2016年4月24日日曜日
wilsonic works 61
モノブライト、2年半振りのオリジナル・アルバム、『Bright Ground Music』が
4月20日に発売された。昨年ドラマーが抜け、3人体制となってから初めてのアルバム。
僕は共同プロデューサー、ディレクターとしてアルバム全体に関わった。
2007年のメジャー・デビュー以来、エンターテイナー精神溢れる
ステージング、独自の言語感覚を駆使する歌詞、変幻自在なメロディで
確固たるポジションを築き、熱狂的なファンを獲得してきた彼ら。
今回僕が参加するにあたり、これまで培ってきた彼らのやり方を尊重し、
その上で新しいことが出来たら、と思って進めてきた。
まず何よりも今までと違うのは、ドラマーがいない、ということだ。
ドラマー、誰がいいだろう?
モノブライトのデモテープを聴きながらあーだこーだと考えていると、
彼らの曲、跳ねないスクエアなエイトビートが多いことに気づく。
そこでひらめいた僕は、あるとき頭に浮かんだドラマーの名前をメンバーに告げると、
「え、藤井寿光さんって、元ANATAKIKOUのですか?」
と、旧知の仲であり、しかもメンバーが大好きなドラマーだということが判明。
「藤井さんに叩いてもらえたら最高です」
とのことで、その場で藤井くんに電話して、ドラムの依頼をして快諾を得た。
この経緯だけで今回のレコーディング・プロジェクトは良いものになる、
という予感ひしひし。
ま、考えてみればANATAKIKOUもモノブライトもXTC大好きバンド、
交流があって当然なのだった。
その次に、アレンジャー。
大半の曲はメンバーでプリプロしてアレンジがほぼ固まっていたが、
数曲は白紙状態。
ここ数作はメンバーのセルフ・プロデュースで進めてきたので、
アレンジャーと作業することがなかったモノブライトに、
これらの曲で新鮮なアイディアをもらうのもありなんじゃないか、
ということで推薦したのが、
SSWでもあるマルチ・ミュージシャン、橋口靖正。
彼には3曲でメンバーと共同アレンジ、管と弦のアレンジを1曲ずつ、
鍵盤やタンバリンなど、やれることはなんでもやってもらった。
モノブライトの音楽の引き出しを増やしてもらうことが出来たけど、
彼が現場に来ると笑いがいつもの3倍くらいになるのがいいね。
実は、橋口くんとは数年前から知り合いではあったし、ライヴを
拝見したりはしていたが、レコーディングでご一緒するのは今回が初。
藤井寿光とは、ドラムテックとして仕事したことはあるが、
ドラマーとしては今回が初。
モノブライトのおかげで、機会があったら一緒にやりたい人たちと仕事が出来て、
俺得な現場でもあったわけ。
エンジニアは、僕もモノブライトも共通して信頼している三上義英さん。
彼が最終的にミックスしてくれる、という安心感が、レコーディングに
おいてリラックスできる材料になっていたことは確か。
結果、これまでのモノブライト成分は確実に残しつつ、
今まであまりクローズアップされていなかった側面が垣間みられる
アルバムになったのではないだろうか。
とかちょっと当たり障りない物言いっぽいけど、
僕、このアルバム大好きなんですよ。
自分が関わっていながら(いや、いるからこそ)、すげー好き。
モノブライトというキャリアがあるバンドの、30代バンドマンの、
パーソナルな魅力が迸っていると思う。
それは歌詞やヴォーカルだけではなく、ベースやギターの演奏にも。
あなただけにしか鳴らせない音が鳴っているよ。
あとね、ヴォーカルの質感が各曲それぞれで本当にいいよ。ほんとだよ。
そして曲順。
普段は曲順番長で、いろいろ注文をつける竹内だけど、
今回はオレ以上の集中力で曲順を考えてきた桃野くんの提案を100%採用している。
何の文句も無い。
素晴らしい曲順だと思う。
ぜひ、1曲目から通して聴いてほしい。
このアルバムのためのミーティングを始めて間もなくに持った、
このレコーディングがとても良いものになるという予感が、
一回も消えることなく段々と確信に変わっていった。
充実した日々だったなー。
マスタリング、終わりたくなかったもんなー。
って思うくらいに良いアルバムです。
これまでモノブライトを好きだった人も、知らなかったっていう人も、
ぜひぜひチェックのほどを。
ミュージック・ヴィデオも充実。
まるで音のダイヤモンドダストやぁ、というくらいキラキラの「冬、今日、タワー」、
ひたすら歌の説得力に感服する「ビューティフルモーニング (Wake Up!)」、
恐いくらいに言葉が刺さってくる「こころ」、
モノブライト、カタカナ表記になってから、ちとヤバいっす。