2015年9月20日日曜日

wilsonic works 53


9月16日、ココロオークションのフルアルバム『Relight』が発売された。
5月のシングル「ターニング・デイ / プリズム」に続き、
armchair directiveという肩書きで参加。
全曲ではなく、上記シングル2曲含む5曲で、あーだこーだやっている。

自分が関わった曲と、関わっていない曲が混在している作品は、
聴いていて面白い。
自分では意識していなかったことが発見出来たり、
アーティストの持つ個性や志向性が、
自分が関わっていない曲からほの見えたりするのだ。

例えば『Relight』の1曲目と2曲目。
1曲目の「day by day」はメンバーだけで制作し、
2曲目「ここに在る」は僕が参加したもの。

「day by day」の持つスピード感、一筆書きのような
メロディと歌詞の展開、一方向に徹底したアレンジとサウンド。
これらは僕が入ったら少し勢いが削がれていたかもしれない、と思うのだ。
それに比して「ここに在る」は “構築” 感があるというか、
手堅い作りになっているような気がする。

ココロオークションは、圧倒的にキャッチーなメロディを
武器とするバンドなのだが、同時に斬新なアイディアや、
自分たちが面白がれることに貪欲にアプローチをする姿勢を持つ。
そういうバンドに対して僕が行うことの多くは、いわば “剪定” 。

アイディアが斬新過ぎたり、過激だったり、ミュージシャン的な部分で
面白がり過ぎたりして、本来曲が持っていた魅力が削がれていないか、
なんてことを俯瞰や一歩退いて観ながら考える。

アーティスト発信のオリジナリティは残しつつ、
はみ出過ぎてしまった枝を切り、
より多くの人に伝わる形にする。

それが、僕の仕事。

前述のようにアルバム『Relight』全8曲のうち、
僕は5曲に関わっている。
上記の情報を得た上でアルバムを聴いて、
どれがそれなのかわかったりしたらすごいですけどね。

ともあれ。

本当に強いメロディと多彩なギター・サウンドを核とした
アレンジで綴られる『Relight』、是非ともチェックのほどを。

また、今回収録の「雨音」で3部作完結となる
「夏のMV3部作」も要チェック。以下の順番でどうぞ!
「雨音」ラスト、ヤラれますよ。

蝉時雨→②夏の幻→③雨音

そして。
最近のココロオークション、ライヴが非常に充実してるので、
東京でのライヴは行けるときは必ず行くようにしている。
速い曲もしっとりした曲もしっかり伝わる緩急あるステージ、
機会があったら是非とも体験してみてほしい。


p.s.
若い頃はアーティストと一緒になって面白がっていろんなことをやった。
いろんなことを学んだ。
成功も失敗も経験した。
無駄なこと、遠回り、試行錯誤、いっぱいやった。
余計な事はしすぎるほどいいのだ。

そういう経験を積ませてもらったことには、
当時所属したレコード会社には本当に感謝している。
今は、失敗が許されない空気が蔓延しているのが残念だ。