2013年2月14日木曜日

wilsonic works 28


"To Know Him Is To Love Him"

これは、60年代に大ヒットを連発したアメリカの音楽プロデューサー、
フィル・スペクターが、そのキャリアの初期にThe Teddy Bearsという
バンドの一員として1958年に放ったヒット曲のタイトル。

邦題は「会ったとたんにひと目ぼれ」というのだが、直訳すると
「彼を知ることは、彼を好きになるということ」ってな感じ。
つまり、「彼は彼を知るだれからも愛された」、と。

あるとき、東京カランコロンのことを考えていたら
このタイトルを思い起こしたことがあった。
カランコロンにアダプトすると、

"To Know Them Is To Love Them"

東京カランコロンを知ることは、彼らを好きになるということ。
彼らの吸引力というか、人々を魅了する力は本当にすごい、と。

僕自身が初めてのライヴ体験で一発でKO喰らったわけだしね。
(そのときのことはこちらのエントリで。)

ミュージシャン仲間、インタビュアー、コラボレーションした人、
レコード会社の人々、CDショップのバイヤーさん、ラジオDJ、などなど。
カランコロンを知ったとたんに彼らのファンになり、応援してくれる。
自分が出来る最大限の貢献をしたいと思ってしまう。

なぜか。

それは、東京カランコロンのメンバーが、常に一生懸命
考え、努力し、やれる限りのことをしているから、だ。
目的、目標がしっかり見えていて、そこに辿り着くために
ひたすら努力する。
そしてそれを実に楽しそうに、面白がってやっているのも重要な点。

結果、非常にユニークでオリジナルな音楽が生まれ、
それを産み出すメンバーの個性、キャラクター、立ち位置も
はっきりとし、輝いてくる。

彼らのこの姿勢がある限り、多くの賛同者、応援団、
そしてファンがどんどん増えていくことだろう。
僕はもう、彼らの今後が楽しみでしょうがない。

さて、昨日2月13日は、東京カランコロンのメジャー進出後
初めてのフル・アルバム『We are 東京カランコロン』の発売日。
今回も全面的にプロデュースで関わらせてもらった。
彼らと一緒にレコーディングをするようになって、
初めての、ようやくのフル・アルバム。

これまで、シングルやミニ・アルバムでコンセプチュアルに
楽曲を提示してきた彼らの、とりあえずの全貌が見渡せる、全12曲。
その充実した内容はもう、とにかく聴いていただくしかない。

1年ちょっと前かな。1曲目の「いっせーの、せ!」が初めて
ライヴで披露されたとき、僕はその堂々たるアレンジとメロディに
感激して、マネージャーの江森さんに「メジャー・デビュー曲、
出来ちゃったじゃないすか」と思わず云ったのを覚えている。

その後、ミニ・アルバムでのメジャー・デビューとなったため、
僕の言葉は実現しなかったけど、結果的にメジャーでの1st
アルバムのトップを飾るリード曲になった。
(「いっせーの、せ!」のMVはこちら

それぞれの曲に関するエピソードを語りだしたらキリがないので、
以下は関わった音楽的スタッフに関して。

4曲目、「Darling, Hello? (SZK着メロMIX)」は、
『東京カランコロン e.t.』でのレコーディング・パートナーである、
She'sのドラマー、SZKがアレンジ、エンジニアリングでがっつり参加。
「着メロ」という微妙な近過去を思い起こさせるサウンドを
聴かせてくれる。

シングル「×ゲーム」(11曲目収録)に続き、cafelonの石崎光くんが
アレンジ&サウンド・プロデュースで参加したのは8曲目の
「渚のセレナーデ」。
これはもう、時代設定とかどうなっているのか、もはや
なんだかよくわからない、云わばメタ歌謡。
全員爆笑しながらレコーディングしていたなー。
イントロ部分で音楽祭のMCよろしくカランコロンを紹介して
いるのは、「アッゲー木村」なる謎の男(笑)。

12曲目「ばいばい、また明日」には、チャラン・ポ・ランタンとの
活動で知られる、カンカンバルカンのメンバー3人のホーン・セクションが参加。
ホーン・アレンジはテナー・サックスの岡村トモ子さん。
去年彼女が主宰する、女子ばかり19人で構成される
 "たおやめオルケスタ" のライヴを初めて拝見したけど、
これが恰好良くて楽しくてもう。
僕は管楽器フェチなもんで、ちょっと悶絶モノだった。

そんなゲスト陣と、既発表曲「泣き虫ファイター」の
高橋久美子(ex. チャットモンチー)、「サヨナラ バイバイ マルチーズ」
のElvis Woodstock(a.k.a. リリー・フランキー)という
作詞での参加。

多くの人たちが、カランコロンの音楽をもっと楽しいものに
するために、それぞれの得意分野で腕を揮ってくれている。

あ、書き忘れるところだったけど、アートワークでの
ファンタジスタ歌磨呂さんにも大きな拍手を!


これを書きながらアルバム『We are 東京カランコロン』を
改めて頭からフルで聴いていたんだけど、その豊富なアイディアと
サウンドや言葉の新鮮さに改めて感心していたところ。
本当に良いアルバムだなー。
誇らしいなー。

でも、その感動やら感心やらも、13トラック目で大爆笑して、
チャラにしちゃうのが、彼ららしさ。
まったくもう。

そして、まだ1枚目。
ここから伝説はスタートするんだよ。
みんなで目撃、しましょ。