2010年8月1日日曜日

I Love Record Shops


CDやらレコードやらを買うお話。

日本国内のみならず、アメリカやイギリス、
カナダやオーストラリアなどのネット・レコード・ショップで
買い物をしていて、実際の店舗で買う割合は
年を追うごとに少なくなってきている。

とはいえ、週に2回くらいは都内の大型CDショップに
ブラリと入ってチェックしないと気が済まない。
毎週のように通っても、真面目にやってるお店では
毎回面白い出会いがあったりするもんで。

そんな中、先日タワーレコード新宿店で面出しされていた
Freelance Whales『Weathervanes』というアルバムを、
多分手書きPOPの文言に惹かれて購入。
事前にこのバンドに関してなんの情報も持っていなかったし、
ジャケ買いするようなタイプでもない。
で、聴いてみるとこれが素晴らしいんですよ。
Twitterでも思わず書きこみましたが、出てくる楽器の
一音一音に強い意志を感じさせる作りに感激。
Pitchforkでのレコ評は主に歌詞に関することで
あまり評価されていないようだが、Billboardでは

最近のUSインディものに顕著な、深すぎるリヴァーブとは
無縁の(笑)、ドライな質感もまた好感。

そして数日後の今度は渋谷HMV。
あと3週間くらいで閉店ということで、店内至る所で
セール状態ですが、それでも3Fロック関連の
品揃えは変わらず独自で頼もしい限り。

ふと、店内演奏されているサイケ風味の
フォークロックな音が耳に留まりチェックすると、
Painted Hillsというバンドのアルバム
これまた初めて聴く名前。
でも、そのCDの周りには僕の好きなアーティストの
作品が一緒にディスプレイされていて、嬉しい予感。

そしたら元Beachwood SparksThe Tyde
Josh Schwartzの新しいバンド、とのこと。
レーベルは、Parasol内のBird Song
The Now Peopleなんかもリリースしている、
Velvet CrushのRic MenckがA&Rを務めるレーベル。
そりゃ信頼できる、ということで迷わず購入。

こんなふうに、ネットで浴びるほど情報を享受していても
知ることのなかった音楽に、
レコード屋さんに行くと出会えたりする。
だからやめられないんですよ、レコ屋巡りは。

プロのバイヤーが自信を持ってリコメンドする盤。
なんも知らんけど買ってみたら大正解!
そんな体験、何度もしてきているから。

アメリカやイギリスに続き、日本もどんどんCDショップの
閉店が続いている。
この流れは止まらないのだろう、とは思います。
ゲームにしろ、音楽にしろ映像にしろ書籍にしろ、
全てのデータがクラウドから呼び出す形に
今後は進んでいくんでしょうから。
そしてそれは「ある意味」とても便利なことですから。

でも、雑誌ともラジオとも違う、
「レコード屋さんのおすすめ」という感覚が、
どこかで残ってくれないものか、
と、願ってやまない今日この頃だったりするんです。

先日3年ぶりに行ってきたロサンゼルスで、
Amoeba Musicのハリウッド店、たまたま
Robynのインストアがあるっていうんで行ってきました。
その賑わいに、なんか今の時代のレコ屋の在り方
のひとつの正解を見たような気がしたけど、
気のせいかもしれない。


2010年7月8日木曜日

wilsonic works 6 スピッツ「ビギナー」


昨日7月7日から、レコチョクにてスピッツの新曲「ビギナー」の

今年4月からスタートした全国ツアーで新曲として
披露されており、ライヴのお客様にはお馴染みの曲。
加えてサッカー日本代表の中澤選手が出演する、
ゆうちょ銀行のCMソングとして起用されている曲です。

パッケージとしてのリリースが未定の状況で
配信オンリーの発売というのは、スピッツにとって
初の試み。
おかげさまで昨日初日のDLは非常に好調のようです。

ちなみに、こういう配信のみのシングル(?)という
あり方は、パッケージをプレスして流通させる
コストがかからないこともあり、昨今新人を
中心に結構多くなっています。
「デジタル・シングル」という呼称が使われることが
多いんですが、CDだってデジタルじゃねーかよ、
というツッコミは無粋でしょうか???

それはさておき。

前々回のエントリでもちらっと触れましたが、
こうなってくると「シングル」とか「発売日」とか、
どういう観点で語ればいいのかわからなく
なってきますね。
実際、アメリカではパッケージのシングルCD
なんて、まず存在しなくなっているし。

では、「ビギナー」はスピッツの37枚目のシングルか?
現時点でそうは呼んでいない。
第一「枚」って数えられないし。

日本ではオリコン・チャートがパッケージの集計を
順位の基準にしており、配信は別チャート。
なので、先日のAKB48の総選挙みたいなことが
あり、ファンが複数枚購入したくなるような
システムを導入すると、チャート的には非常に
有利になる。

ビルボードのように、ラジオ・オンエアとかも含めた
総合の「トラック」としてのチャートにすれば、
「ヒット感」とチャートの関係は改善されるのだろうが、
簡単にはいかないんだろう。
オリコンもトラック・チャートの試みは進めていたが、
定着はしなかった。

あと、日本ではラジオと「ヒット感」は現状あまり
寄り添っていない場合が多いので、また別の基準が
必要かもしれない。

なんかとりとめもなくなってきたので今日のところは
この辺にしておきます。
明日9日の深夜12時から、下北沢のmona recordsで
こんなイヴェントがあるので、フラっと立ち寄って
こようと思います。
なんか今後のヒントがあるかも。

いや、なくてもいいんだけど、
いろいろ考えることは楽しいから。




2010年7月7日水曜日

Joe Meek On My Mind


とってもびっくりした。
ヘッドフォンから流れてきたのは紛れもなく
RGMサウンドだったから。
僕は今年リリースしたばかりの女性シンガーの
アルバムを聴いていたはずなのに。

という奇妙な体験をさっきしたばかり。
あまりに驚いて電車をひと駅乗り過ごしてしまった。

僕が聴いていたのはLissieというUSの女性シンガーの
『Catching A Tiger』というアルバム。
先月UKでリリースされたばかりの彼女の1stアルバムで、
UK総合チャートで22位初登場と健闘している。

そしてRGMサウンドというのは、UKの伝説的
インディペンデント・プロデューサーである
Joe Meekのフル・ネーム、Robert George Meek
の頭文字から取られた、彼の(60年代前半の)
サウンドを表す言葉。

問題なのはアルバム6曲目の「Stranger」という曲。
それまで、「あー、この娘いい声してんなー」なんて
暢気に聴いていたんだが、この曲のイントロが始まって
さあびっくり。
これなんだっけ?
あ、「Totem Pole」だ。
Peter Jay & The Jaywalkersの。
The Honeycombsのヴァージョンじゃなくて。
あとなんだろ?
Pamela Blueの「My Friends Bobby」も
入っているのかなー?

なんてことをボーっと考えていて乗り過ごしたわけです。

で、家に帰ってCDのブックレットを確かめると、ちゃんと
Peter Jayの楽曲をサンプリングしている旨、記されてました。
そして、作曲クレジットの一人に "Robert Meek" の名前も。

しかし、アルバムのその他の曲にジョー・ミークへの
愛を確認できる曲は見当たらない。
強いて云えば、4曲目「Bully」のマッドなパンニングあたりか?
ちなみに4曲目も6曲目も同じプロデューサーの仕業でして、
一体誰かと申しますと、Band of Horses(新作最高!)の
Bill Reynoldsなのでした。いやはや。

つまり、シンガーもプロデューサーもアメリカ人。
そんなチームがジョー・ミークをサンプリングした
曲をUKでリリースした、と。
これは一体なんなんだろう?

実は今日の昼間、Twitter上でジョー・ミーク談義を
した人と、リアルに話をしてきたばかりで、余計に
そのシンクロニシティに驚いている。
勝手に俺の中でキテるぞジョー。
ちなみにレミオロメンの新譜のタイトルは「立つんだジョー」
ミークとは全く関係ない(と思われます)。

話、戻して。

先日のCRTで話したことともカブるんですが、
映画『Telstar』が2008年に封切られ、UKでは
久々に?ジョー・ミークの名前がクローズ・アップされた。
その映画のエンディング・テーマを歌ったのが
当時デビューしたばかりのDuffy
曲はThe Driftersで有名なバカラックの「Please Stay」。
ダフィはジョーがプロデュースしたCryin' Shames
ヴァージョンを下敷きにカヴァーした。
映画自体は正直???だったんですが、この
エンディングは泣けた。いいカヴァーだった。

このDuffy sings Joe Meekとも云える事実が、
今回のLissieの暴挙!に繋がっている・・・のかも・・・?
これでは「推論」にもなっていないけどね。

それにつけても。

こうやってブログやTwitterにジョー・ミーク関連の
ことを書いてみても、日本では文献なり音源なりが
なかなか容易に入手できない環境にあるのが
非常にもどかしい。
ベーシックな評価すら出来上がっていないもんなー。

とりあえずとっても驚いたんで急遽のブログ更新。
イリーガルなリンクは貼らないので親切ではないかと
思いますが、ご興味をお持ちになったら
どうぞぜひともRGMの深い森へ・・・。

p.s.

ちなみに、僕が何故Lissieのアルバムを購入したか
というと、チャートインした事実があって、ちょっと調べたら
先のBill Reynoldsとか、Ed Harcourtらがプロデュースに
参加していることを知ったからです。
エドさん、大好きなんですよ。
ニュー・アルバムが出たばかりで、UK amazonに
オーダーしたんだけど、まだ届かない!
オフィシャルから頼み直そうかなあ・・・。

2010年6月11日金曜日

wilsonic works 5 スピッツ「つぐみ」


来月で結成23年を迎えるバンド、スピッツ36枚目のシングル、
「つぐみ」が6月23日に発売になります。
詳細はコチラにてご確認ください。

この、「発売になります」っていうのは一応これまでの慣例に
ならって、CD、いわゆる「パッケージ」が発売になる日、
のことを指すわけですが、この辺今後どうなんだろ?

メジャー、インディを問わず、多くのアーティスト、レコード会社が
パッケージとしてのシングルリリースしない、「配信シングル」
という概念を採用しておりますが、これの場合は
発売日イコール配信開始日。

今回のスピッツは、初めて着うたフルⓇをパッケージに
先行させて配信しています。
6月9日よりMUSICOにて。
これは表題曲「つぐみ」1曲のみです。

特に若い層の音楽ユーザーは、シングルのパッケージを
購入しないで表題曲の着うたフルⓇをDLするのみ、という
パターンも多く、こういう人にとっての「発売日」はパッケージ
関係ないもんなー、とか。

今回のシングルのパッケージには、カップリングに
今までやってきていない試みとして、最新ライヴ音源を2曲
収録しています。
2曲のうち1曲は表題曲「つぐみ」、もう1曲も今回の
ツアーで初披露の「恋する凡人」。
「恋する凡人」に関してはスタジオ録音ヴァージョンという
ものがこの世に出ていない段階でのライヴ・テイク先行発表
ということになります。

昔、そんなライヴ盤にしか収録されなかった新曲、なんてのが
結構ありましたよね、特にフォークには多かったような。余談。

渋谷HMVの今夏閉店が象徴するように、
音楽パッケージビジネスの今後は非常に不透明ではありますが、
人一倍パッケージを買い続ける者の一人として、
多くの方に満足いただけるパッケージ
(イコール、僕も買いたいようなもの)を、
これからも模索していこうと思います。

とはいえ、さすがにCDやらレコードやらで生活スペースに
無理が生じすぎて二進も三進も行かなくなっている昨今、
CDなんか全部売ってしまえー!と発作的に思ってしまう
自分も月に一回くらいいるんです。
別に冗談じゃなく。
ま、その件に関してはまた別の機会に。

それにしても、ねづっち、予想以上にすごいわ。




2010年5月23日日曜日

Rooney's 3rd Album is Forthcoming


ここで書くRooneyっていうのは、僕が書くんだから当然イングランドの
サッカー選手のことではなく、LAのパワー・ポップ・バンドのこと。

2003年のデビュー作は「Shakin'」のような正統派パワポと、
「Blue Side」のようなちょっとひねくれたメロディが同居した好盤。
豊かなヴォーカル・ハーモニーに感心して、
当時フリーペーパー「Smiley Smile」にリヴューを書いた。

この頃、メンバーは20歳に届くかどうか、くらいの若さだと知り、
さらにびっくり。

彼らの音楽にカリフォルニアの明るさだけではない、
ちょっとUKっぽい陰りも見られたりして、それがまた魅力だった。

ちょうど同時期にデビューしたThe Thrillsがアイリッシュなのに
カリフォルニアの音楽に憧れて音作りをしていたのと逆にね。


2007年のセカンド『Calling The World』は、ビルボードの
チャートで42位を記録。前作は100位以下だったから、
順調にステップアップ。
収録曲「I Should Been After You」のイントロには、
Brian Mayみたいな音が混じっているので多分
石崎光くんも好きだと思う(笑)。

そして、また3年の時を経てニュー・アルバム『Eureka』
が来月6月8日に発売になる。
これまでの2作はGeffen(日本ではユニバーサル)
からリリースされていたが、今回は
California Dreamin' Recordsという、ワーナー傘下の
いかした名前のインディ・レーベルからリリースとのこと。

今、彼らのオフィシャルでアルバムからのトラック、
「I Can't Get Enough」のMVやらアコースティック・
ヴァージョンの映像やら観られるので、気になる方は
チェックを。20代後半になった彼らの等身大のちょっと
アダルトなポップスが聴ける。
My Spaceで聴ける「I Don't Wanna Lose You」は
ちょっとWeezer入ったミディアム・ナンバー。

で、そんなちょっと渋めのアルバムになるのかな?
なんて幾分寂しく思っていたりもしたんだが(笑)、
今年2月にDLオンリーでリリースされた4曲入りEP
「Wild One」の1曲目、「Suckseed」を聴いてびっくり!
超ポップな真正パワーポップ・チューン!
弾けまくったポップ小僧っぷりにノックアウトですよ。
日本のiTunesでも購入できるので、よろしければ。

っていうことでますます3rdアルバムが楽しみになっている
今日この頃なのです。


ちなみにヴォーカルのRobert Schwartzmanは、
名前からも類推できるように俳優でもあり元Phantom Planet
現在はCoconut Records1stは傑作)という名前で音楽活動を
行っているJason Schwartzmanの実弟。
詳しくは書きませんが、ハリウッドのセレブリティな血筋であります。
それを知られるのがいやだったのか、最初の頃は名前を
Robert Carmineとしていたのだった。


2010年5月11日火曜日

wilsonic works 4 高杉さと美


これまた久々の更新です。そして久々の自分の仕事報告です。

竹内、初めてavexさんとお仕事しました。
ひょんなことから、高杉さと美さんのアルバムの楽曲を
プロデュースする、ということになったのです。
昨年末から今年の1月にかけて、アルバム中の1曲を
制作いたしました。

5月26日にリリースされる彼女の3rdアルバム『MASCARA』
収録の「sparky」という楽曲がそれで、スタッフは

編曲 & 共同プロデュース:石崎 光
エンジニア:佐藤宏明

という布陣です。
いやー、面白い仕事でした。
クノシンジにしてもタニザワくんにしても、他人への楽曲提供は
初めて、ということもあり、
そんでもって僕もこのような女性アーティストとの仕事に
あまり慣れていないこともあって、いろんなことが新鮮。
これまた非常に勉強になりました。

結果は、なかなか面白いトラックに仕上がったのではないか、
と自負しております。
今週からこのページで全曲試聴出来るようになったので、
ぜひともチェックのほどを。
他にもゲントウキ田中潤や、NONA REEVES奥田健介など、知り合いの曲も
あるので、そちらも試聴してみてください。


2010年4月14日水曜日

Mark Bacino's Back!!!


昼間、MGMTのニュー・アルバムを聴きながら街を
ぼけーっと歩きながらふと、
「そーいやMark Bacinoって最近何してんだろ?」
なんてことを考えていた。
彼のことを思い出したのは5年ぶりくらいだろうか?

で、自宅に帰ってきてもまだそのことを覚えていたんで
ネットで検索するとあなた、これが偶然にも来月に
久々のニュー・アルバムが発売される、とのこと。
こーゆーの、虫の報せっていうの?(違うか?)

1999年、今も昔も素晴らしい選球眼のUSインディ・レーベル、
Parasolからリリースされた彼のデビュー・アルバム、
『Pop Job』は、アートワークそのままのバブルガム・サウンド満載、
ポップなメロディに豊かなハーモニー、甘酸っぱい声。
僕は一気に彼のファンになった。

続く2003年の『The Million Doller Milkshake』は日本盤も
リリースされ、順風満帆かに思えたのだが、その後長い沈黙
(裏方としてTVやら映画やらの音楽を制作していたようだ)。

で、ここ数年彼のことは忘れていたのだが、なぜか今日
思い出しちゃったんだなー。
同じような経緯を辿っているOwsleyは、もっと頻繁に
思い出すんだがなー。

で、新譜ですよ。タイトルは『Queen's English』で、
5月18日にリリース。前作から実に7年ぶりの3rdアルバム。
オフィシャルで「Bridge & Tunnel」と「Happy」という曲が聴けます。
前者はベースに、Norah Jonesでお馴染みのLee Alexanderが
参加している、ちょっとGeorge Garshwinの影響を感じさせる
チェンバー・ポップ。後者はNilssonを想起させるピアノ&管
アレンジのミディアム・ナンバー。両方相当ヤバイ。

彼のmyspaceでは更に違う新曲も聴けるし、ブログでは
新曲に関する彼の解説が連載されているので、併せて
読むと楽しさ&期待倍増です。

なんか、ずーっと前に好きだった女の子が、
10年ぶりに逢ってもとっても素敵だった、みたいなさ(笑)。
何年も忘れていたくせに、何云ってんの?って云われそうだけど。

リリース元のレーベルはこちら。どうやらこのアルバムが
レーベルとしての初リリースになるそうで、CD、DLの他に、
ボーナスCDの付いたデラックス・エディションもリリースされる模様。
ここまで待たされたんだから、そっち買おうっと。