバリン男は何者?」とざわつき始め、
その日以降非常に面白い広がり方を見せている。

今日、昼間に新宿のタワーレコードに行ったところ、
スピッツのコーナーにスカートのアルバムが置いてあり、
スカートを展開しているところにスピッツの「みなと」も並べられていた。
たまたまスカートを試聴してらっしゃる方がいて、
その人の片手にスピッツの「みなと」が、という光景を見るに至って、
いやあ今回こういう流れになって、本当に良かったなあ、と思った次第。
音楽が繋がって行くきっかけって、どこに転がっているかわからない。

あ、実はタワーレコード新宿店ってすごいんですよ。
4月20日のスカート『CALL』発売時の展開で、「スピッツファンにおすすめ!」
的なバイヤーによる手書きコメントがあったの。
Mステ出演の22日より前で、スピッツとスカートを結びつける情報は
流れてなかったにも拘らず。

そして、本日アップされたナタリーの澤部くんインタヴュー
インタヴュー時はMステ情報は出せないので、一切スピッツのことは
口に出していないのに、インタヴュアーからスピッツに関する質問が
出てくるというミラクル。

なんなんでしょうね、こういう偶然なのか必然なのかわからん連関。
きっと、誰かが仕組んだり仕掛けたりしたことじゃないからだと思う。

澤部くんは、今回の一連の流れを書いたこの日記で、
レコーディング参加オファーの際、「みなと」のラフミックス音源を
聴いたことを「ご褒美」と云ってくれている。
自分が大好きなものに正直に生きて、ショートカットとか楽することを選ばず、
ひとつひとつ丁寧に対処していくことは大切だなーと、改めて思う。
そういうの、必ず報われるから。
それが、ご褒美。


本日アップされた「みなと」のMVフルはこちら
ここ数年、スピッツの映像周り全般を手がけている北山大介監督、
今回も実に独創的でいて、曲に寄り添ったムーヴィーに仕上げてくれました。

ちなみに、今までに無いインパクトの今回のジャケット
アート・ディレクションはいつものCENTRAL67木村豊。
写真素材は『音楽喜劇 ほろよひ人生』という、1933年(昭和8年)の
日本のミュージカル映画のスティル。
マサムネが戦前の日本映画のスティルをいろいろ探してきて、
中でもいちばん使いたい写真がこれだった。
ちょっと見ただけでは時代も国籍も判然としない、趣深い写真だ。

僕はこの映画のことを全く知らなかったのだが、
この写真をジャケットに使用することが決定してすぐに、
読んでいる本の中にこの映画に関する記述を見つけ、その偶然に驚いた。
その本は、『大瀧詠一 Writing & Talking』という、
大瀧詠一さんが生前に残した文章や会話などが網羅されている一冊。
昨年春に出版されたこの分厚い本を僕は、読み終えたくないから
毎日少しづつ少しづつ、チビチビと読んでいる。
そんなスピードで読んでいて、たまたま今回のタイミングで
『ほろよひ人生』を共通項としてスピッツと大瀧さんが僕の中で繋がる。

すごくビックリして、その次にとても嬉しかった。
“自分勝手な偶然” に喜びを見出す。

これもまたご褒美、だったのかもしれない。

2016年4月24日日曜日

wilsonic works 61


モノブライト、2年半振りのオリジナル・アルバム、『Bright Ground Music』
4月20日に発売された。昨年ドラマーが抜け、3人体制となってから初めてのアルバム。
僕は共同プロデューサー、ディレクターとしてアルバム全体に関わった。

2007年のメジャー・デビュー以来、エンターテイナー精神溢れる
ステージング、独自の言語感覚を駆使する歌詞、変幻自在なメロディで
確固たるポジションを築き、熱狂的なファンを獲得してきた彼ら。
今回僕が参加するにあたり、これまで培ってきた彼らのやり方を尊重し、
その上で新しいことが出来たら、と思って進めてきた。

まず何よりも今までと違うのは、ドラマーがいない、ということだ。
ドラマー、誰がいいだろう?
モノブライトのデモテープを聴きながらあーだこーだと考えていると、
彼らの曲、跳ねないスクエアなエイトビートが多いことに気づく。
そこでひらめいた僕は、あるとき頭に浮かんだドラマーの名前をメンバーに告げると、

「え、藤井寿光さんって、元ANATAKIKOUのですか?」

と、旧知の仲であり、しかもメンバーが大好きなドラマーだということが判明。

「藤井さんに叩いてもらえたら最高です」

とのことで、その場で藤井くんに電話して、ドラムの依頼をして快諾を得た。

この経緯だけで今回のレコーディング・プロジェクトは良いものになる、
という予感ひしひし。

ま、考えてみればANATAKIKOUもモノブライトもXTC大好きバンド、
交流があって当然なのだった。

その次に、アレンジャー。
大半の曲はメンバーでプリプロしてアレンジがほぼ固まっていたが、
数曲は白紙状態。
ここ数作はメンバーのセルフ・プロデュースで進めてきたので、
アレンジャーと作業することがなかったモノブライトに、
これらの曲で新鮮なアイディアをもらうのもありなんじゃないか、
ということで推薦したのが、
SSWでもあるマルチ・ミュージシャン、橋口靖正

彼には3曲でメンバーと共同アレンジ、管と弦のアレンジを1曲ずつ、
鍵盤やタンバリンなど、やれることはなんでもやってもらった。
モノブライトの音楽の引き出しを増やしてもらうことが出来たけど、
彼が現場に来ると笑いがいつもの3倍くらいになるのがいいね。

実は、橋口くんとは数年前から知り合いではあったし、ライヴを
拝見したりはしていたが、レコーディングでご一緒するのは今回が初。
藤井寿光とは、ドラムテックとして仕事したことはあるが、
ドラマーとしては今回が初。
モノブライトのおかげで、機会があったら一緒にやりたい人たちと仕事が出来て、
俺得な現場でもあったわけ。

エンジニアは、僕もモノブライトも共通して信頼している三上義英さん。
彼が最終的にミックスしてくれる、という安心感が、レコーディングに
おいてリラックスできる材料になっていたことは確か。

結果、これまでのモノブライト成分は確実に残しつつ、
今まであまりクローズアップされていなかった側面が垣間みられる
アルバムになったのではないだろうか。

とかちょっと当たり障りない物言いっぽいけど、
僕、このアルバム大好きなんですよ。
自分が関わっていながら(いや、いるからこそ)、すげー好き。
モノブライトというキャリアがあるバンドの、30代バンドマンの、
パーソナルな魅力が迸っていると思う。
それは歌詞やヴォーカルだけではなく、ベースやギターの演奏にも。
あなただけにしか鳴らせない音が鳴っているよ。
あとね、ヴォーカルの質感が各曲それぞれで本当にいいよ。ほんとだよ。

そして曲順。
普段は曲順番長で、いろいろ注文をつける竹内だけど、
今回はオレ以上の集中力で曲順を考えてきた桃野くんの提案を100%採用している。
何の文句も無い。
素晴らしい曲順だと思う。
ぜひ、1曲目から通して聴いてほしい。

このアルバムのためのミーティングを始めて間もなくに持った、
このレコーディングがとても良いものになるという予感が、
一回も消えることなく段々と確信に変わっていった。
充実した日々だったなー。
マスタリング、終わりたくなかったもんなー。

って思うくらいに良いアルバムです。
これまでモノブライトを好きだった人も、知らなかったっていう人も、
ぜひぜひチェックのほどを。

ミュージック・ヴィデオも充実。
まるで音のダイヤモンドダストやぁ、というくらいキラキラの「冬、今日、タワー」
ひたすら歌の説得力に感服する「ビューティフルモーニング (Wake Up!)」、
恐いくらいに言葉が刺さってくる「こころ」
モノブライト、カタカナ表記になってから、ちとヤバいっす。

2016年2月20日土曜日

wilsonic works 60


52年生きてきて、人生で初めて書籍に解説を寄せるという仕事をした。
2月20日発売のポール・クォリントンによる小説『ホエール・ミュージック』
これ、ビーチ・ボーイズブライアン・ウィルソンのファンにはつとに知られた小説で、
永らく邦訳が望まれていたが、遂に発売に漕ぎ着けた。
主人公のキャラクターが、ある時期のブライアン・ウィルソンにそっくりで、
未完成のアルバムに取り組み続けているという、『SMiLE』を彷彿させる
設定で物語が進んで行く。

主人公を取り巻くバンドのメンバーや登場人物も、もしかしたら
これ、あの人がモデルかな、とか、あの出来事のパロディかな、
と、ビーチ・ボーイズを知っている人をニヤリとさせる場面が
そこかしこに散りばめられている。

そういった、『ホエール・ミュージック』登場人物やエピソードの、
ビーチ・ボーイズとの共通点や相違点の検証などを中心に、解説を
書かせていただいた、というわけだ。

2014年暮れの、ビーチ・ボーイズのアルバム2枚の解説の仕事に続き、
ビーチ・ボーイズを好きだ好きだと言い続けていると、
こんな嬉しいオファーが舞い込んでくることもあるのだなあ、という夢のようなお話。
邦訳が読めるだけでありがたいのに、光栄です、ほんとに。

しかも、訳者は音楽関連書籍の翻訳に定評のある奥田佑士さん、
表紙の装画は本秀康さん、デザインはサリー久保田さんと、
全員信頼出来る音楽アディクトたち。
これで面白いモノにならないわけがない!という環境だった。

実際この小説は、滅法面白い。
著者ポール・クォリントンは、作家であると同時に音楽家でもあり、
自身のバンド、ソロなどいろんな形で音楽を残している。
それゆえ、音楽的知識、ロック史への造詣が深く、
挿入されるエピソードがいちいちリアリティありまくり。
音楽好きな人なら、グイグイ引き込まれるはずだ。
(ビーチ・ボーイズの)史実にしっかり則っているところもあるが、
見てきたような嘘っぱちのエピソードもたくさん仕込まれているのが痛快。

そんなこんなで、この小説を読み解き、ビーチ・ボーイズの
結成から現在までをいろんな資料に当たって再確認するなど、
年明け1月はこの原稿にかかりきりだった。
いろいろ忘れていたことをリマインド出来て良かった。
結果、書きたいことがどんどん増えて、トータル1万字弱という
書籍の解説としては異例なくらいのヴォリュームとなった。
読み応え、あると思います。

ちなみに『ホエール・ミュージック』は小説発表の2年後の1994年に、
本国カナダで映画化されている。挿入曲「クレア」の映像でわかるように、
主人公デズモンドの造形は完璧に1970年代後半のブライアン・ウィルソンだ。
小説の邦訳に続き、この映画も日本でDVD化してくれたら最高なんだけどな。

憶測ですが、『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』のスタッフは、
映画『ホエール・ミュージック』、絶対にチェックしてますね。

『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』のBlu-rayとDVDが
発売された直後に『ホエール・ミュージック』が読める幸せ。

『ホエール・ミュージック』を読んでから、マイク・ラヴ率いる
ビーチ・ボーイズ、ブライアン・ウィルソン・バンド、それぞれ3月、4月に
来日公演を観られる幸せな2016年。

そして今年10月には、待望の自叙伝『I am Brian Wilson』が出版される。
邦訳が出るのかどうかわからないけど、とりあえず英語版出たら買う。
Kindle版も買って、辞書機能駆使して読む。
それまでは何がなんでも生き延びるよ。
人生には目標が必要なのだ。

2016年2月5日金曜日

wilsonic works 59


2月3日にリリースされた、さかいゆうのアルバム『4YU』
シングル「ジャスミン」に続いて、ディレクターとして参加した。
アルバムの全曲試聴はこちら

アルバムの方向性や曲選びなどが始まった時点から約1年間、
スタジオ作業がスタートしてから9ヶ月に亘る制作期間だった。

これまで、基本的にセルフ・プロデュースで3枚のアルバムを
作ってきたさかいくんだが、今回はまずそれにこだわらない、
というところからアルバムの構想を一緒に考え始めた。

その結果、蔦谷好位置石崎 光mabanuaAvec Avecといった
サウンド・クリエイター、作詞に渡辺シュンスケ西寺郷太森雪之丞
といった面々が名を連ねる、実に興味深いアルバムに仕上がった。
ある意味、バラバラだし、一貫性は無いかもしれない。
1曲毎にジャンルが違うんじゃないか、とも思える雑食性。

しかし、作曲と歌唱がさかいゆうであることと、アルバム全曲
(既発EP曲「サマー・アゲイン」を除く)のミックスを
molmolこと佐藤宏明が手がけることによる統一感があることも確か。

しかしこのレコーディングはいろんな意味で勉強になった。
彼が所属するオフィス オーガスタという、多くの個性的な
アーティストとたくさんのヒット曲を持つマネージメント&
制作会社の文化に触れることが出来たのがまず大きい。
ヒットに賭ける思いと、アーティスティックであることのバランスとか。

そして、さかいくんという天賦の才を持つ全身音楽家とのやりとり。
日本の音楽界の現状分析、曲に対して選ぶミュージシャンの的確さなど、
自身の歌やプレイ以外でも舌を巻く場面満載ですよ。

レコーディングを通じて様々な凄腕ミュージシャンのプレイを観て、
聴くことが出来たのも財産だなあ。
ドラマーだけでも、あらきゆうこ石若 駿岡野 'Tiger' 諭
玉田豊夢、mabanua、松永俊弥屋敷豪太ってもう!

曲によってはリズム録りからTDまで半年かかった曲もあるなど、
その曲にとって必然となる形を追求し、時間をかけて丁寧に、
でも決して考え過ぎずに(これ重要)作られた『4YU』。
奇跡的な演奏、信じられないくらい良い音のミックスなど、
注目してほしいところはたくさんあるのだが、なによりもやはり
さかいゆうの歌声、これに尽きる。
張りのあるハイトーンから、囁くようなシルキー・ヴォイスまで、
様々な表情を見せるミラクルな声。

コーラス・ワークもすごいよ。
「トウキョーSOUL」の間奏の複雑且つニュアンスに富むコーラスを、
あれよあれよという間に録っていくさまには、口あんぐり。
頭の中に鳴っている、もう出来上がっているものを形にして行く、
ということなんだなあと感心した次第。

というわけで、久々に男性ソロ・シンガーのアルバムを1枚まるごとご一緒した。
最近あまり使っていなかった筋肉を動かした、ような体験だった。

筋肉といえば。
さかいくんのライヴを観ると、彼の音楽的な才能が身体能力と
リンクしていることがよーくわかる。
平気な顔してすごいことやってる。
あれは一度、体験しておいて損は無いと思う。
ツアー、6月〜7月にあります。

p.s.
参考までに。
シングル「ジャスミン」のときのブログはこちら


2016年1月30日土曜日

wilsonic works 58


まさか自分が初恋の嵐の新作に関わることになるとは思わなかった。

1月27日に、初恋の嵐のアルバム『セカンド』が発売された。
その名の通り、彼らにとってのセカンド・アルバム。
前作『初恋に捧ぐ』からなんと13年という月日が経っている。
誰も彼らのニュー・アルバムが聴けるとは思っていなかっただろう。
僕もそんなこと、夢にも思わなかった。
いろんな意味で奇跡的な出来事だと思う。

2001年秋、僕はドリーミュージック内に“Teenage Symphony”という
レーベルを作り、最初にリリースするコンピレイション盤の構想を練っていた。
ライヴ・ハウス・シーン、インディ・シーンで蠢きつつある、
グッド・メロディを奏でるバンドを集めたコンピだ。
収録するアーティストの候補で挙がってきたのが、初恋の嵐。
当時僕の部下だったDくんからの紹介だった。

その時点で既にマネージメントやメジャーからのデビューが決まっていて、
それがまた僕の知り合いばかりで、ということもあり、
ほどなくしてバンドとも親しくなった。
コンピ参加候補曲として「涙の旅路」のデモをもらい、
あまりに良い曲なので嬉しいやら悔しいやら複雑な感情を持ったことを覚えている。
コンピにこの曲が入るのは嬉しいんだけど、他社のアーティストだから
制作とかに関われない、という悔しさ、みたいな感じ。
僕は「涙の旅路」をコンピの1曲目にした。

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その後のことをいろいろ思い出しながら書いてみたのだが、
めっちゃ長くなりそうなのと、ちょっとセンチメンタルになりすぎたので、書き直す。

2002年3月に西山達郎くんの急逝により、活動休止を余儀なくされた
初恋の嵐は、2011年にライヴ活動を再開する。
僕もスケジュールの合うときはなるべく観に行くようにしていた。
2012年にスピッツがカヴァー曲等を集めたコンピ盤『おるたな』
リリースするに際して、初恋の嵐の「初恋に捧ぐ」を新録音カヴァーした。
これは特に僕が何かをしたわけではなく、スピッツとして純粋に
この曲をカヴァーしたいということで挙がってきた楽曲。

そんなこともあり、2015年、僕が企画したスピッツ『ハチミツ』の発売20周年アルバム
『JUST LIKE HONEY 〜『ハチミツ』20th Anniversary Tribute』
初恋の嵐にも参加してもらいたいと思い、声をかけた。
以前、初恋の嵐 with Friendsで観た曽我部恵一さんの印象がとても鮮やかで、
多分「君と暮らせたら」だと相当いい形になるんじゃないか、と思った。
その通りになった。

『JUST LIKE HONEY』参加オファーに、初恋の嵐として快諾いただいた後、
逆に初恋の嵐から僕に相談されたのが、今回の『セカンド』の草案だった。

未だ正規に発表されていない西山くんの楽曲をレコーディングする。
しかも、極力生前に残された西山くんのヴォーカルやギターを使う。
当初は5〜6曲程度のミニ・アルバムという構想だった。
そのアイディアを有意義に思った僕は、レコード・メーカーとの
交渉と調整を引き受け、実現に向けて動き始めた。
話はとんとん進み、数週間後には企画にGoが出て、
僕はディレクターとして制作に関わることになった。

そこからいくつもの(本当に)奇跡的な出来事があり、ミニ・アルバムの
予定だった企画アルバムは、全10曲入りの『セカンド』となった。

隅倉弘至、鈴木正敏、木暮晋也、玉川裕高、石垣 窓、高野勲、朝倉真司。
ゲスト・ヴォーカルで参加してくれたフジファブリック山内総一郎、
スクービードゥーのコヤマシュウ、そして堂島孝平
エンジニアの池内 亮(敬称略)。
参加いただいた皆さんの素晴らしい演奏や歌唱、初恋の嵐への思いが、
アルバム『セカンド』をこのような形にした。

2002年の時点で時が止まっていた音源、素材でしかなかったものに
生命を吹き込み、タイムレスな作品として2016年に「誕生」した音たち。

幸いなことに、初恋の嵐をこれまで愛してくれた人たちにも、
今回の『セカンド』は好評と聞く。
都内CDショップでの大々的な展開を見て、ちょっと胸が熱くなった。
初恋の嵐は、忘れられるどころかどんどんリスナーを増やしている。

今回『セカンド』を知って、初恋の嵐を気に入ったら、
ぜひともファースト『初恋に捧ぐ』など、
これまでリリースされてきた初恋の嵐の名曲群に触れてほしい。

本当に残念なんだけど、集めようと思ったらすぐに全曲集められる。
そして、全ての曲に聴くべき価値を見出すことが出来る。
西山くんが書く曲は、一見とてもとっつきやすいんだけど、
皮肉や悪口やスケベな思いなど、毒ある仕掛け(本音?)がそこここに潜んでいる。
それが人間という生き物のリアルな感情や行動を浮き彫りにする。

『セカンド』収録の多くの曲は、西山くんが20歳くらいの頃に書いたものだ。
カントリー・ロック的な曲、ヘヴィなサイケデリック・チューン、16ビートで
メイジャーセブンス・コードをかき鳴らす曲など、ヴァリエイションも様々。
全曲少しずつ聴けるティーザー映像はこちら

早熟にして早逝のソングライター、西山達郎の作品は、『セカンド』のリリースで
ほぼ世の中に発表することが出来たことになる。
これを機会に、もっともっと多くの人に、初恋の嵐を知ってほしいと思う。
そして、こんな奇跡的な出来事に巻き込んでもらって、大変感謝している。
隅倉くん、鈴木まーくん、ありがとう。

13年越しで、嬉しいやら悔しいやら複雑な思いに、ケリがついた。

2016年1月25日月曜日

wilsonic works 57


1月20日にリリースされたザ・ペンフレンドクラブの3rdアルバム、
『Season Of The Pen Friend Club』に解説を書いた。
CDのライナーノーツは、一昨年末にビーチ・ボーイズのリイシューの
ときに、2枚のアルバムを担当して以来。
毎度毎度、アルバムに解説文を書くのは非常に緊張する。

ましてや、今回は再発盤ではなく、現役バリバリのバンドの新作。
文献等があるわけではないので、自分の知識を総動員するしかない。
僕の拙い文章が、ちゃんと解説として成り立っているのか甚だ疑問だが、
リーダーの平川雄一さんには喜んでいただけたみたいなので、
とりあえず第一段階はクリアしたのではないか、と。

ザ・ペンフレンドクラブを初めて知ったのは、とあるネットのニュース。
2014年の初頭に2nd EP『Four By The Pen Friend Club』のリリースを知り、
ディスクユニオンに行って、1st EP『Three By The Pen Friend Club』
も一緒に購入した。カヴァー曲の選び方、オリジナル曲のクオリティの高さに驚く。
僕と同様相当なビーチ・ボーイズ・ファンであることを知り、
勝手にシンパシーを覚えた。

前述の2014年末にリリースされたビーチ・ボーイズのリイシュー6枚の
ライナーを、ペンフレ平川さん、作家の越谷オサムさん、そして僕が
それぞれ2枚ずつ担当することになり、ますます勝手にシンパシーを
覚えた頃、初めてライヴも体験し、その場でようやく挨拶が出来た。

明けて2015年、BB5のライナーを書いた3人で新年会をやろう!
ということになり、新宿でビーチ・ボーイズのことばかり
5時間ぶっ続けで語り続ける会が開催された。
これが実に楽しかった。
この、実に駄目な会は映画『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』
公開された後に2回目が開催された。
今後も何かと動きがあり次第招集がかかりそうな気配が濃厚。
今年はマイクのビーチ・ボーイズも、ブライアン・ウィルソンも来日
するので、ちょっと活動が忙しくなるかもしれない(仕事しろ)。

というような交流の中、今回ニュー・アルバムの解説を、
というお話をいただいた。
平川さん自身が相当な音楽マニアなので、迂闊なことは書けない、
と、正直一瞬怯んだ。
でも、逆に言えばオファーを受けること自体が栄誉。喜んで引き受けた。

解説を書くに当たって、僕はカヴァー曲のオリジナル情報や周辺情報、
オリジナル曲のルーツとなっているであろうミュージシャンや曲など、
固有名詞、曲名などをなるべく多く盛り込むようにした。

僕の中高校生時代、洋楽のライナーノーツは、未知の音楽に出会わせてくれる
キーワードが満載の、魔法のテキストだった。
見たことも聞いたこともないミュージシャンの名前や、曲名などに
出くわすと、聴きたい、知りたい、という思いに駆られたものだ。
そして、そういうナヴィゲイションをしてくれる音楽評論家という
人たちを、本当に尊敬していた(今も)。

ザ・ペンフレンドクラブのアルバムを聴きながら僕の文章を読んで、
聴いたことのなかった音楽に興味を持ってくれたりしたら、
これほど嬉しいことはない。
平川さんや僕のように、駄目でズブズブの音楽ファンに
引きずり込むことが出来たら、最高だ。

ま、僕の文章はさておき。

『Season Of The Pen Friend Club』は、新しいヴォーカリスト
高野ジュンを迎えた新体制でレコーディングされた初のアルバム。
オリジナル曲とカヴァー曲それぞれ5曲ずつ、10曲の
ステレオ・ミックスとモノ・ミックスの全20トラック。
1960年代半ばのアメリカン・ポップスへの深い愛情とフェティシズムに溢れた音作り。
作品を追うごとに曲、演奏、ミックスのクオリティが上がってきているのも素晴らしい!
初の日本語オリジナル曲「街のアンサンブル」の堂々たる佇まいにも驚いた。
全曲少しずつ聴けるトレーラーはこちら。キラッキラでしょ!

今回はたまたま解説文を書かせてもらったが、
今後も引き続き、ファンとして彼らの音楽に注目していきたい。
まだまだ進化し、これからも新たな切り口を示してくれること確実だもの。

2016年1月2日土曜日

wilsonic annual report 2015


昨年1年間の自分のことをまとめてみます。

まず、本業に関して。

その壱:2015年にリリースされた、竹内が関わった作品

(括弧内は役割&肩書き)

03
 スピッツ 映画『スピッツ 横浜サンセット2013 -劇場版-(sound director)
04 スピッツ download single「雪風」(director)
05月 ウルトラタワー single 「希望の唄」(producer)
05月 ウルトラタワー mini album 『bluebell』(producer)
05 ココロオークション single「ターニングデイ | プリズム」(armchair directive)
06月 草野マサムネ「水中メガネ」(『風街であひませう』収録)(vocal direction)
07月 スピッツ Blu-ray & DVD 『JAMBOREE 3 “小さな生き物”』(director)
07月 peridots album 『PEAK』(director)
07月 sympathy mini album 『トランス状態』(co-producer, director)
09 ココロオークション album 『Relight』(5曲でarmchair directive)
(total producer)

前回のブログでも書いたが、1年中スピッツの映像周りの
チェックをしていたような気がする。
12月になんとかリリース出来た『JUST LIKE HONEY』は、本当に難産だった。
故に出来上がったときの喜びは一入。

継続して仕事の出来たウルトラタワー、peridots、ココロオークション、
内容が前作よりも更に充実した実感があったのが嬉しい。

新規のsympathy、さかいゆうが、共に高知県出身というのも面白い。
2016
年は既にスピッツ『THE GREAT JAMBOREE “FESTIVARENA” 日本武道館』
がリリースされ、この後も1月、2月、4月、6月、7月あたりまで
様々な作品の発売が続々と決まっている。
年齢も年齢だし、体調管理しっかりしないと。



その弐:2015年に購入した音楽


洋楽:479アイテム
邦楽:206アイテム

洋楽は遂に年間500枚を切った。いちばん買っていた頃の1/3。
CDよりもvinylを買う機会が増えた。邦楽も少し減少。
これくらいの枚数だと、ハズレも減るし、好きだったものを
聴き返して確認する作業も出来る。良いことずくめ。

ここ数年考えていた断捨離を遂に少しずつ決行し始めた。
音楽書籍を約800冊、CDを約3000枚処分した。
しかしこんな程度では部屋は全く片付かない。
今年はさらに進める所存。

その参:2015年行ったライヴ、イヴェント数とアーティスト数


ライヴ・イヴェント:173
アーティスト数(のべ):704
両方とも少しずつ減った。
11月〜12月はレコーディングが多く、ライヴになかなか
行けなかったのが響いている。
洋楽のライヴは少ししか観ていないが、良いものが多かった。


その肆:2015年に観た映画(映画館で観たもの)


2015
年に映画館で観た映画の総本数は、247
昨年より微減。
来年は更に減りそうな予感が今からしていてやや残念。

11月でHuluを解約した。
月に1本くらいしか観る時間が持てず、観るべき優先順位作品は
Huluにいなくて、DVDを観る時間がほしかったから。

以下、2015年竹内的良かった映画(鑑賞順)。


【洋画新作20選】

『ラブ & マーシー 終わらないメロディー』は、今までで
いちばん多くスクリーンで観た映画になった(5回)。

【邦画新作10選】


あと、今年は名画座でたくさんの旧作に触れた。
自分が初めて観て、感動した作品を以下に列挙。

【旧作初体験10選】

シネマヴェーラで上映される映画は、時間が許す限り
全て観たい、と思わせるプログラムばかり。
エルンスト・ルビッチ特集橋本忍特集、もっと観たかった。

仕事が忙しい時期だったので少ししか観られなかったの、残念。

『神々のたそがれ』でアレクセイ・ゲルマンの魔力に魅せられた。
早稲田松竹で旧作を全部観て、ユーロスペースでも復習した。
『誓いの休暇』や『炎628』など含め、ソヴィエト映画恐るべし。

戦後70年ということもあり、多くの戦争映画を観た。
世界史をもう一回ちゃんと勉強しようと思った。

今年も洋邦問わず、新作旧作の映画を楽しみたい。

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以上、2015年の年間リポート。
2014年の年間リポートはこちら