2009年11月8日日曜日

Recent Awesome Books


たまには書籍のことも。

仕事柄、音楽関連の本は雑誌も含め、たくさん読んでいるので、
大抵のことには感動や感心はしないんですが、
そんな僕が深く感じ入った最近のいくつかの本です。

著者:西寺郷太

マイケルの突然の死以降、様々な企画でいろんな本が出て
いるけど、「愛情」「知識」「想像力」がこんなにも美しい結晶を
作り出しているのはこの本が随一だと思います。
音楽家どうしならではのシンパシーと忖度の具合などは、
他の本では成し得ない部分だと思いますし、それをしても
大丈夫なだけの蓄積が著者の中にあるのは、文章を読めば
充分伝わってくる。
読了の瞬間、はからずも落涙してしまったことを告白します。

あ、映画「THIS IS IT」は今週観に行く予定です。


著者:阿久 悠

1972年に出版された本の復刻ですが、今でも充分通じる
どころか、今こそ読まれるべき本かもしれない。
タイトル通りの内容ではあるが、別に作詞家を目指して作詞家
になったわけではない、という阿久氏のスタンスからくる、
非常に「実践的」な視点が面白い。
普段自作自演のアーティストとばかり仕事しているので、
この本当の意味での「職業作詞家」の、しかも勢いに乗っている
時期の文章は、たまらない刺激となった。


著者:Jim Cogan and William Clark(訳:奥田祐士)

全米に点在する(した)全15の伝説的レコーディング・スタジオ
に関して、丁寧に丁寧に取材を重ねて、どうしてこのスタジオ
から、あんな名盤が生まれたのか、という検証をしていく
ノンフィクション。
ここでやっておかなければ、多くのパイオニアたちが次々と鬼籍に
入ってしまうわけで、その意味でもこの時点でまとめておいた
業績は賞賛に値する。
豊富なインタヴューと貴重な写真、正確な情報と
著者の音楽への造詣の深さ、訳文の的確さ、
長尺ながら一気に読めた素晴らしい本だと思います。
個人的には、スタックスの項がいちばんグッときたかも。
実際にそこで録音された音楽を聴きながら読むと、
楽しさが倍増するよ!


取り急ぎこんな感じです。
ビートルズ関連の本もここが商機とばかりにたくさん出版
されましたが、改訂復刻された『ザ・ビートルズ レコーディング
セッションズ 完全版』は必携でしょう。