2013年4月12日金曜日

wilsonic works 30


4月10日、LOST IN TIMEのCD2枚組となるニュー・アルバム
『(   )トラスト オーバー サーティー』がリリースされた。

『明日が聞こえる』『ロスト アンド ファウンド』に続いて
作品作りに関わらせてもらったが、今回の関わり方は
今までとは少し違う。

スケジュールがなかなか合わないということもあり、
僕がスタジオでレコーディングに立ち会ったのは、
スタジオ録音5曲のうち「OVER」と「最後の頁」の2曲のみ。
他の3曲はメンバーとエンジニアの鳥羽修さんが作り上げた。

ただ、スタジオに立ち会うかどうか、ということは
僕の仕事に不可欠なことではない。
去年のカルマセーキのレコーディング体験と今回の
LOST IN TIMEの音作りの過程を経て確信を持った。

バンドに力があり、事前にしっかりと準備さえしておけば、
必ずしもレコーディングに立ち会わなくても良い作品が
出来る、と。

もちろん、可能であれば全てに立ち会って、リアルタイムに
考え方を共有するに越したことはないだろう。
でも、常にそこには共依存の関係になる可能性が潜んでいる。
関係が長くなればなるほど、その危険性は高くなる。

安心感だけを求め、お互いに依存する関係に未来は無い。
常に適度の緊張感と新鮮な感覚を持ち続けられれば良いのだが。
この話はアーティストとプロデューサーだけではなく、
いろんな関係に当てはまるけど、深すぎるのでこのへんで。

さてさてLOST IN TIMEとの今回の作業。
とっかかりは昨年秋あたり。
海北くんとの雑談のようなミーティングから。
そのときの僕の発言が海北くんの何かを刺激したらしく、
そこから今回のアルバムの構想が漠然と進み始めた。

11月に入ると、週に1回くらいメンバーと会い、
出来た曲のチェックやアレンジ、歌詞を詰める作業。
毎回いくつかの宿題や課題を出しては翌週に突き合わせる、
というような感じ。
この作業の途中で、アルバム・タイトルの元となるアイディアが
飛び交った痕跡が僕の手帖に残っている。

12月には前述の2曲のレコーディング。
年明け、1月に残り3曲の詰めミーティングを数回行い、
2月にメンバーと鳥羽さんでレコーディングを進める。

全曲、TDはファイルを送ってもらうだけにして、
チェック&フィニッシュはメンバーに任せた。
だって、基本鳥羽さんの音に間違いはないですからね。
今までのアルバムでも、TDに文句云ったことないもん。

マスタリングはPEACE MUSICの中村宗一郎さん。
僕はお会いしたことがなかったのでここはぜひとも
立ち会いたかったんだけど、スケジュール合わずで
残念無念。

今回のアルバムはスタジオ録音5曲のCDと、
ライヴ録音8曲が収められたCD、という2枚組。
それで1575円って、どんだけお値打ちなの。

で、このライヴ・テイクがまた素晴らしくて。
今年1月の新代田FEVERでのライヴなんだけど、
声の伸びが半端ない。
このライヴ、見逃してるんだよなー。
これまた残念無念。

そんな経緯もあって、出来上がった作品を今までの2作と比べると
やや客観的に見ることが出来るような気がする。

なんていうか、歌詞がよりリアルな海北くんに近づいたような。
それは、初めて他人からの提供曲を歌ったってことも
実は大きく作用していると思うんだな(収録曲「雨が降る夜」は、
盟友つばきの一色徳保さんからの提供曲)。

そしてLOST IN TIMEというバンド内力学がより理想的に
なってきたような。

そのへんのヒント、海北くんによるセルフ・ライナー
いろいろ散りばめられていますのでお時間ありましたら
ご一読のほどを。

あと、ミュージシャン仲間を始め、評判の高い「30」の
MVはこちら

p.s. この、LOST IN TIMEのアルバムは、タイトルも含め
"30代" をテーマにしているんだけど、ホントに偶然。
このエントリのタイトルを見てくださいよ。
僕がフリーランスとなり、wilsonic名義で仕事をしてから、
このアルバムがちょうど30作目。
単なる偶然だけど、面白いね。