2010年12月18日土曜日

wilsonic works 9: Rainy Day In December


初めてはっぴいえんどというバンドの存在を知ったのが、
確か中1くらいだと思う。
云っておくけどリアルタイムじゃない。
僕が中学1年生っていうことは、1975~6年あたり。
はっぴいえんどの解散コンサートは1973年ですからね。

友人のお兄さんから借りた、中津川フォークジャンボリー
のアルバム。
ライヴ・ヴァージョンの「12月の雨の日」をここで
初めて聴いた。

小学校高学年の時から日本のフォークに目覚め、
当時社会現象になっていた井上陽水、
解散したばかりのかぐや姫などを皮切りに、
中学校に入ってからは、学校の先輩や同級生の
お兄さんやお姉さんらからLPを借りて、
吉田拓郎の作品を遡って聴くなど、
どんどんのめり込んで行った。

ちなみに当時の同級生、女子は松山千春、
男子はアリスとか、そんな時代。

そんなさ中に、はっぴいえんどと出会った。
第一印象は、「なんか辛気臭いなー」だった。

僕が当時大好きだったのは、加川良と高田渡。
岡林信康もいくつか好きなものがあったかな。
後から考えたら全部はっぴいえんどがバッキングで
関わっている人たちだけど、
僕ははっぴいえんど自体には全く興味がわかなかった。

はっぴいえんどの音を本腰入れて聴くようになった
のは、1981年に大滝詠一の『A Long Vacation』
がリリースされて以降。
竹内、既に高校2年になっておりました。
それからはしっかり聴きこみましたよー。
中学校の時からちゃんと聴いておけばよかった、と
後悔しながら・・・。

まさか1985年、はっぴいえんどの再結成を目にする
ことになろうとは、当時は思いもよりませんでしたねー。

ましてや、はっぴいえんど楽曲のカヴァーに関わることに
なろうとは、全く予想だにしませんでしたねー。

というわけで、竹内最新ワークは、今週15日にリリース
されたばかりのコンピレーション・アルバム、
1973年にリリースされた唯一の公式ベスト盤
『CITY』収録曲のカヴァー・ヴァージョンを集めたアルバムです。

これに収録された、おとぎ話による「12月の雨の日」
を、メンバーと共同プロデュースしております。

このアルバム、既発表曲と新録音とを織り交ぜた内容なんですが、
ヴァラエティに富んだ聴きごたえあるものに仕上がっています。
おとぎ話以外で僕の推し曲は、
既発表ではセンチメンタル・シティ・ロマンスの「花いちもんめ」。
新録音ではジャンク フジヤマの「さよなら通り3番地」かな。

おとぎ話の「12月の雨の日」は、彼ら特有のガレージ~
オルタナなバンド・サウンドが気持ちよいヴァージョン。
アルバム内でバンド・サウンドが意外と少なかったので、
通して聴くとより新鮮です。
有馬君のヴォーカルは、自分たちのオリジナル曲を
歌う時よりも抑制が効いていて、これまた新鮮。

あと何より、この曲でイントロがメジャー・キー展開っ
ていう解釈のカヴァーは初めてなんじゃなかろうか?と。
やっぱおとぎ話、面白いバンドです。

12月28日には、ゲストに曽我部恵一さんを迎えた
よろしかったら目撃してください。


さてさて、そして。
「12月の雨の日」といえば、僕は8年前にも同じ曲の
カヴァーに関わっています。
コレに収録されたスピッツのヴァージョン。

テツヤによるイントロ等のサイケなギターが
スピッツなりのオリジナリティだけど、
基本的なテンポ感やコード進行は原典に忠実な作り。

アルバム『三日月ロック』のセッションとほぼ同時期
にレコーディングしたんだよなー、とか思い出すと、
ちょっと懐かしいや。

それはさておき。

高校生の頃に大好きで聴きまくっていた音楽を、
ディレクターやプロデューサーとして関わる
アーティストと一緒にカヴァーすることが出来る
なんて、とっても幸せなことだなー、と思う。

しかも、この10年の間に2つのバンドで同一楽曲!

音楽ファン冥利に尽きますな、というお話でした。







2010年11月6日土曜日

wilsonic works 8: Lost and Found


LOST IN TIMEのニュー・アルバム
来週11月10日に発売になります。

前作『明日が聞こえる』に続いて今回も僕が
共同プロデュース&ディレクションで関わっています。

前回はお互い初顔合わせということや、
ギターの三井くんが初参加ということもあり、
最初の段階では間合いを測りかねていた
部分もあったけど、
今回は最初から要らぬ遠慮もなく、
ガッツリとやらせてもらった。

なんか、前評判も相当良いみたいなので嬉しい。
今回は僕が関わったことが前作以上に
意味がある、と手応えを感じていただけに。


僕のプロデュースやらディレクションの手法は
アーティストによって全く違う。
メーカー・ディレクターを長くやっていたから
必然的にそうなった。

LOST IN TIMEとの作業は、今まで僕が
関わってきたアーティストの中では、
THE GROOVERSとのそれに近いかもしれない。
メンバーと一緒にスタジオに入っているとき、
「あれ、グルーヴァーズのときはどうだったっけ?」
なんて考えることが数回あった。

ソングライターやバンドがある程度のキャリアや
実力を持っていれば、客観的な視点からの
アドヴァイス=プロデュースだけで随分と面白い
ことになる、というやり方。
抽象的で申し訳ないけど。

僕はノン・ミュージシャン・プロデューサーなので、
関わる音楽の「音楽性」そのものに一貫性はないし、
サウンドを聴けば一発で竹内の音だ!と
わかるようなタイプの音作りはしていない。
いや、できない。

だから、ときどき「あれも竹内だったの?」
なんて云われることもある。

そして、竹内が「一体この作品で何をしているのか?」
がわかりにくいのも特徴(?)。
何もしてねーんじゃねーか、という説もある(笑)。


それはさておき。

LOST IN TIMEはインストア・ライヴ
発売記念24時間Ustreamやら、リリースに合わせて
いろんなことを企画中。
また、メンバーの3人はそれぞれブログやTwitter
やってますので、こちらのトップ・ページ
確認してみてください。

また、いち早く聴きたい、という方、
iTunes Storeで既に先行配信がスタートしてます。
まずは1曲目から試聴してほしい。



余談だけど、さっき名前の出たTHE GROOVERSと
LOST IN TIMEが先月、下北沢CLUB Queで2マン共演した。
LOSTのメンバーも相当に緊張&感激していたけど、
僕にとっても特別な夜だった。
この15年くらいが一つに繋がった感じ、自分の中で。

長くやってると、いいこともあるな、とか。









2010年11月2日火曜日

3-3-2-2-1-1


タイトルはなんの数字かといいますと、
10月27日にリリースしたスピッツのアルバム『とげまる』
のオリコン・デイリー・チャートの推移です。

店頭入荷日の26日に3位からスタートして、
2日毎に順位を上げて行った。

そしてウイークリーでは2位。

こういうの、なんか嬉しい。

圧倒的な初登場1位ってのも恰好いいけど、
粘り腰でジワジワ順位を上げるのも、相当いい。


この前、ツイッターにも書いたんだけど、
今の時代なかなか新譜がドカンと売れなくて、
チャートにはかなりの割合の旧譜が並んでいる。

この状況って、ここ20年くらいの日本のチャート史
としては珍しい現象なのかもしれないけど、
UKチャートなんてずっとそんな感じだし、
Billboardもカントリー系の台頭が顕著なように、
昨今ロングセラーが非常に多い。


みんなもう、表面的なことでは騙されない。
無意味に派手な宣伝、売れてる感のでっち上げ、
もう通じない。世界的に。

そして、願望を込めて云えば、
「内容が素晴らしいものは時間がかかっても
最終的には成功する可能性が出てきた」
のではないか、と。

だからこそ、これからの音楽、
より丁寧に、より誠実に作らねば届かないような気がする。


今のCD産業の規模は、ピーク時の半分程度だけど、
1978年あたりと同等らしい。

逆にいえば、80年代から90年代の20年間が異常な
成長だったのかもしれないな、と。
特に90年代は、別に音楽が好きでもない人に
CDを売りつけていただけなんじゃないかな、と。

クラスの中で、音楽が大好きで話が合う奴なんて、
せいぜい一人いるかいないかだった。
学年全体で3人とか。
きっと今もそんなもの。
そして、CDを買うという行為以外の音楽への
様々な接し方が今はあるわけで
(パッケージ主体の)チャートからは、音楽全体の
流行の実態が、より見えにくくなるんだな、と。


さてと、そろそろ何を書きたいのか
わからなくなったのでやめます。

あ、先月20日に発売された、月刊音楽雑誌
「ミュージック・マガジン」11月号スピッツ特集に、
僕のインタヴューが載っています。
ユニバーサルのA&R、海部くんと共に。
インタヴュワーは能地祐子さん。
いつもダメでアホな話(失礼!)をしている相手にマジメに質問される、
という不思議体験でした。

2010年10月16日土曜日

Covers of Music Magazines


ありがたいことだなあ、というお話。

先日、音楽評論家の小野島大さんがTwitter
スピッツに関してつぶやかれていたことに心から同意、
というか感謝、というか。

要するに今月、いろんな音楽雑誌でスピッツが
表紙になっていて、それはとてもバンドとして
理想的な姿なんじゃないか?ということなんだけど。
ホント、ありがたいことです。

今回のタイミングでスピッツ(もしくは草野マサムネ)
が表紙にピックアップされている雑誌は、以下の通り。


こんなに多くの表紙を同時期に飾らせてもらえたことは、
かつてなかったんじゃなかろうか?
加えて、これらの雑誌の前の号の表紙は誰だったか、
というのを調べてみると、上から・・・、

凛として時雨
GLAY
VAMPS
マキシマムザホルモン
Cocco
キリンジ

となる。

月刊誌、隔月誌など入り混じっているため、タイミング
の違いもあり、本当の意味で横並びではないんだけど、
こうして比較してみると雑誌のスタンスや
読者層の違いが見えてくるかと。

それなのに、各誌がスピッツの新譜に対して
フォーカスを合わせてきてくれた。


バンド結成23年、来年デビュー20年、
オリジナル・アルバム13作目の "ヴェテラン" バンド。

アルバム収録全14トラックの内、半分の7曲に
タイアップがついている、というのも史上初。

なんだろう、ここにきてこの「需要」は?

音楽業界の現状と照らし合わせてみれば、
思うところ、考えるべき側面はいっぱいある。

でも今は、ただただありがたいな、と。

君たちがやってきたことは間違ってなかったよ、
って云われているみたいで。


スピッツ13thアルバム『とげまる』は10月27日発売です。




2010年9月29日水曜日

wilsonic works 7


本日9月29日は、スピッツの37枚目のシングル、

2ヶ月前に「ビギナー」の配信スタートに関して書いたけど、
ようやくパッケージとしてもリリース。

今回もカップリングには2曲のライヴ・テイクが
収録されていて、これがまた絶品です。
ちなみにパッケージでしか聴けない音源なので、
お聴きになりたい方はどうかCDにてご購入のほど、
お願いいたします。

「シロクマ」のミュージック・ヴィデオは既にYouTubeの
公式チャンネルで公開しているんで是非ともチェックを。
監督は前作に続き北山大介(orange films)。
毎度毎度の不眠不休作業、お疲れ様です!


そしてそのリリースと同時に、10月27日に発売される
13枚目のアルバム『とげまる』の詳細情報も解禁となりました。

前作『さざなみCD』から3年。
いやあ、長かった。
シングル「若葉」を含む最初のレコーディング・セッションが
2008年6月。
アルバムの最終工程であるマスタリングをしたのが
2010年7月。
音作りだけで足掛け3年です。

じっくりと作って、本当にいいものができました。

昨日から全国のCDショップでアルバム先行試聴っていうのを
やっているので、是非聴いてみてください。
フルコーラスではありませんが、全14曲の試聴が出来ます。

マスタリングが終わってからも時々聴いてますけど、
すごい密度。
かといってクドくはないんじゃないか、と。
これ以上は手前味噌になるんで、もう云わない。

只今メンバーは絶賛プロモーション活動中です。
アルバム制作のエピソードなど、雑誌やラジオ、
TVやwebを通じてこれから世に出て行くと思いますので、
いろんなところでチェックしてみてください。

・・・。

なんか、ブログの書き方忘れちゃったな、
あまりに久しぶり過ぎて。

いや、いろいろ書いておきたいことはいっぱいある。
のに。

かといってTwitterに精を出しているかというと、
最近はそうでもない。

なんだろう。
大きなくくりでいうと、今はどちらかというとインプットの
時期なのかもしれない。
そう思うことにした。

だって、物事を知れば知るほど、自分が何も知らない
っていう事実に気付いてしまうんだもの。
きりがない。


しかし、次の更新は、多分早い(予定)。
夏の思い出をいくつか書き残しておかなくちゃ。








2010年8月1日日曜日

I Love Record Shops


CDやらレコードやらを買うお話。

日本国内のみならず、アメリカやイギリス、
カナダやオーストラリアなどのネット・レコード・ショップで
買い物をしていて、実際の店舗で買う割合は
年を追うごとに少なくなってきている。

とはいえ、週に2回くらいは都内の大型CDショップに
ブラリと入ってチェックしないと気が済まない。
毎週のように通っても、真面目にやってるお店では
毎回面白い出会いがあったりするもんで。

そんな中、先日タワーレコード新宿店で面出しされていた
Freelance Whales『Weathervanes』というアルバムを、
多分手書きPOPの文言に惹かれて購入。
事前にこのバンドに関してなんの情報も持っていなかったし、
ジャケ買いするようなタイプでもない。
で、聴いてみるとこれが素晴らしいんですよ。
Twitterでも思わず書きこみましたが、出てくる楽器の
一音一音に強い意志を感じさせる作りに感激。
Pitchforkでのレコ評は主に歌詞に関することで
あまり評価されていないようだが、Billboardでは

最近のUSインディものに顕著な、深すぎるリヴァーブとは
無縁の(笑)、ドライな質感もまた好感。

そして数日後の今度は渋谷HMV。
あと3週間くらいで閉店ということで、店内至る所で
セール状態ですが、それでも3Fロック関連の
品揃えは変わらず独自で頼もしい限り。

ふと、店内演奏されているサイケ風味の
フォークロックな音が耳に留まりチェックすると、
Painted Hillsというバンドのアルバム
これまた初めて聴く名前。
でも、そのCDの周りには僕の好きなアーティストの
作品が一緒にディスプレイされていて、嬉しい予感。

そしたら元Beachwood SparksThe Tyde
Josh Schwartzの新しいバンド、とのこと。
レーベルは、Parasol内のBird Song
The Now Peopleなんかもリリースしている、
Velvet CrushのRic MenckがA&Rを務めるレーベル。
そりゃ信頼できる、ということで迷わず購入。

こんなふうに、ネットで浴びるほど情報を享受していても
知ることのなかった音楽に、
レコード屋さんに行くと出会えたりする。
だからやめられないんですよ、レコ屋巡りは。

プロのバイヤーが自信を持ってリコメンドする盤。
なんも知らんけど買ってみたら大正解!
そんな体験、何度もしてきているから。

アメリカやイギリスに続き、日本もどんどんCDショップの
閉店が続いている。
この流れは止まらないのだろう、とは思います。
ゲームにしろ、音楽にしろ映像にしろ書籍にしろ、
全てのデータがクラウドから呼び出す形に
今後は進んでいくんでしょうから。
そしてそれは「ある意味」とても便利なことですから。

でも、雑誌ともラジオとも違う、
「レコード屋さんのおすすめ」という感覚が、
どこかで残ってくれないものか、
と、願ってやまない今日この頃だったりするんです。

先日3年ぶりに行ってきたロサンゼルスで、
Amoeba Musicのハリウッド店、たまたま
Robynのインストアがあるっていうんで行ってきました。
その賑わいに、なんか今の時代のレコ屋の在り方
のひとつの正解を見たような気がしたけど、
気のせいかもしれない。


2010年7月8日木曜日

wilsonic works 6 スピッツ「ビギナー」


昨日7月7日から、レコチョクにてスピッツの新曲「ビギナー」の

今年4月からスタートした全国ツアーで新曲として
披露されており、ライヴのお客様にはお馴染みの曲。
加えてサッカー日本代表の中澤選手が出演する、
ゆうちょ銀行のCMソングとして起用されている曲です。

パッケージとしてのリリースが未定の状況で
配信オンリーの発売というのは、スピッツにとって
初の試み。
おかげさまで昨日初日のDLは非常に好調のようです。

ちなみに、こういう配信のみのシングル(?)という
あり方は、パッケージをプレスして流通させる
コストがかからないこともあり、昨今新人を
中心に結構多くなっています。
「デジタル・シングル」という呼称が使われることが
多いんですが、CDだってデジタルじゃねーかよ、
というツッコミは無粋でしょうか???

それはさておき。

前々回のエントリでもちらっと触れましたが、
こうなってくると「シングル」とか「発売日」とか、
どういう観点で語ればいいのかわからなく
なってきますね。
実際、アメリカではパッケージのシングルCD
なんて、まず存在しなくなっているし。

では、「ビギナー」はスピッツの37枚目のシングルか?
現時点でそうは呼んでいない。
第一「枚」って数えられないし。

日本ではオリコン・チャートがパッケージの集計を
順位の基準にしており、配信は別チャート。
なので、先日のAKB48の総選挙みたいなことが
あり、ファンが複数枚購入したくなるような
システムを導入すると、チャート的には非常に
有利になる。

ビルボードのように、ラジオ・オンエアとかも含めた
総合の「トラック」としてのチャートにすれば、
「ヒット感」とチャートの関係は改善されるのだろうが、
簡単にはいかないんだろう。
オリコンもトラック・チャートの試みは進めていたが、
定着はしなかった。

あと、日本ではラジオと「ヒット感」は現状あまり
寄り添っていない場合が多いので、また別の基準が
必要かもしれない。

なんかとりとめもなくなってきたので今日のところは
この辺にしておきます。
明日9日の深夜12時から、下北沢のmona recordsで
こんなイヴェントがあるので、フラっと立ち寄って
こようと思います。
なんか今後のヒントがあるかも。

いや、なくてもいいんだけど、
いろいろ考えることは楽しいから。




2010年7月7日水曜日

Joe Meek On My Mind


とってもびっくりした。
ヘッドフォンから流れてきたのは紛れもなく
RGMサウンドだったから。
僕は今年リリースしたばかりの女性シンガーの
アルバムを聴いていたはずなのに。

という奇妙な体験をさっきしたばかり。
あまりに驚いて電車をひと駅乗り過ごしてしまった。

僕が聴いていたのはLissieというUSの女性シンガーの
『Catching A Tiger』というアルバム。
先月UKでリリースされたばかりの彼女の1stアルバムで、
UK総合チャートで22位初登場と健闘している。

そしてRGMサウンドというのは、UKの伝説的
インディペンデント・プロデューサーである
Joe Meekのフル・ネーム、Robert George Meek
の頭文字から取られた、彼の(60年代前半の)
サウンドを表す言葉。

問題なのはアルバム6曲目の「Stranger」という曲。
それまで、「あー、この娘いい声してんなー」なんて
暢気に聴いていたんだが、この曲のイントロが始まって
さあびっくり。
これなんだっけ?
あ、「Totem Pole」だ。
Peter Jay & The Jaywalkersの。
The Honeycombsのヴァージョンじゃなくて。
あとなんだろ?
Pamela Blueの「My Friends Bobby」も
入っているのかなー?

なんてことをボーっと考えていて乗り過ごしたわけです。

で、家に帰ってCDのブックレットを確かめると、ちゃんと
Peter Jayの楽曲をサンプリングしている旨、記されてました。
そして、作曲クレジットの一人に "Robert Meek" の名前も。

しかし、アルバムのその他の曲にジョー・ミークへの
愛を確認できる曲は見当たらない。
強いて云えば、4曲目「Bully」のマッドなパンニングあたりか?
ちなみに4曲目も6曲目も同じプロデューサーの仕業でして、
一体誰かと申しますと、Band of Horses(新作最高!)の
Bill Reynoldsなのでした。いやはや。

つまり、シンガーもプロデューサーもアメリカ人。
そんなチームがジョー・ミークをサンプリングした
曲をUKでリリースした、と。
これは一体なんなんだろう?

実は今日の昼間、Twitter上でジョー・ミーク談義を
した人と、リアルに話をしてきたばかりで、余計に
そのシンクロニシティに驚いている。
勝手に俺の中でキテるぞジョー。
ちなみにレミオロメンの新譜のタイトルは「立つんだジョー」
ミークとは全く関係ない(と思われます)。

話、戻して。

先日のCRTで話したことともカブるんですが、
映画『Telstar』が2008年に封切られ、UKでは
久々に?ジョー・ミークの名前がクローズ・アップされた。
その映画のエンディング・テーマを歌ったのが
当時デビューしたばかりのDuffy
曲はThe Driftersで有名なバカラックの「Please Stay」。
ダフィはジョーがプロデュースしたCryin' Shames
ヴァージョンを下敷きにカヴァーした。
映画自体は正直???だったんですが、この
エンディングは泣けた。いいカヴァーだった。

このDuffy sings Joe Meekとも云える事実が、
今回のLissieの暴挙!に繋がっている・・・のかも・・・?
これでは「推論」にもなっていないけどね。

それにつけても。

こうやってブログやTwitterにジョー・ミーク関連の
ことを書いてみても、日本では文献なり音源なりが
なかなか容易に入手できない環境にあるのが
非常にもどかしい。
ベーシックな評価すら出来上がっていないもんなー。

とりあえずとっても驚いたんで急遽のブログ更新。
イリーガルなリンクは貼らないので親切ではないかと
思いますが、ご興味をお持ちになったら
どうぞぜひともRGMの深い森へ・・・。

p.s.

ちなみに、僕が何故Lissieのアルバムを購入したか
というと、チャートインした事実があって、ちょっと調べたら
先のBill Reynoldsとか、Ed Harcourtらがプロデュースに
参加していることを知ったからです。
エドさん、大好きなんですよ。
ニュー・アルバムが出たばかりで、UK amazonに
オーダーしたんだけど、まだ届かない!
オフィシャルから頼み直そうかなあ・・・。

2010年6月11日金曜日

wilsonic works 5 スピッツ「つぐみ」


来月で結成23年を迎えるバンド、スピッツ36枚目のシングル、
「つぐみ」が6月23日に発売になります。
詳細はコチラにてご確認ください。

この、「発売になります」っていうのは一応これまでの慣例に
ならって、CD、いわゆる「パッケージ」が発売になる日、
のことを指すわけですが、この辺今後どうなんだろ?

メジャー、インディを問わず、多くのアーティスト、レコード会社が
パッケージとしてのシングルリリースしない、「配信シングル」
という概念を採用しておりますが、これの場合は
発売日イコール配信開始日。

今回のスピッツは、初めて着うたフルⓇをパッケージに
先行させて配信しています。
6月9日よりMUSICOにて。
これは表題曲「つぐみ」1曲のみです。

特に若い層の音楽ユーザーは、シングルのパッケージを
購入しないで表題曲の着うたフルⓇをDLするのみ、という
パターンも多く、こういう人にとっての「発売日」はパッケージ
関係ないもんなー、とか。

今回のシングルのパッケージには、カップリングに
今までやってきていない試みとして、最新ライヴ音源を2曲
収録しています。
2曲のうち1曲は表題曲「つぐみ」、もう1曲も今回の
ツアーで初披露の「恋する凡人」。
「恋する凡人」に関してはスタジオ録音ヴァージョンという
ものがこの世に出ていない段階でのライヴ・テイク先行発表
ということになります。

昔、そんなライヴ盤にしか収録されなかった新曲、なんてのが
結構ありましたよね、特にフォークには多かったような。余談。

渋谷HMVの今夏閉店が象徴するように、
音楽パッケージビジネスの今後は非常に不透明ではありますが、
人一倍パッケージを買い続ける者の一人として、
多くの方に満足いただけるパッケージ
(イコール、僕も買いたいようなもの)を、
これからも模索していこうと思います。

とはいえ、さすがにCDやらレコードやらで生活スペースに
無理が生じすぎて二進も三進も行かなくなっている昨今、
CDなんか全部売ってしまえー!と発作的に思ってしまう
自分も月に一回くらいいるんです。
別に冗談じゃなく。
ま、その件に関してはまた別の機会に。

それにしても、ねづっち、予想以上にすごいわ。




2010年5月23日日曜日

Rooney's 3rd Album is Forthcoming


ここで書くRooneyっていうのは、僕が書くんだから当然イングランドの
サッカー選手のことではなく、LAのパワー・ポップ・バンドのこと。

2003年のデビュー作は「Shakin'」のような正統派パワポと、
「Blue Side」のようなちょっとひねくれたメロディが同居した好盤。
豊かなヴォーカル・ハーモニーに感心して、
当時フリーペーパー「Smiley Smile」にリヴューを書いた。

この頃、メンバーは20歳に届くかどうか、くらいの若さだと知り、
さらにびっくり。

彼らの音楽にカリフォルニアの明るさだけではない、
ちょっとUKっぽい陰りも見られたりして、それがまた魅力だった。

ちょうど同時期にデビューしたThe Thrillsがアイリッシュなのに
カリフォルニアの音楽に憧れて音作りをしていたのと逆にね。


2007年のセカンド『Calling The World』は、ビルボードの
チャートで42位を記録。前作は100位以下だったから、
順調にステップアップ。
収録曲「I Should Been After You」のイントロには、
Brian Mayみたいな音が混じっているので多分
石崎光くんも好きだと思う(笑)。

そして、また3年の時を経てニュー・アルバム『Eureka』
が来月6月8日に発売になる。
これまでの2作はGeffen(日本ではユニバーサル)
からリリースされていたが、今回は
California Dreamin' Recordsという、ワーナー傘下の
いかした名前のインディ・レーベルからリリースとのこと。

今、彼らのオフィシャルでアルバムからのトラック、
「I Can't Get Enough」のMVやらアコースティック・
ヴァージョンの映像やら観られるので、気になる方は
チェックを。20代後半になった彼らの等身大のちょっと
アダルトなポップスが聴ける。
My Spaceで聴ける「I Don't Wanna Lose You」は
ちょっとWeezer入ったミディアム・ナンバー。

で、そんなちょっと渋めのアルバムになるのかな?
なんて幾分寂しく思っていたりもしたんだが(笑)、
今年2月にDLオンリーでリリースされた4曲入りEP
「Wild One」の1曲目、「Suckseed」を聴いてびっくり!
超ポップな真正パワーポップ・チューン!
弾けまくったポップ小僧っぷりにノックアウトですよ。
日本のiTunesでも購入できるので、よろしければ。

っていうことでますます3rdアルバムが楽しみになっている
今日この頃なのです。


ちなみにヴォーカルのRobert Schwartzmanは、
名前からも類推できるように俳優でもあり元Phantom Planet
現在はCoconut Records1stは傑作)という名前で音楽活動を
行っているJason Schwartzmanの実弟。
詳しくは書きませんが、ハリウッドのセレブリティな血筋であります。
それを知られるのがいやだったのか、最初の頃は名前を
Robert Carmineとしていたのだった。


2010年5月11日火曜日

wilsonic works 4 高杉さと美


これまた久々の更新です。そして久々の自分の仕事報告です。

竹内、初めてavexさんとお仕事しました。
ひょんなことから、高杉さと美さんのアルバムの楽曲を
プロデュースする、ということになったのです。
昨年末から今年の1月にかけて、アルバム中の1曲を
制作いたしました。

5月26日にリリースされる彼女の3rdアルバム『MASCARA』
収録の「sparky」という楽曲がそれで、スタッフは

編曲 & 共同プロデュース:石崎 光
エンジニア:佐藤宏明

という布陣です。
いやー、面白い仕事でした。
クノシンジにしてもタニザワくんにしても、他人への楽曲提供は
初めて、ということもあり、
そんでもって僕もこのような女性アーティストとの仕事に
あまり慣れていないこともあって、いろんなことが新鮮。
これまた非常に勉強になりました。

結果は、なかなか面白いトラックに仕上がったのではないか、
と自負しております。
今週からこのページで全曲試聴出来るようになったので、
ぜひともチェックのほどを。
他にもゲントウキ田中潤や、NONA REEVES奥田健介など、知り合いの曲も
あるので、そちらも試聴してみてください。


2010年4月14日水曜日

Mark Bacino's Back!!!


昼間、MGMTのニュー・アルバムを聴きながら街を
ぼけーっと歩きながらふと、
「そーいやMark Bacinoって最近何してんだろ?」
なんてことを考えていた。
彼のことを思い出したのは5年ぶりくらいだろうか?

で、自宅に帰ってきてもまだそのことを覚えていたんで
ネットで検索するとあなた、これが偶然にも来月に
久々のニュー・アルバムが発売される、とのこと。
こーゆーの、虫の報せっていうの?(違うか?)

1999年、今も昔も素晴らしい選球眼のUSインディ・レーベル、
Parasolからリリースされた彼のデビュー・アルバム、
『Pop Job』は、アートワークそのままのバブルガム・サウンド満載、
ポップなメロディに豊かなハーモニー、甘酸っぱい声。
僕は一気に彼のファンになった。

続く2003年の『The Million Doller Milkshake』は日本盤も
リリースされ、順風満帆かに思えたのだが、その後長い沈黙
(裏方としてTVやら映画やらの音楽を制作していたようだ)。

で、ここ数年彼のことは忘れていたのだが、なぜか今日
思い出しちゃったんだなー。
同じような経緯を辿っているOwsleyは、もっと頻繁に
思い出すんだがなー。

で、新譜ですよ。タイトルは『Queen's English』で、
5月18日にリリース。前作から実に7年ぶりの3rdアルバム。
オフィシャルで「Bridge & Tunnel」と「Happy」という曲が聴けます。
前者はベースに、Norah Jonesでお馴染みのLee Alexanderが
参加している、ちょっとGeorge Garshwinの影響を感じさせる
チェンバー・ポップ。後者はNilssonを想起させるピアノ&管
アレンジのミディアム・ナンバー。両方相当ヤバイ。

彼のmyspaceでは更に違う新曲も聴けるし、ブログでは
新曲に関する彼の解説が連載されているので、併せて
読むと楽しさ&期待倍増です。

なんか、ずーっと前に好きだった女の子が、
10年ぶりに逢ってもとっても素敵だった、みたいなさ(笑)。
何年も忘れていたくせに、何云ってんの?って云われそうだけど。

リリース元のレーベルはこちら。どうやらこのアルバムが
レーベルとしての初リリースになるそうで、CD、DLの他に、
ボーナスCDの付いたデラックス・エディションもリリースされる模様。
ここまで待たされたんだから、そっち買おうっと。






2010年3月31日水曜日

Last Day Of March


そうこうしているうちに3月も終わるので、無理やりブログを書く。
発語訓練は重要なのです。

SUB POPからの話題の新人、DUM DUM GIRLS
CDが昨日届いて、クレジットをチェックすると、
なんとプロデュースにRichard Gottehrerさんが絡んでいた。
ほー。

リチャード・ゴタラーといえば、60年代前半から活動している
ソングライター、プロデューサーで、代表作は

60年代・・・The Angels、自身のバンドでもあるThe Strangeloves
70年代・・・Blondie
80年代・・・The Go-Go's
90年代・・・The Judybats(地味だけど個人的に好きだった)
00年代・・・The Raveonettes

って感じ。
そしてこの10年代の幕開けにDUM DUM GIRLSですよ。
この息の長さとコンスタントさ。あやかりたい。

で、彼女らの初アルバム『I Will Be』ですが・・・。

スカスカのバンド・サウンドはバンド名も由来していると
思われるThe Vaselinsからの影響か?
また、最近のThe Drumsとかにも通じるすっとぼけたサーフ風味
もあるが、これはむしろThe Go-Go'sの直系なのか?とか。

まあ、SUB POPのバンドらしく時代の空気とはマッチしているし、
シングル曲「Jail La La」と、7曲目の「Blank Girl」は曲として
結構好き。
でも、そんなに「スゲー」とかいって煽るほどじゃないっす、個人的には。

ただ、Marshall Crenshawのプロデューサーでもある、
ニューヨークの音楽界の重鎮であるゴタラーさんのことを
書きたかったんだ。

さて、発語訓練終了。
4月からはつぶやくだけじゃなく、ブログもちゃんと書こう。




2010年2月28日日曜日

regret


うーむ。

2月、ついに1回もブログを更新しなかった。
書きたいネタはいくつかあったし、時間が
なかったわけでもない。

理由はふたつ。

①Twitterに時間をとられている。

②1月のBB5来日の総括ができていない。

以上。

3月は確定申告の季節でもあるので、しばらくまだまだ
更新できそうにないが、徐々に解凍していく予定。

ああ、なさけない。

2010年1月31日日曜日

Al Jardine on iTunes


The Beach Boys来日公演は結局10公演のうち、
5公演を観ることができました。
おかげで財政は大変なことになっておりますが、
こういうことのために働いているんだからしょーがない、
と言い聞かせております(誰に?)。

さて、その来日公演に関する自分なりの総括は近々
やろうと思っていますが、今日は唐突にAl Jardineネタ。

もうずーっと前からリリースするする、と云っている
待望の新作、というか初のスタジオ・レコーディングによる
ソロ・アルバム、『A Postcard From California』はまだ
リリースされていませんが、今回は2002年にリリースされた
ライヴ盤、『Live In Las Vegas』について。

正式なアーティスト名表記は、
Al Jardine, Family & Friends。
永らく廃番状態なので結構なプレミアがついているようです。

このライヴには、Brian Wilsonの娘であるWendy & Carnie、
つまりWilson Philipsの「Wilsons」がいたり、
Alの息子であるMattとAdam Jardineがいたり、
そのバンド名に恥じないわけですが、実はこの
ライヴ盤に今回のMike's BB5来日でもベースを
弾いていたRandell Kirschも参加しているんです。

そんなこんなでこのアルバムのことを調べていたら、
iTunesが大変なことになっていることに気付いたのです。


アルバム・タイトルは一緒なのに、CDと曲名が全く違う!
これはヤバイと早速DLしてみたところ、内容はCDと
完膚なきまでに同じ内容でした・・・(泪)。

なんだろこれ。
金返せiTunes。
この未曾有の経済危機に全くもって無駄な出費。

しかしなー、この曲目なんだろ?
ところどころにJan & DeanTommy James
そしてFive Americansなんかが隠れていますが、
どうしたらこんな間違いが起こるのか、さっぱりわからん?
そしてこれをiTunesに教える術はあるのか?
ちょっとコンタクトしてみようとようやく思ってきた今日この頃です。

なんだろこのブログ(反省)。

p.s. ちなみにこのアルバム、USのiTunesでは売られていない。
これまた謎です。

2010年1月20日水曜日

Spoon's New Album is Now Available


本日は僕がプロデュースで関わった、おとぎ話の3rdアルバム
『FAIRYTALE』の発売日。昨日、タワー新宿に行ったら
レジ前の特等席で展開されていて、嬉しくなった。

発売に合わせて特設サイトも公開、メンバーによる各曲解説やら
何やら、結構楽しめますので気になる方はぜひ。

さて、奇しくもおとぎ話と発売日が重なった(?)、
今やMergeレーベルを代表するバンド、
SPOONのニュー・アルバムについて。

昨日amazonから届いて、クレジットなどをチェックしていたら、
Thanksとかの下に1行、こう書いてあった。

BUYING RECORDS IN RECORD STORES IS COOL.

うーむ。
今や、NYにもLAにもほとんど新譜レコード屋が存在しなく
なっているアメリカの現状に対しての発言なのだろう。

これだけだったらまあ、「煽り」とか「嘆き」的な意味かなあ、
と思ってそのままにしていたかもしれないが、昨日から今日に
かけて彼らのtwitterで、「ここのレコ屋で俺らの新譜が買えるよ」
というツイートがいくつもつぶやかれていたのだ。
彼らは本気でした。

レコード屋で買おうよ、と。
パッケージを買ってよ、と。


週に2回はレコ屋に行くけど、それ以上に各国のamazonを
はじめとするネットのレコ屋で買い物している自分は
どうなんだろなー、と考える。

あと、もしかしたらもう別にパッケージじゃなくてもいいかも、
なんて思い始めている自分。

クールじゃねーのかもなー。

この辺、しばらく答えは出そうにないけど、2010年の1月の
自分のこういったモヤモヤを記録として残しておこう。
今日はそれだけです。

あ、SPOONの新譜、実はまだ聴いていません。
だって、内容は鉄板でしょ。
あと、彼らのツイートには、iTunesでも買えるよ、というのも
あるから、別にDLを否定しているわけでもない。
ただ、どっちがクールか、ってことなんだよね。


っていうことで、今日からビーチボーイズ来日公演スタート!