2016年1月25日月曜日
wilsonic works 57
1月20日にリリースされたザ・ペンフレンドクラブの3rdアルバム、
『Season Of The Pen Friend Club』に解説を書いた。
CDのライナーノーツは、一昨年末にビーチ・ボーイズのリイシューの
ときに、2枚のアルバムを担当して以来。
毎度毎度、アルバムに解説文を書くのは非常に緊張する。
ましてや、今回は再発盤ではなく、現役バリバリのバンドの新作。
文献等があるわけではないので、自分の知識を総動員するしかない。
僕の拙い文章が、ちゃんと解説として成り立っているのか甚だ疑問だが、
リーダーの平川雄一さんには喜んでいただけたみたいなので、
とりあえず第一段階はクリアしたのではないか、と。
ザ・ペンフレンドクラブを初めて知ったのは、とあるネットのニュース。
2014年の初頭に2nd EP『Four By The Pen Friend Club』のリリースを知り、
ディスクユニオンに行って、1st EP『Three By The Pen Friend Club』
も一緒に購入した。カヴァー曲の選び方、オリジナル曲のクオリティの高さに驚く。
僕と同様相当なビーチ・ボーイズ・ファンであることを知り、
勝手にシンパシーを覚えた。
前述の2014年末にリリースされたビーチ・ボーイズのリイシュー6枚の
ライナーを、ペンフレ平川さん、作家の越谷オサムさん、そして僕が
それぞれ2枚ずつ担当することになり、ますます勝手にシンパシーを
覚えた頃、初めてライヴも体験し、その場でようやく挨拶が出来た。
明けて2015年、BB5のライナーを書いた3人で新年会をやろう!
ということになり、新宿でビーチ・ボーイズのことばかり
5時間ぶっ続けで語り続ける会が開催された。
これが実に楽しかった。
この、実に駄目な会は映画『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』が
公開された後に2回目が開催された。
今後も何かと動きがあり次第招集がかかりそうな気配が濃厚。
今年はマイクのビーチ・ボーイズも、ブライアン・ウィルソンも来日
するので、ちょっと活動が忙しくなるかもしれない(仕事しろ)。
というような交流の中、今回ニュー・アルバムの解説を、
というお話をいただいた。
平川さん自身が相当な音楽マニアなので、迂闊なことは書けない、
と、正直一瞬怯んだ。
でも、逆に言えばオファーを受けること自体が栄誉。喜んで引き受けた。
解説を書くに当たって、僕はカヴァー曲のオリジナル情報や周辺情報、
オリジナル曲のルーツとなっているであろうミュージシャンや曲など、
固有名詞、曲名などをなるべく多く盛り込むようにした。
僕の中高校生時代、洋楽のライナーノーツは、未知の音楽に出会わせてくれる
キーワードが満載の、魔法のテキストだった。
見たことも聞いたこともないミュージシャンの名前や、曲名などに
出くわすと、聴きたい、知りたい、という思いに駆られたものだ。
そして、そういうナヴィゲイションをしてくれる音楽評論家という
人たちを、本当に尊敬していた(今も)。
ザ・ペンフレンドクラブのアルバムを聴きながら僕の文章を読んで、
聴いたことのなかった音楽に興味を持ってくれたりしたら、
これほど嬉しいことはない。
平川さんや僕のように、駄目でズブズブの音楽ファンに
引きずり込むことが出来たら、最高だ。
ま、僕の文章はさておき。
『Season Of The Pen Friend Club』は、新しいヴォーカリスト
高野ジュンを迎えた新体制でレコーディングされた初のアルバム。
オリジナル曲とカヴァー曲それぞれ5曲ずつ、10曲の
ステレオ・ミックスとモノ・ミックスの全20トラック。
1960年代半ばのアメリカン・ポップスへの深い愛情とフェティシズムに溢れた音作り。
作品を追うごとに曲、演奏、ミックスのクオリティが上がってきているのも素晴らしい!
初の日本語オリジナル曲「街のアンサンブル」の堂々たる佇まいにも驚いた。
全曲少しずつ聴けるトレーラーはこちら。キラッキラでしょ!
今回はたまたま解説文を書かせてもらったが、
今後も引き続き、ファンとして彼らの音楽に注目していきたい。
まだまだ進化し、これからも新たな切り口を示してくれること確実だもの。