2012年12月31日月曜日
wilsonic 2012 annual report
2012年も残すところあと少し。
今日は今年のwilsonic竹内の活動を総括ということで。
まず、本業に関して。
その壱:今年リリースされた、竹内が関わった作品
(括弧内は役割&肩書き)
02月 スピッツ album『おるたな』(director)
04月 東京カランコロン single「×ゲーム」(producer)
04月 タニザワトモフミ album『何重人格』(producer)
05月 SAKANAMON mini album 『泡沫ノンフィクション』(producer)
08月 東京カランコロン mini album 『ゆらめき☆ロマンティック』(producer)
09月 99RadioService single「BYE × BYE」(producer)
11月 東京カランコロン mini album 『きらめき☆ドラマティック』(producer)
11月 カルマセーキ album 『鍵は開けてある』(armchair directive)
12月 SAKANAMON album 『na』(producer)
2011年がシングル3枚、ミニアルバム1枚、DVD2種しか
リリースされていないことを考えると、倍以上の仕事量。
そして、年間で6アーティストの作品に関わるのは、
メーカー・ディレクターをしていた頃でもあまり無くて、
確か1996年〜97年あたりがそうだったような気がする。
スピッツ、氷室京介、THE GROOVERS、HEATWAVE、
rosy、そして吉川晃司かな? 6アーティスト。
まあ、基本的にジャケットやMVなどにはタッチせず、
音作りのみに関与するパターンが増えてきたので、
メーカー勤務時代の毎日の煩雑さと比べると
今のほうが断然スッキリしていて忙しさの種類が
違うんですけどね。
来年もこのくらいの量の仕事をしたいものです。
もちろん、質をキープもしくはアップさせて!
その弐:今年購入した音楽
洋楽:1,143アイテム
邦楽:180アイテム
5年くらい前に、あまりにCDを買い過ぎて聴くスピードが
追いつかなくなり、反省したことがある。
当時は年間1500枚くらい買っていた。そりゃ聴けないよ。
それ以降、少しずつ買う数を減らして、
昨年は700アイテムを切るところまで行けたんだが、
今年はまた購買欲が向上してしまった。
増えた原因は、SNSとBandcampだと思われる。
知人や信頼する人のツイートで気になってすぐ購入、
とか、Bandcampなんかだと試聴して良ければすぐ
Paypalで買えちゃうから、ついつい・・・、というパターン。
結局年末になっても聴けていない音楽がアルバムに
換算して100枚くらいあるし、観ていない音楽DVD作品も
20アイテムくらいあるはず。
再び反省ですなー。
で、上記Bandcamp等の利用増により、
2011年と比べると、割合的にはフィジカル(Vinyl、CD)が減り、
ダウンロードの比率が結構上がっている。。
その参:今年行ったライヴ、イヴェント数とアーティスト数
ライヴ・イヴェント:180
アーティスト数(のべ):682
これはまあまあ自慢してもいい数だと思う。
傾向としては音源とは逆に海外アーティストよりも
日本のアーティストのライヴを観る方が、2:8くらいの
割合だった、という感じかな?
来年は海外アーティストの割合を少し増やしたい。
同時に、日本の大物アーティストのステージに
多く接したいと思った。
その肆:今年観た映画(映画館で観たもの)
若い人と話していて、「最近どんな映画観た?」と訊くと、
レンタルしたDVDで観た映画のことを話す人が多いのに驚く。
映画を観る、というのは自宅での鑑賞ではなく、映画館で観る、
という意味だと思うのは、生まれたときに家庭に一般的に
ヴィデオというものが無かった世代だけの感覚なのか?
家で観るのは「ヴィデオ(DVD, Blu-ray)もしくはテレビで映画を観る」と
形容するのではないか?
ま、いいんですけど。
今年僕が映画館で観た映画の総本数は、113本。
今年の頭に週に1本以上は映画を観るという目標を
立てていたのだが、軽くそれを上回った。
ツイッターで映画に詳しい方のつぶやきを参考に、
今まで興味の無かったジャンルにも踏み込むように
してみた。
8割以上が洋画というのは、今の平均的な日本の
映画ファンの真逆なのでしょうね。
いちばん多く通った映画館は渋谷のヒューマントラストシネマで、16回。
次点が新宿武蔵野館の14回、3位は同じく新宿バルト9でした。
以下、2012年竹内的良かった映画12選(鑑賞順)。
『ヒミズ』
『ドラゴンタトゥーの女』
『おとなのけんか』
『ミッドナイト・イン・パリ』
『さあ帰ろう、ペダルをこいで』
『サニー 永遠の仲間たち』
『灼熱の魂』
『コロンビアーナ』
『アルゴ』
『人生の特等席』
『007 スカイフォール』
『レ・ミゼラブル』
番外編
『山下達郎 presents Theater Live Performance 1984-2012』
各映画に関して書き始めるといつまでたっても終わらないと
思われるので、コメントなし。
あ、そうそう。渋谷シアターNの閉館、非常に残念。
もっと早く映画好きになって、もっといろいろ教えて
もらえば良かった。
********************************************************
以上、取り急ぎ2012年の年間リポートということで。
SNSとか映画熱とかのせいで、読書量が
劇的に減ってしまったのが唯一の悔やみ。
2013年は読書熱復活、と行きたいものです。
それでは、良いお年を。
2013年もよろしくお願いします。
2012年12月9日日曜日
wilsonic works 27
3週にわたり4作品がリリースされる "タケウチ冬の盤祭り"
の掉尾を飾るは、これがメジャー・デビュー作品となる、
SAKANAMONの『na』。
収録されている10曲のうち、9曲をプロデュースした。
今回、アルバム発売に合わせてタワーレコードで配布されている
フライヤー用に、タワレコのバイヤーさんやラジオDJ、編集者等に
混じって僕もコメントを寄せている。
その文章をここに転載してみる。
多くのヒラメキとちりばめられた仕掛け。
エモーションと緻密さの同居。
どんなに難解な言葉を使っても人懐こい表情の曲たち。
SAKANAMONの音楽は、一種の「発明」だと思う。
ここにあるいくつかのタームは、僕が音楽に対するに
当たり、非常に大切にしているものばかり。
まず、「ヒラメキ」と「仕掛け」について。
前者は曲を作り、アレンジし、演奏し歌唱するときの、
とっかかりとなるもの。
後者は曲を興味深く聴かせるための手段。
前者が右脳的なるもので、後者が左脳的、という云い方も出来る。
そして、この「ヒラメキ」こそが「発明」なのだ。
音楽は、発明。
発明しなきゃ音楽じゃない。
今回、たまたまSAKANAMONに向けて「発明」という
言葉を使ったけど、多くの優秀なミュージシャンは、
多かれ少なかれ発明し続けているものだ。
そして、発明しなくなるとその音楽は輝きを失う。
僕ら裏方は、そういう発明の才が無いから裏方をやっているのだ(笑)。
ミュージシャンが小さな発明をしたのを見逃さず、
それを商業品として世に送り出すための「仕掛け」
などを考えて、アシストをする。
それが僕の仕事。
SAKANAMONのシンガーであり、ソングライターである
藤森元生の「ヒラメキ」は、時に天才的だ。
どこからそんな着想を得るのかさっぱりわからないが、
やけに気になるモチーフや言葉を持ってくる。
最大公約数のような音楽の氾濫が、現在の音楽販売不振の
一端を担ったと思っている僕は、こういう「はみ出した」才能が
面白くてしょうがない。
次。「人懐こい表情の曲」って何だ?
これも最近ようやく気付いたんだが、僕はどうやら
シリアス(っぽい)曲やアーティストが苦手みたい。
シリアス過ぎて笑えるくらいだったらまだいいんだけど
(今年1回だけそういうアーティストをライヴハウスで
観て、周りの人が熱心に聴いている中、僕は笑いを
堪えるのに必死だったw)。
シリアス(っぽい)音楽は、とにかく窮屈。
なんていうか、解釈の自由度が低いのが苦手で。
曲を聴いて、「俺はこう思う」「私はこう感じた」と、
受け取る側によっていろんな解釈が出来る音楽が好きだ。
あと、同じ曲なのに聴く度に違う感情を揺さぶられる、
とかもうそういうの最高の音楽だと思う。
聴いただけではもちろん、歌詞カードを見ても意味が
わかりにくい歌詞のSAKANAMONの音楽は、難しい言葉を
単に難しく響かせようとしてはいない。
韻を踏んだりする言葉遊びや様々なアレンジの方法で、
歌詞自体の意味ではなく、イメージを植え付ける。
時に開放的に、時に攻撃的に、時に情けなく。
歌声のバランス&ヴァリエイションも重要。
時に無機質、時にエモーショナル、時にアホらしく。
そういった工夫や組み合わせ、加えて藤森元生の持つ
天然成分(笑)の結果、SAKANAMONの音楽は
とても「人懐こく」僕の耳に忍び寄ってくる。
実はこの「天然成分」がいちばん重要だったりするんだけどね。
やってる本人が面白がっていれば、自ずと曲に表情は生まれる。
『na』は、5日に発売されて、売れ行きも順調だと聞く。
きっと彼らの音楽は、それ自身が持つ人懐こさで、
多くの人の生活の「肴」となっていくことだろう。
ということで、アルバム『na』の1曲目を飾る、とびきり
キャッチーでいて、最後に「そのオチかい!」とツッコミを
入れたくなる曲「マジックアワー」のMV&メイキング映像は
こちら。
前作ミニアルバム『泡沫ノンフィクション』にも『na』にも
収録されている「カタハマリズム」のMVはこちら。
そして、アルバム『na』収録曲で唯一僕が関わっていない
曲「ミュージックプランクトン」のMVはこちら。
エンジニアも違うので一概には云えないけど、
「ミュージックプランクトン」と「カタハマリズム」を
聴き比べると、竹内がどういうスタンスで音に
向き合っているか、少しわかっていただけるはず。
ま、同業者向けのお話かもしれませんが。
特にヴォーカルの質感に顕著に出ていますね。
YouTubeではなく、CDで聴くとさらにわかるはず。
p.s.
今年に入ってからのSAKANAMONは、観る度に
ライヴ・パフォーマンスの完成度が上がってきている。
音源を聴いて興味を持たれた方は、是非とも一度、
ライヴをご覧いただきたい。
また、以前観たことがある方も、是非最新の彼らの
ステージをご覧になってほしい。
ライヴ情報はこちらを参照ください。
2012年11月30日金曜日
wilsonic works 26
今週11月28日に発売された、大阪を拠点に活動するバンド、
カルマセーキの4thアルバム、『鍵は開けてある』に、
面白い形で参加したので、それに関して。
僕は彼らのライヴを2011年の春くらいに渋谷WWWで初めて観た。
それまでにも、心斎橋のサーキット型フェス「見放題」で
プッシュされていたり、3rdアルバム『秘密計画』に
ANATAKIKOUのまあきこと松浦正樹がプロデューサーで
参加しているなど、共通の知人が多いこともあり、
名前だけは知っていたんだけど、ライヴや音源に触れる機会が
なぜか無かった。
で、ライヴを観て「むむっ!」と思い、その日CDを購入して
家で聴いて更に「むむむっ!」と思ってしまった。
今どきこんなにコーラスを多用するバンドも少ないし、
ポップでいながらちょっとヒネらずにはいられない性(さが)を
持て余してる風情にもシンパシーを感じた。
僕の中のセロファン〜ゲントウキ〜クノシンジのライン上にある音楽。
もしTeenage Symphonyというレーベルが今もあったら、
必ず契約したであろうバンド、なわけです。
つまり、惚れた、と。
遅ればせながらカルマセーキのファンとなった僕は、
彼らが東京に来る際にはなるべくライヴを観に行くように
なり、次にレコーディングする際には、なんか手伝わせてよ、
なんてことを話していた。
この度、念願かなってそれが実現、ということです。
で、面白い関わり方、の件。
今回、『鍵は開けてある』のクレジットに、
armchair directive: 竹内 修 (wilsonic)
と書かれている。
なんのこっちゃ、ですよね?
探偵小説、推理小説用語に、armchair detective、
っていうのがあって。
直訳すると安楽椅子探偵。
現場を一切見ることなく、事実関係と証拠などの情報のみを
頼りに事件を解決する探偵のことを指す。
今回僕は、カルマセーキのアルバム制作を手伝うにあたり、
東京に居ながらにしていかに制作作業を進めるかを考えて、
armchair directive=安楽椅子指示、という方法を試してみた。
いや、この肩書き自体は最後に考えたんだけど。
やり方は至極シンプル。
彼らが作ったデモのファイルを送ってもらい、
それに対して僕の意見をメールで返す。
僕の意見を反映してデモを作り直してもらい、
それをまた送ってもらう。
これの繰り返しで、曲をブラッシュアップして行く。
最初はこのやり方、結構大変なんじゃないかなー、
と思っていたんだけど、これが意外とスムーズで。
それもこれも、カルマセーキのメンバーの理解力の高さゆえ。
僕が伝えたことを、100%受け取り、しかも僕が思っていた
以上のレシーヴ(もしくはスマッシュ)を返してくる。
そうなるとこちらも更にエンドルフィンが分泌され、
より面白いアイディアを出したくなるのが人情ってもんで。
詞、曲、アレンジ、構成、楽器のセレクトなど、曲によって
いろんなことを提案し、彼らはそれを全て試し、
最終的に採用するかしないかは彼らの判断にお任せした。
実際のレコーディングには、リズム録りのときに1回だけ顔を出した。
ちょうど大阪にライヴ・イヴェントを観る用事があって、
その翌日、京都でレコーディングを始めたばかりの彼らを激励に。
CHAINSのラリー藤本くんが経営するマザーシップスタジオへ。
暑かったなー、真夏の京都。
そこからは、レコーディングで進展のある度にファイルを
送ってもらって、確認しつつという感じ。
最終的な質感に関して少し意見した程度で、基本的に
彼らのセルフ・プロデュースで進めてもらった。
これが、今回の ”armchair directive” の流れ。
自分にとっては非常に貴重な体験だった。
お互いの理解と信頼があれば、直接話し合ったり
一緒に音を出したりしなくても、ある程度貢献出来る、
ということがわかったんだから。
なので、全国全世界の皆さま、竹内と仕事したいけど
東京にいないから無理だ、なんてことを悩む必要は
ありません。遠く離れていても、共同作業は出来ますよ。
そして。
関わっておきながら自分で云うのもなんですが、
カルマセーキ『鍵は開けてある』は、彼らの最高傑作だと思います。
メンバーチェンジ後、最強の4人となった彼らが真摯に音楽に向き合い、
そこにwilsonicの魔法の粉を少し振りかけさせていただいた、
極上のポップ・アルバム。
アルバムのラストに収録されたリード曲、
「サガポー・ティアモ・ラヴャ」のMVはこちら。
ホント名曲。
自然体の映像もいいね。
こんな音楽が、音楽好きの人たちにしっかりと届けば、
まだまだ音楽をめぐる状況はいろいろやりようはある、
と思うんだけどな。
甘いかな。
p.s.
そうそう、『鍵は開けてある』の曲順について。
メンバーが考えたものを僕なりに少し変えて提案したら、
それが採用されたんです。自慢です。
めっちゃ流れがいいっすよ。
それぞれの曲の「役割」がきっちりと見えるとはず。
タニザワトモフミ『日本に落ちてきた男』で、
曲順考案者という仕事を請け負っただけのことはある。
はず(その経緯はこちらのエントリ参照ください)。
2012年11月25日日曜日
wilsonic works 25
昨日書いた東京カランコロンの『きらめき☆ドラマティック』収録の
「サヨナラ バイバイ マルチーズ』のMVと、CDエクストラの
ダイジェスト映像がこちらで観られます。
ダイジェストの中の、いちろーの顔にモザイクがかかっている
場面でいちろーの横にいる僕の姿が確認できます(笑)。
さて、今日は昨日に続き11月21日発売の、
竹内が関わったCDシリーズその2。
驚異の新人バンド、REAL ALOUDの『A』(エース)について。
READ ALOUDは、東京をベースに活動する男性4人組のロック・バンド。
彼らにとって初の全国流通盤となる6曲入りミニ・アルバムが『A』。
このアルバムを僕は、盟友石田ショーキチと共同プロデュースした。
以下、ちょっと竹内と石田ショーキチくんとの歴史をば。
石田くんは、スパイラル・ライフ~SCUDELIA ELECTRO~ソロと、
彼自身のミュージシャンとしての活動はもちろんのこと、
プロデューサー & エンジニアとしても多くの作品を手掛けており、
その手腕には定評がある。
実は僕は、彼の最初期のプロデュース・ワークのディレクターなのだ。
rosyという女性5人組ロック・バンドの2枚のシングルを
プロデュースしてもらったのが最初のお仕事。
これが1996年。
彼にとってほとんど初めてのプロデュースだというのに、
その手際の良さ、話の正しさ面白さ、メンバーへの説得力など、
大いに感心したことをよーく覚えている。
残念ながらrosyはその2枚のシングルをリリースした後に
解散してしまい、アルバムにたどり着けなかった。
次に2000年から2001年にかけて、スピッツのプロデュースを
お願いした。作品でいうと、シングル「ホタル」「放浪カモメはどこまでも」、
アルバム『ハヤブサ』、シングル「遥か」「夢追い虫」の時期。
石田くんの提案により、「夢追い虫」のTDは、ここ10年ほどスピッツの
メイン・エンジニアである高山徹さんで行われた。
これ、とても重要。
2002年、僕がトータル・プロデュースをしたコンピレーション
『一期一会』(スピッツの曲を様々なアーティストがカヴァーしたアルバム)
収録の、セロファンによる「夢追い虫」をお願いしたのも楽しい記憶。
スピッツのオリジナルとセロファンのカヴァー、
両方に同じプロデューサーが関わっていて、
それでいて全然違う質感に仕上がるという面白さ。
2005年から2006年にかけて、石田くんが新たに組んだ
スーパー・バンド、MOTORWORKSの作品を、当時僕が
運営していたレーベル、Teenage Symphonyからリリース
できたことは僕の誇りのひとつ。
そんなこんなで僕と石田くんは何年かおきに一緒に
何かしらやっていて、それら全てが成功したわけではないけど、
僕の中ではとても良い記憶として残っているものが多い。
それが、僕が彼を「盟友」と呼ぶ所以。
今回、READ ALOUDの所属するプロダクションから
オファーをいただき、ライヴを観たりデモ音源を聴いたりするうち、
僕は彼らの音楽の中に「ヘヴィネス」と「メロウネス」が
いい具合に同居していることに気づいた。
そして、その硬軟をうまく料理できるサウンド・プロデューサーは
石田くん以外にいない、と思ってすぐさま連絡をした。
幸い、マネージメント・スタッフの中に、以前石田くんと
一緒に仕事をしたことがある人がいたこともあり、
諸々非常にスムーズにコトが進んだのだが、なによりも
石田くんとREAD ALOUDのメンバーとの呼吸の合い方が
半端なかった。
最初のリハーサルで、メンバーそれぞれとバンド全体に対して、
良い点と改良すべき点を的確に簡潔に、
そして何より論理的に指摘し、メンバー大いに納得。
そこからは石田アニキの言葉をスポンジの如くどんどん吸収し、
短期間でスキルもマインドも急成長。
その成長っぷりに今度は石田くんがメンバーに惚れる、
という好循環。
いやー、嬉しいんですよこういうの。
自分がうまく行くだろうと思って仲介したら、
予想を超える展開、結果になるってことが。
そして今回、僕とも石田くんとも初仕事となったエンジニア、
高須寛光さんの丁寧かつアイディア豊富な仕事っぷりにも感服。
高須さんは、THE BACK HORNなどを手掛けられている、
現在メキメキと頭角を現しているまだ若きエンジニア。
いろんなマッチングがすべて吉と出て、余計なことを
考える必要のない、ストレスフリーな現場だった。
これはなかなかないことなんですよ。
今回のアルバム『A』は、そんな急成長中のREAD ALOUDが、
石田くんと高須さんと共に集中し、悩み、そして大いに楽しんで、
あと来る日も来る日もカレーばっかり食いながら(笑)作った、
非常に濃い密度を誇る内容です。
僕はもう、ただただその流れを見守るだけだったな。
READ ALOUDは、現在このアルバムを引っ提げて全国ツアー中。
今日、新代田FEVERで石田ショーキチが主催するイヴェント
"Go All The Way vol.12"に出演した彼らを観てきましたが、
さらに成長し、ライヴの説得力が桁違いに増していた。
まだまだ一部のファンにしか知られていない彼らだけど、
物語はスタートしたばかり。
今からREAD ALOUDのことを気にしてみてください。
数年後彼ら、すごいことになっていると思いますよ。
その片鱗がうかがえる、アルバム収録の6曲が
少しずつ聴けるトレイラーはこちら。
まずはチェック。損はさせません。
あー、長くなっちゃった。
でも、公約通り2日連続更新しました。
もう夜中の2時だけど。
年内、まだまだ更新します(公約)。
2012年11月24日土曜日
wilsonic works 24
今週11月21日に、僕がプロデュースで関わった
ミニ・アルバムが2枚リリースされました。
今日と明日で、その2枚をご紹介しようと思います。
まずは、8月にリリースされた「ナツ盤」こと『ゆらめき☆ロマンティック』に
続く、東京カランコロンのメジャー第2弾となる『きらめき☆ドラマティック』。
前作が女性ヴォーカル「せんせい」をメインにフィーチュアしたのに対し、
今回は男性ヴォーカルの「いちろー」がメイン。
前作同様、収録曲は5トラック、4曲がオリジナルで1曲がカヴァー。
オリジナル4曲は、充実してた前作に負けず劣らずの
キャッチーにして彼らならではのアイディアとオリジナリティが
これでもかとばかりに詰め込まれている。
新しい試みも多く、東京カランコロンの曲作りの引き出しの
豊富さにはいつも本当にびっくりさせられている。
リード曲「サヨナラ バイバイ マルチーズ」は、6/8拍子
(いわゆるハチロク)のロッカバラード。
ハチロクの曲を推し曲にするっていうのも昨今なかなか
勇気の要ることなんだけど、これがまたいい曲なんだ。
Elvis Woodstockことリリー・フランキーさんが書き下ろしてくれた
歌詞の切なくやるせない男の哀感を、いちろーが見事に歌い上げる。
冒頭と最後は、いちろー、せんせい、おいたんの3人の
ア・カペラ・コーラスという試みもいい仕上がり。
そうそう、この歌詞を最初にいただいたとき、僕は高校生の
ときに何度も何度も聴いていた、加川良の「偶成」という曲の
ことを思い出した。
失恋したときにこの曲を聴くと、ずーっと立ち直れないし、
誰のことも信じられなくなる、そんな名曲w。
『親愛なるQに捧ぐ』という、1972年のアルバムに入っています。
つまり、それと同等の "男のナルシスティックなネガティヴさ" が
「サヨナラ バイバイ マルチーズ」の歌詞には描かれていて、
ちょっと感情移入しちゃった、ということ。
20代の頃の自分自身の失恋体験を久々に思い出したり(恥)。
その他、タイトルとは裏腹にめちゃくちゃアッパーな
「フォークダンスが踊れない」、流れるようなメロディと、
よーく聴くとみんながかなりすごい演奏をしていることがわかる
「冬part2」、せんせいも出演するテレビ朝日、
『"ドラマ"ガールズトーク**十人のシスターたち**』のテーマソング
「ロンリーナイト・フォーリンラブ」(この曲は可哀そうで健気?な
女の子が主人公)と、カランコロンのいろんなタイプの曲が詰まっている。
そして今回のカヴァーは「フユ盤」ということで、
カズンの1995年の大ヒット曲「冬のファンタジー」。
前作でカヴァーした渡辺満里奈の「うれしい予感」は、
轟音ギターで覆われたシューゲイザー風味でしたが、
今回はそれとは打って変わったアコースティックなスタジオ・ライヴ風味。
この曲のアレンジには、ある曲へのちょっとしたオマージュが
入っているので、気づいた方はニヤリとしてください。
今年既に2曲入りシングル1枚、5曲入りの
ミニ・アルバムを2枚リリースした東京カランコロン。
実はその後もどんどんすごい勢いでレコーディングしております。
なんか今年、ずーっと彼らと一緒にレコーディングしてる
ような気がするなあ・・・。
次なる作品も乞うご期待!
ということで明日は11月21日に発売されたもう1枚の
竹内関連作品、READ ALOUDの『A』に関してのブログを
アップする予定。
2日連続更新なんて、ホントに出来るのか?
2012年9月19日水曜日
wilsonic works 23
本日9月19日は、99RadioServiceのニュー・シングル
「BYE × BYE」(これで"バイバイバイ"と読みます)の発売日。
収録されている4トラックのうち、タイトル曲と「リオトキオ」の
2曲をプロデュースした。
彼らと仕事をしたのは今回が初めてだが、
99RadioServiceのヴォーカル&ギターであるKo-heyとは、
LOST IN TIMEの『LOST AND FOUND』のレコーディングの
ときにすれ違っている。
「ニジノシズク」という曲のコーラスにと、海北くんが
スタジオに連れて来たのだ。
僕はこのアルバムの共同プロデューサーだったんだけど、
このコーラス録りに関しては全て海北くんの仕切り&ジャッジ
で進めていたので、当時僕はKo-heyとは挨拶もせず。
それが2010年の半ばくらいか。
当時99RadioServiceはインディから1枚目のアルバムを
リリースしてしばらく経っていた頃だった。
その後彼らはメジャーに進出し、2枚目のアルバムを2011年9月にリリース。
昨年11月のシングル「YOUTHFUL」はアニメ『ちはやふる』の
主題歌に抜擢されるなど順調なリリースを重ねる。
前作から約10ヶ月のインターヴァルでリリースされる今回の
シングルで、僕にプロデュースのお話が来た。
経緯としては、こうだ。
彼らの所属レコード会社VAPは、同じく僕が最新作『何重人格』
をプロデュースした、タニザワトモフミくんと一緒。
今年2月頃、タニザワくんのディレクター氏が出来上がったばかりの
『何重人格』をデスクで聴いていたところ、近くにいた
99RadioServiceのディレクター氏が興味を持ち、竹内という男にも
興味を持った、ということらしい。
こういう連鎖、嬉しい。
去年の暮れにも、それに似たようなことがあって、もうすぐ
それも形となって世に出て行く予定なんだが、
なんてゆーか、
ちゃんとやれば誰かがちゃんと評価してくれるし、
逆に手を抜いたり楽したりしたら、必ずその報いが返ってくる。
だから仕事はいつも真剣勝負、100%の自分を投入せねば
ならないんすよねー。
当たり前ですが。
閑話休題。
そこからトントン拍子に話が進み、ビートルズ好きのKo-taと
バディ・ホリー好きのKo-heyという兄弟を中心としたこの
バンドの曲作りに関わっていくことになった。
3月に曲を絞り込み、4月に詞やアレンジの詰め、プリプロ、
5月にはレコーディングを終える、という作業の流れ。
と書いてしまうとあっさりだが、実に濃い~い作業の連続だった。
初めて一緒に仕事をしたとは思えないほど、
最初から深いところにググっと入り込んで共同作業が出来た。
毎日のように新しいアイディアの応酬。スクラップ&ビルドの連続。
終わったときの充実感、半端なかったっすねー。
これは、メンバーがクレヴァーでオープンマインドだからこそ。
ガチンコ作業なのでときに衝突したり意地張ったりみたいな
場面もあったような気がするけど、それもすべて最良の結果を
産み出すための重要な通過点だったと云える。
そして今回のレコーディングで重要なキーパーソンが、
エンジニアのmixmix佐藤雅彦さん。
佐藤さんと竹内の初めてのお仕事は、スピッツの『花鳥風月』に新録音で
収録した「愛のしるし」と「流れ星」という白井良明さんのプロデュースの2曲。
1999年のことだからもう13年前か・・・。
その後、男女ユニット "Lita"のレコーディングでお世話になったり、
スピッツのライヴをレコーディング&ミックスしてもらったりしていたが、
ここ何年かはご一緒する機会がなかった。
今回、99の音は佐藤さんにやってもらうしかない、と直感が閃き、
andymoriやらチャットモンチーやらplentyやら女王蜂やらで
超多忙な彼のスケジュールをなんとかこじ開けていただき、久々に
お仕事させてもらった。
きっと99のメンバーとは心も音もマッチングが良いはずだとは
思っていたものの、予想以上のハモり具合。
佐藤さんのエンジニアとしてのスキルや知識の充実はもちろん、
当意即妙な話術にメンバーも僕もすっかりやられちまいました。
そして、独立されて自分のスタジオを作ったことも大いに影響している
のだと思うけど、音楽制作に対する真摯な姿勢も素晴らしく、
大笑いしながらも背筋が伸びる思いの毎日。
刺激的で真剣で、参加するみんながそれぞれの最大の力を
発揮する。それでいて笑いが絶えない現場から生まれた音楽。
99RadioServiceのニュー・シングル、「BYE × BYE」には、
そんなマジカルな音が封じ込まれています。
タイトル曲「BYE × BYE」は、Ko-heyの切ない声質を活かした、
秋の気配にマッチする失恋ソング。
2曲目「リオトキオ」は、表題曲とはうって変わって、地球の裏側まで
踊り倒すくらいの勢いの、ライヴではシンガロング必至の
アッパー・チューン。
3曲目以降は僕は関わっていないんだけど、トラック3は、
僕も大好きなアメリカのパワーポッパー"Bleu"が彼らのために
書き下ろした曲だし、4曲目は前作シングル「Youthful」の
ライヴ・ヴァージョンと、盛りだくさんとなっております。
ギター&ヴォーカルのKo-taが演出した「BYE × BYE」の
MVもぜひともチェックのほどを。
2012年8月14日火曜日
now I am a moviegoer
以下、2012年の7月上旬に下書きして、そのまま放置していた
ブログを本日加筆訂正してアップします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
前々回のエントリで、
「仕事が忙しくないときは昼間から映画観たり」
なんて書いたけど、
実は40年以上、映画には特に興味なかった。
子どもの頃、親に連れて行ってもらった記憶は
いくつかのゴジラ、ガメラ程度だろうか?
テレビで放映される映画はいくつか観て、
激しく揺さぶられたことがあったけど、
音楽のようにさらに深く探究したりすることはなかった。
あー、20代の頃ジョン・ヒューズものとかにちょっと
ハマりかけたことがあったけど、長続きはしなかったなー。
そんな僕がですよ、去年から週に1回は映画館で
映画を観る、ということを義務付けていて、
厳密にいうと週に1回は行けないこともあるんだけど
ほぼそのくらいのペース(もしくはそれ以上)で続けている。
きっかけはJon Brion。
彼が音楽を手掛ける一連の映画をDVD等で観て、
映画と音楽の密接な関わりに気付いたり、
ポール・トーマス・アンダーソンという監督の作品に
触れることにより、現代アメリカ映画の面白さに
気付き始めたりするわけだ。
で、ジョンが関わった映画は劇場で観るようにしよう、
と思って、『ハッカビーズ』とか観たりし始めたんだけど、
とどめは『脳内ニューヨーク』かな。
僕はこれが日本で公開されたとき、一週間で2回観た。
この映画で、映画の面白さと音楽の素晴らしさと、
フィリップ・シーモア・ホフマンという俳優に改めて唸り、
ミシェル・ウィリアムスという女優に惚れてしまうのだ。
それが2009年の11月。
翌2010年は、気になる映画があったら、
時間を見つけては映画館に足を運ぶ
ようになっていた。月に2本くらいの頻度かな?
で、2011年、前述のように週に1回は映画館に行こう、
という目標を立て、多分年間で60本くらいは観たと思う。
ベストは『アリス・クリードの失踪』かな。
ただ、その他何を観たかとかメモしなかったんであまり覚えていない。
なので、今年は3段階くらいで評価するメモも始めてみた。
そのメモによると、今年上半期に映画館で観た映画は、
全部で42本。月に平均7本。健闘しております。
その中で今のところのベストは、
今年に入って、2回観たのはこの映画だけ。
次点は『おとなのけんか』か『ヒミズ』か『ル・アーヴルの靴みがき』か?
『さあ帰ろう、ペダルをこいで』は、映画としては大作でもないし、
なんていうか、まあ地味なほうでしょう。
でもね、なんか最近こういう「家族」とか「無償の愛」
とかに弱いんですよ。
そして、時代や社会に翻弄される人々の、
どうしようもない運命、とか。
だから僕は『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』も
『きっとここが帰る場所』も好き。
あと、主演のミキ・マノイロヴィッチが本当に上手い
(昨年リヴァイヴァル上映された『アンダーグラウンド』で、
彼とエミール・クストリッツァ監督と、音楽家ゴラン・ブレゴヴィッチを知り、
これまた長い旅がスタートするのですが、それはまた別の機会に)。
でもですね。
やっぱ付け焼刃の映画ファンだから、まだまだ全然ダメ。
知識全然ないし、映画の観方よくわかってない。
『スターウォーズ』も『マトリックス』も観たことないし、
フェリーニもヒッチコックも黒澤も1作も体験しておりません。
これからひたすら修行だなー。
ただ、今は映画を観るのが純粋に楽しい。
まだまだすごい映画、面白い映画、恐ろしい映画が
いっぱい待ち構えているかと思うと、身震いする。
音楽にしても小説にしても、ひとりの人間が一生の
うちに体験出来る数は限られている。
だからこそその人なりの好みや指向があって、
それによる選択がまたその人を作っていく。
これまで触れてきた多くの音楽や文学によって今の僕が作られた。
そして、新たに僕の世界を構築するコンテンツとして、映画が加わった。
今までほぼ未体験だった映画の世界が、40代後半の男の視界に、
新しい色を着けてくれる。
要するに。
久々に音楽以外の趣味が出来たんで嬉しい、という、
ただそれだけの今回のブログでした。
wilsonic works 22
前回のエントリのときはまだ制作途中だったが、
それから2ヶ月強、東京カランコロンのメジャー・デビュー・ミニアルバム、
『ゆらめき☆ロマンティック』が8月15日の発売日を迎える。
なんでもお盆休みの物流の都合とかで、通常は発売日前日に
店頭に商品が並ぶものだが、早いところでは昨日13日に
超フライング・ゲット出来る状態になっていた。
先ほど僕も、7階で大展開していただいている、タワー新宿にて
ゲットしてきたばかり。
このミニアルバム、男女ツイン・ヴォーカルを擁する彼らの、
女性ヴォーカルの「せんせい」をフィーチュアした楽曲を中心に
組まれた全5曲。
プロデュースに関わった自分が云うのもなんですが、
その密度たるや半端ないっす。
1曲目「泣き虫ファイター」は、元チャットモンチーの高橋久美子さんが
初めて他者に歌詞を提供したことも話題の超キャッチーな失恋?ソング。
せんせいのヴォーカル、今までとはひと味違う新しい表情が新鮮!
これまで全ての楽曲をいちろー及びメンバーだけで作ってきた彼らが、
なぜ高橋さんに作詞を依頼したのか、などが、高橋さんとの対談形式で
語られているナタリーの記事はこちら。
そして「泣き虫ファイター」のMVはこちら。
楽しい振り付けはなんとラッキィ池田さん!
2曲目「夏Part1」と3曲目「ウキウキエブリデイ」の作詞は、共にせんせい。
これまでほぼ全ての作詞を、男性ヴォーカル&ギターの
「いちろー」が手がけてきた東京カランコロンだが、
今回は作詞にヴォーカルにせんせい大フィーチュア。
いちろーの強くて印象的な詞に対し、せんせいの詞はMC等の
彼女のイメージと同様の、ふわふわしたドリーミーな世界観に溢れている。
4曲目にはアニメ「ちびまる子ちゃん」主題歌の、「うれしい予感」
(オリジナルは渡辺満里奈)のカヴァーを収録。
ご存知の方はご存知のように、僕は相当なナイアガラ・マニア
だったので、勘ぐられる方もいらっしゃるかもしれませんが、
このセレクトは僕ではありません(笑)。
せんせいが「ちびまる子ちゃん」の大ファンだということで、
彼女がこの曲をピックアップしてきた、というのが真相。
オリジナルとは似ても似つかぬシューゲイザー的アレンジにより、
(といいながら根底に流れる共通するものはある)、
これはこれで相当面白いヴァージョンになったと思う。
5曲目「ララララ」はいちろーの作詞。
ヴォーカルもメインのラインを主にいちろーが歌っている。
彼の曲作りに対するスタンスが、彼らしい語り口で綴られている。
今回、彼の詞は5曲中この1曲だけだから、余計にいちろーの
キャラクターが浮き彫りになっているのかもしれない。
という内容。
最後まで聴くとまた最初から聴きたくなる、そんな5曲の流れ。
メジャー・デビューが決まり、どういうコンセプトで
リリースして行くのか、をコンセプチュアルに考え、
その戦略に沿って曲作りを始め、練り上げて行く。
その瞬間瞬間に立ち会って彼らを見続けてきているわけだが、
彼らがすごい速さで成長していることを実感するここ数ヶ月だった。
いろんなラッキーやミラクルを呼び込み、周りの人を
ぐいぐい巻き込んで行く勢いたるやもう。
アラフィフの僕にはとうてい真似できない反射神経と
吸収力、そして体力。感嘆ものです。
彼らのその急成長&努力が遺憾なく封じ込められた
『ゆらめき☆ロマンティック』。
ぜひとも手に取って、聴いてみてください。
なお、素晴らしいアートワークは、ゆずやSEKAI NO OWARI
などの作品で知られるファンタジスタ歌磨呂さん。
タニザワトモフミの『何重人格』も彼の仕事。
とにかくアイディアの宝庫。
今回のジャケット写真、アーティスト写真、これは合成では
ありません。どうやって撮ったのか推測するのもまた一興かと。
あと、東京カランコロンはCDも素晴らしいけどライヴがまた
すごくいいと評判なので、音が気に入った人はぜひとも
彼らのステージを体験してほしい。
9月12日に渋谷クアトロにてワンマンのチケット一般発売は8月18日より。
ソールドアウト必至なので、早めのゲットをお勧めします。
ワンマン含む今後のライヴの詳細はこちら。
そして。
僕は何より彼らの上昇志向、貪欲さが大好きで。
インタヴューなどを読んでみるとおわかりのように、
彼らは売れたいとためらいもなく云いきり、そのために
いろんなことにチャレンジしたい、テレビにもいっぱい
出たい、と云う。
だから彼らはメジャーに行き、さまざまな戦略を考え、
やりたいことやるべきことを具現化していく。
しっかりとした骨格の音楽を作った上で考える
戦略だから、決して間違わない。
実に頼もしい。
こうなったらもう、バカみたいに売れてもらわないと。
いやほんとに。
そのためのお手伝い、これからもしっかりやらせていただく所存。
あーもう、悪い予感のかけらもない。
2012年6月7日木曜日
major debut!!!
東京カランコロンが今日6月6日、渋谷WWWのライヴにて、
彼らのメジャー・デビューを発表した。
レコード会社はavex、8月15日にミニアルバムでデビュー。
詳細はこちらのニュースをご覧ください。
この、メジャー・デビュー盤にも、ありがたいことに
僕はプロデューサーとして引き続き参加している。
インディーからメジャーに進出しても、
プロデューサーとして関わることができる。
これこそがフリーランスであることの醍醐味であり、喜びだ。
メーカー・ディレクター(A&R)は、アーティストが
移籍したら担当であり続けることはできないし、
社員だとしたら制作から異動となることもある。
そして、レコード会社の社員ディレクターだった頃、
常につきまとっていたジレンマがあった。
このアーティストがたとえ売れなくても、そのことで
すぐに自分の地位が危うくなるわけではない。
(もちろん、成績によって降格や異動はあるけど)
そういう「安全圏」にいる自分が、2年間の専属契約
が終わったときにはどうなるかわからないアーティストに
対して伝える言葉に、果たして重みはあるのだろうか?
そして僕は本当に彼らのことを思って発言している
のだろうか?
ずーっとそのことを自分自身に問い続けていた。
その後、契約社員とか社外プロデューサーとか、
いろんな立場を経て、今現在の状態に落ち着いて
もうすぐ4年。
収入も仕事のペースも非常に不安定、
不本意な人事異動の心配はないけど、
病気なんかしたらもう大変、誰も助けてくれない。
そんな環境に、少し精神的に凹んでいた時期もあった。
でも今は、おかげさまで忙しくさせていただいており、
毎日レコーディングにライヴに、充実した日々を送っている。
そして、社員ディレクターだった頃にあったジレンマは、
今は全く無い。
自分の考え方、発言に一切の戸惑いや躊躇が無くなった。
僕はこのアーティストの作る音楽を、より良くするために
僕の出来る限りのことをしている、と、
常に胸を張って云える。
思い起こすと、東京カランコロンとライヴハウスで出会い、
仲良くなって、約1年後に一緒に仕事をすることになった、
その一連の経緯(このエントリ参照)によって、
僕は自分のやり方に自信を持てたのかもしれない。
小学生のころから好きだった「音楽」を仕事にして、
大好きなミュージシャンと一緒に仕事ができている。
おまけに会社勤めじゃないから会議やノルマがない。
一日中音楽のことを考えていることもできる。
一日中音楽のことを考えなくても誰にも怒られない(笑)。
仕事が忙しくないときは昼間から映画観たり、
ライヴを観にフラッと地方に遠征できたりもする。
なんて幸せなことなんだろう?
そんな幸せを改めて噛みしめながら、
今日カランコロンのライヴを観ていた。
今日初披露した、元チャットモンチー高橋久美子さん
が歌詞提供してくれた新曲「泣き虫ファイター」始め、
ミニアルバム収録の5曲、レコーディングはあと少しを
残すのみ。
素晴らしいメジャー・デビュー・ミニアルバムとなる
こと請け合いですので、ぜひともお楽しみに!
2012年5月16日水曜日
wilsonic works 21
5月16日は、気鋭の3ピース・ロック・バンド、SAKANAMONの
2nd mini album『泡沫ノンフィクション』の発売日。
僕は今回初めて彼らの作品をプロデュースした。
とはいえ、今回が初めましてだったわけではなく。
SAKANAMONと初めて出会ったのは2010年の新宿LOFT。
ブッキング担当のHさんのお眼鏡にかなった若いバンド
ばかりを集めたイヴェントだった。
そこで観たSAKANAMONは、声のユニークさと
3ピースながら打ち込みを使ったアレンジなども
聴かせる、ちょっと気になるバンドだった。
僕はその場で彼らの自主制作CDを購入した。
数ヶ月後、やはりまたLOFTで彼らを観た。
この時、少し彼らと会話したんだっけか?
よく覚えていないが、SAKANAMONは僕の中で
"気になるバンド"のひとつとしてインプットされていた。
2011年、旧知の東京カランコロンが『あなた色のプリンセス』を
リリースする頃、僕はリリース元であるBUDDY RECORDSの
Eさんと知り合う。
カランコロンをプロデュースすることになり、Eさんと
諸々情報交換などしているうち、実はSAKANAMONも
Eさんが担当されてBUDDYからミニ・アルバムをリリース
することが判明。
狭い世界ですねー、なんて云いながら、数ヶ月ぶりに
また彼らのライヴを観たりメンバーと話したりしているうち、
自然な流れで今回の作品に関わることになった。
それ以外にも意外なつながりとか奇縁があって今回に
繋がっているんだけど、長くなるので割愛。
つまりなんていうか、出会いは偶然とかではなく必然である
ことが多いよなぁ、ということ。
陳腐なものの云い方になってしまったけど、
近年本当にそう思えることが多い。
このテーマはまたいずれ。
『泡沫ノンフィクション』は、昨年9月発売の『浮遊ギミック』に
続くミニ・アルバム第2弾。
前作収録の「ミュージック・プランクトン」に代表される、
エッヂーなギター・サウンドに絡むやや難解でいて
遊び心に溢れた歌詞がSAKANAMONの特徴のひとつで、
今回もその辺は遺憾なく発揮されている。
今回のリード曲「カタハマリズム」の詞とメロディの
関係性ではそれが更に磨きがかかり、オリジナリティと
爆裂度、すごいレベルに到達している。
そして重要なのは、独自でありながら彼らの音楽は
あくまでもキャッチー、ということ。
それでこそポピュラー・ミュージック。
わかりやすい言葉並べたり、歌いやすいメロディなら
キャッチーっていうわけじゃないんだよ、
ということをSAKANAMONは教えてくれる。
その他、「脳内マネジメント事情」、「四畳一間の哲学」
での際どくギリギリな音楽的言葉遊び、複雑な構成なのに
カタルシスに満ちた「淡麗アルコロニカ」、美しき轟音で
聴く者を違う場所に連れて行ってくれる「ピラミッドの少女」、
全5曲それぞれが違う貌でSAKANAMONの魅力を
伝える内容となっている。
彼らをご存じない方は、まずは「カタハマリズム」のMVをどうぞ。
まだ全員20代前半。
前途洋々。
藤森、木村、森野。
やたらと「木」が多いメンバーの苗字(笑)。
興味深い対バンのイヴェントも続々と決まりつつあるので、
ライヴもぜひ。
近いところでは今日5月16日の下北沢GARDEN、
5月24日の新宿LOFT。
6月30日にはリリース記念の自主企画を下北沢Shelter、
7月5日にはスペースシャワー列伝にも出演する。
ライヴの詳細はこちらをどうぞ。
ヴォーカル藤森の天然っぷりを筆頭とした、
それぞれキャラの立っているメンバーを確認してほしい。
*************************************************
今年は自分が関わった作品が続々とリリースされる。
その都度このブログで報告しますので、ぜひとも
チェックのほど、よろしくお願いします。
wilsonicクオリティは、あなたの音楽ライフを充実させる
ことをお約束します(結構本気)。
2012年4月26日木曜日
wilsonic works 20
昨日4月25日は、タニザワトモフミの3rdアルバム『何重人格』の発売日。
僕は今回このアルバムのトータルのプロデューサーとして参加した。
トータルの、という言葉を使うのは、各曲にサウンド・プロデューサー、
アレンジャーが存在するから。
『何重人格』は4つのレコーディング・セッションで作られた
12曲が収録されている。
バンド、ソロ・アーティストを問わず、このような作りのアルバムは
最近はあまり多くないのではないか?
大体は一つのトーンでまとめていることが多い。
あとは、シングル曲だけ有名プロデューサー使って、
他はセルフとか、新進のアレンジャーを使う、というパターン。
なぜなら、複数のサウンド・プロダクションでやると、
1. 全体をまとめること、統一感を出すことが難しい。
2. スケジュールの管理が大変。
3. 合理的ではないので予算がかさみがち。
そしてなにより、
4. とにかく面倒くさい。
というような理由から、アルバム全体をひとつの
サウンド・プロダクションで貫き通すことが多いのだろう。
僕がこの世でいちばん嫌いな言葉は、「面倒くさい」。
冗談以外ではこの言葉をなるべく使わないようにしている。
だって、面倒くさいことをなんとか工夫して努力して
乗り越えてこそ、楽しいゴールが待っているんじゃないの?
面倒くさいことを回避して楽ちんに物事を進めても、
最大でも想像通りの結果しか得られない。
そんなのつまんないじゃないか。
というわけで、思いついちゃったらどんなに大変だろうが
理想に向かって走り始める僕でして、昨年8月に立ち上がった
このアルバムの構想、いつしか曲ごとに違う主人公がいて、
それに応じた歌詞を作り、ってことはアレンジも変えて、
なんならサウンド・プロデューサーも複数ピックアップしよう、
というようなことを考えてしまった。
タニザワくんとのディスカッションの末にそうなったので、
僕だけの責任ではないと思うが、タニザワくんを
非常に面倒くさい作業に付き合わせてしまったことは確か。
多分彼の労力、負担はこれまでのどの作品よりも
多かったと思われる。
ごめんね。
でもね、その甲斐はあったと思いますよ僕は。
前作『日本に落ちてきた男』が大傑作であるのは
もう日本ポップス界の常識ですが、その後に
出す "待望のニュー・アルバム" という期待に
きっちり応えられるものが出来たんではないか?
と自負しております。
では今回関わってくれた4つのサウンド・プロダクション
の説明をば。
まずは『日本に落ちてきた男』をを全編サウンド・プロデュース
した驚異のポップ・マエストロ、石崎光(cafelon)。
アルバム・リード曲である「四季娘」を始めとして、
4曲を担当。ビートルズを始祖とするグレート・ブリテン・マナー
満載のアレンジでタニザワくんの曲を引きたてています。
エンジニアは柏井日向。このチーム、信頼度抜群!
そしてタニザワくんとはインディーズ・デビュー当時からの
盟友である、sugarbeans。シンガー・ソングライターであり、
ドラマーでありキーボーディストであり、もちろんアレンジャー、
プロデューサーである彼は、変幻自在のアレンジで
タニザワくんを料理。アルバムのオープニングを飾る
「世界一周ノスゝメ」含む3曲で腕を振るってくれた。
彼が関わるとなんか無国籍な?異国情緒が醸し出される
のが不思議。
前作『日本に~』のアートワークやMVを手掛けた
SLEEPERS FILMのメンバーであり、バンドgolfのメンバー
であり、タニザワトモフミのライヴ・バンドのギタリスト
でもある関根卓史が2曲で参加。
基本彼とタニザワくんとだけで構築するデスクトップ・ミュージック。
すっとぼけて坦々と進む「ラブラブ♡MP3」と、
爆裂する料理ソング「炒飯奉行」、全く性格の違う2曲に
仕上げてくれた。
そして残る3曲がグレンスミス。
昨年リリースされた『ROMAN ALBUM』は僕の2011年
邦楽アルバム・チャートBEST3に入るくらいの衝撃だった。
それをタニザワくんに聴いてもらったところ、彼もえらく
気に入ってくれて。一緒に曲作りたいよねーということで
ダメモトでオファーしたところ、快諾いただいた。
グレンスミスにとっても初めての他流試合、そして
クノシンジがグレンスミスに参加してから初めての
セッションだったこともあり、最初は手探り状態から
スタート。しかし、セッションを重ねるごとに呼吸が合ってきて、
最終的には素晴らしい3曲が出来上がった。
以上4種類のセッション。
それぞれに試行錯誤や紆余曲折は当然あったけど、
結果的には絶妙なバランスでアルバムの中で
それぞれが光を放っているのではないか、と。
オフィシャル・サイトで全曲試聴出来ますので是非。
そしてこのある意味バラバラな音たちを、見事に
1枚のアルバムとしてまとめ上げてくれた
マスタリング・エンジニアは日本が誇る世界の小鐡こと、
JVCマスタリング・センターの小鐡徹。
今までもそうですが、今回さらに小鐡さんの腕に
シビレました。平伏!
今回、ヴィジュアル周りに関しては僕は関与してませんが、
ジャケットのADはファンタジスタ歌麿呂さん、
「四季娘」MVの監督は山崎連基さん。
お二人ともタニザワくんの音楽に共鳴してくれて、
素晴らしい作品に仕上げてくれています。
しかし『何重人格』っていうタイトル、しみじみいいなー。
リリースになった今、改めて思う。
p.s.
僕とタニザワくんとのこれまでに関しては、こちらのエントリ
をお読みいただくと、なんとなくおわかりいただけるか、と。
あと、『日本に落ちてきた男』はアルバムの内容は
もちろんのこと、ライナーノーツも読み応えありますんで、
まだお持ちでない方は是非ともご購入のほどを。
買わないと読めません(笑)。
2012年4月18日水曜日
wilsonic works 19
今日4月18日は東京カランコロンのニュー・シングル、
「×ゲーム」の発売日。
昨年の「少女ジャンプ」同様、プロデューサーとして関わった。
「少女ジャンプ」のメイン・ヴォーカルはせんせいだったけど、
今回のメインはいちろー。
彼の伸びやかなハイ・トーンが活きるメロディックな楽曲。
なんか、曲ももちろんだけど、詞の評判も良いみたい。
これまでの東京カランコロンは、すべての作詞作曲編曲を
バンド内で賄ってきたけど、今回の表題曲「×ゲーム」には、
共同アレンジでcafelonの石崎光くんが参加しており、
カランコロンのサウンドに華を加えてくれている。
光くんは多分このブログでいちばん頻繁に名前が出てくる
ミュージシャン & プロデューサーなのではないかな?
来週も彼の名前登場の予定w
つまり、僕がここ数年、最も信頼しているアレンジャー、
サウンド・プロデューサーの一人である、と。
ホント、いつも期待以上の貢献をしてくれて、
毎回多くの刺激を与えてくれる。
カップリングの「true! true! true!」はライヴでの超人気曲
の待望の音源化。こちらもメインはいちろーで、ファルセットを
駆使した80‘s的ダンサブルなアッパー・チューン。
音源としては以上の2曲だけど、CD-EXTRAで4曲の
ライヴ映像が収録されているのがまたお得。
ライヴに定評のある彼らの、今年1月に開催された、
"ワンマ ソフェス2012"での映像をお楽しみあれ。
************************************************
そんなニュー・シングルの発売日だった本日。
僕は都内某スタジオでレコーディングをしていたのだが、
殊の外作業がスムーズに進み、19時にはお役御免となった。
おかげで行けないと思っていた東京カランコロンの
新宿LOFTでのライヴに駆けつけることが出来た。
曲が出来た頃、アレンジがなかなか固まらないままに
試行錯誤でライヴ演奏されていた「×ゲーム」が、
今日はすっかりと彼らの代表曲のように響いていた。
カランコロン自身のバンドとしてのスキルアップもあるし、
バンドと石崎光くんとでいろんなアレンジのアイディアを
出し合って出来上がった、という経緯の結果でもある。
ひとつの曲が、デモや弾き語りの状態から完成品に
出来上がるまでの経緯を見守ったり監督したりするのが
僕のメインの仕事。
そこにルーティンはない。毎回新しいことが起きる。
だからこの仕事はいつも新鮮で飽きることがない。
その積み重ねで、今日みたいにバンドや曲が着々と
"成長"していく経過を一緒に体験、もしくは目撃出来る。
これこそこの仕事の醍醐味だよなあ、と改めて。
ロフトに行けてよかったなー。
レコーディングをサクサク進めてくれた某アーティスト
にも感謝だなー。
っていうか、こういう流れって偶然やラッキーじゃなくて、
絶対そのライヴは観ることになってるんだよ、とか。
まあいいか、そんな話は。
そんなわけで急成長中の東京カランコロンの
ニュー・シングル、「×ゲーム」をよろしくです。
毎回素晴らしいアートワークは古賀鈴鳴さん。
今回はカランコロン史上最もヴィヴィッドな色遣いですね。
そして、メンバーの役者魂炸裂?のMVも必見ですよ。
2012年3月7日水曜日
LOST IN TIME 10th Anniversary
LOST IN TIMEが今年デビュー10周年。
それを記念して、初めてのベスト・アルバムが2種、
本日3月7日にリリースされる。
タイトルは『BEST きのう編』と『BEST あした編』。
2枚合わせて全33曲。
うち、新曲が5曲。
僕がプロデュースで関わった曲は7曲収録。
それぞれ1枚モノとして独立しているのだが、
初回限定特別仕様の2枚組もある。
しかもこちらには、ドラマー大岡源一郎の視点で
捉えた彼らの10年間が読めるヒストリー・ブックが
同梱されている。
読みました。読み応えあって相当面白い。
源ちゃんの視点は、当事者でありながら冷静で、
冷静でありながら愛情にあふれており、
彼の存在がLOST IN TIMEというバンドの10年を
下支えしてきたんだな、ということがよーくわかる。
そして、もしお近くにタワーレコードがある方は、
そちらでこの2枚組限定盤を購入するといい。
なんと太っ腹にもタワレコ限定で約60分にも及ぶ
ヒストリーDVD「すべては風の吹くままに」がもらえるから。
これ、10年間の貴重なライヴの映像、歴代メンバーの
証言、コメントをヴォーカル海北大輔のナレーションで
綴る、ファンならマストな内容なのだ。
そして、ワタクシ竹内も証言者の一人としてDVDに
参加させていただいております。
ひと足お先に送付いただき、DVDを堪能させてもらった。
これがもう丁寧に丁寧に作られており、特典なのにおしげもなく
労力がつぎ込まれていて相当びっくりした。
フツーに売り物のヒストリーDVDレヴェルですよ!
僕もちょっと顔を出す予告編でご確認を→http://youtu.be/JU9shTqlI5M
メンバーのみならず、彼らをとりまくレーベルやマネージメントの
スタッフ全員の誠実さがそのままカタチとなったかのよう。
こういう姿勢があるからこそ、10年間続けてこれたのだろうし、
誠実にいたからこそ、ファンは彼らを信頼するのだろう。
改めて背筋が伸びるなー。
そんな彼らの歴史の一部に関われたことを、誇りに思います。
海北くん、源ちゃん、三井くん、
これからも、お互い躓いたり迷ったり悩んだり笑ったりしながら、
少しずつ前進していきましょう。
10周年、おめでとう。
p.s.
これまでの僕とLOST IN TIMEとの関わりについて
触れたブログのエントリは以下のとおり。
2008年、シングル「希望」のときはこちら。
2009年、『明日が聞こえる』のときはこちら。
2010年、『ロスト アンド ファウンド』のときはこちら。
2012年2月1日水曜日
wilsonic works 18
今日はスピッツのSPECIAL ALBUM『おるたな』の発売日。
SPECIAL ALBUMっていうのは、オリジナル・アルバムではない、
くらいの意味合いで、第1弾となる『花鳥風月』をリリースする
ときに考えた名称。今となってはちょっと安易過ぎたかなー、
とも思うけど、まあいいか、実際スペシャルだから、などと
自分に言い聞かせている。
『おるたな』は、その『花鳥風月』(1999年)、2004年の『色色衣』
に続く第3弾。
これまではシングルのカップリングを主体としていたものが、
今回はカップリング曲とカヴァー曲とで構成されている。
昨年末、TVドラマ『僕とスターの99日』主題歌に起用された
原田真二「タイム・トラベル」のカヴァーも、このアルバムで
ついに初ディスク化。
そして、初回封入特典。
前作まではメンバーの座談会を封入していたんだけど、
今回はなんと僕が書いた「制作ノート」というものが封入
されています。
実はスピッツって、これまでにいろーんなカヴァーをやって
きているんですよ、ということや、レコーディング時の
状況や曲にまつわるエピソードなどを書いています。
気になる方は初回盤をゲットして読んでみてください。
っていう告知だけじゃなんなんで、ここではそこには書かなかった、
とても印象に残っている、スピッツのカヴァー曲の話を。
時は1992年4月25日。
ミニ・アルバム『オーロラになれなかった人のために』発売日に
行われた、弦管を入れたスペシャルなコンサートが、いまはなき
有楽町よみうりホールにて行われた。
コンサート・タイトルは非常に長いんで書きたくないくらいだけど(笑)、
「オーロラになれなかった人のために “蜜柑色の満月のもとで、
まぼろしの物語を語ろう ~一夜限りの絵空事~”」
でした。長すぎる。
この日、コーラスの寺本りえ子さんと一緒にデュエットしたのが、
ベッツィ&クリスの名曲「花のように」。
デビュー曲「白い色は恋人の色」に続く第2弾シングル、
作詞作曲はデビュー曲に引き続き北山修、加藤和彦のコンビ。
これがねー、もう絶品だったんですよ。
オリジナルは姉妹だから両方女声なんだけど、
マサムネの声がうまーく寺本さんと混じって。
でも、お客さんには通じたのかなぁ?
デビュー2年目のロック・バンドの弦管入りスペシャル・コンサートで、
20年以上前のヒット曲を披露する、という構図。
「花のように」リリース時、スピッツのメンバーは2歳だから、
同年代の人間はまず知らない曲。
実にチャレンジングな試み。
「ロビンソン」で大ブレイクする3年も前、そんな無茶な選曲をして、
アイデンティティを模索していた、ということなんだろうな。
といったこととかいろいろ思い出しながら書いた
『おるたな』の「制作ノート」、お楽しみいただけたら幸いです。
あ、初回盤は3面デジパック仕様で冬野さほさんのイラストが
ぐっと映える作りとなっていますので、お早めにどうぞ。
と、こんなところで2012年初のブログを終わりたいと思います。
p.s.
もひとつ思い出した。
1992年4月25日のよみうりホール、
発売日なので『オーロラになれなかった人のために』
即売の陳列をしようと商品を取り出したところ、
僕と販促担当の人間は蒼ざめた。
なんと、ブックレットの表1と表4が逆になってセットアップ
されていたのだ。
つまり、表1が “9分割の写真” ではなく、“手のひらの上に洋梨”
という状態。
2週間前に上がっていたサンプル盤では正しく入っていたのに!
その後のバタバタはよく覚えていない。
その日の即売は取りやめたのかすらも。
全国に出回った商品は出来る限り回収&交換したが、
当然全部を回収できるはずもない。
その時ブックレットが反対に入ったCDを購入し、
シュリンクしたまま持っている方がいたら、
それは相当にレアなものです(笑)。
登録:
投稿 (Atom)