2020年1月5日日曜日

music 2019


僕は、たくさんの音楽を聴き、尋常ではない数の映画を観て、
そこそこ本を読み、芝居や絵画展にもときどき足を運ぶ。

それらの行動を「インプット」と呼ぶ方がいるけど、その考え方、
ちょっとさもしいし悲しく感じる。無理に詰め込んでるわけじゃない。
じゃあ、なんですか?と問われたときに、とっさに出たのが
「自由研究」というワードだった。
毎日自由研究しているようなもんだ、確かに。

こういう態度は、僕が大瀧詠一さんにとても影響されているせいなのかもしれない。
自由研究はするんだけど、研究発表が目的ではない、という側面も含めて。

何かを観たり聴いたりしたら、その度に雑感をメモする。
そうしないとすぐ忘れてしまうから。
でも、膨大な数の映画や音楽の感想をメモしていると、
それだけで僕の1日は終わってしまう。
だから、ツイッターもあまり書き込まなくなったし、このブログなんて
2年くらい放置されている。

でもただメモ書いてそのままだと、本当に忘れてしまう50代後半の脳味噌。
忘れないように、1年に1回くらいメモを読み返して自分を振り返ってみようかと。
2019年、どんなことにワクワクしたのか、自分で書いたメモを元に思い出してみよう。

サブスクリプション・サーヴィスを筆頭に、フィジカルを購入することなく、
合法的に音楽を楽しめる環境が整ってきて、僕もそれらの恩恵を受けている。
でも僕の音楽鑑賞は、今だに「音楽を購入する」ことが基本。
2019年はアルバムにして800枚くらい購入した。
所有しない音源でサブスクなどで聴いたのは、100枚に満たないと思う。
そんな2019年、wilsonic竹内はどんな音楽に注目し、誰を調べていたのか、
を時系列で。

<1月>
昨年12月に購入したBrandi Carlileの『by the way, I forgive you』が
とんでもなく良くて(アルバム・タイトルもね)、それまで1枚くらいしか
持っていなかった彼女のアルバムを、全種類集める勢いで追いかける。
韓国のSay Sue MeとオランダのYorick Van Nordenを初めて聴き、
ちょっとワクワクする。

<2月>
Andrew Combsの『5 Covers & a Song』という、その名の通り
カヴァー5曲とオリジナル1曲で構成されたアルバムをBandcampでDL。
1曲目のLoudon Wainwright IIIのカヴァー「4 × 10」がとんでもなく良くて、
オリジナルを聴いたらそこまで良くない。Andrew Combsを信用することにする。

<3月>
Hand HabitsとかYoung Doctors In Loveとか、Stella DonnellyとかWestkust
とか、女性ヴォーカルものが充実していて毎日楽しかった。
Westkustって、全部スピッツの2nd『名前をつけてやる』みたい。
Tredici BacciっていうNYのオーケストラル・ポップを奏でるバンド?の
『La Fine Del Futuro』はバカラック好きを刺激する内容だった。

<4月>
American Footballの3rdアルバムを聴き、あまりの音の良さにビビる。
33回転1枚もののアナログを買ったのだが、45回転の12吋2枚組もあると知り、
慌てて購入。さらにヤバイ音にのけぞる。
ついでにちゃんと聴いていなかった1stと2ndも購入。
2019年の個人ベスト、Weyes Blood『Titanic Rising』に耽溺。
Rayland Baxterに気づいたのもこの月だった。

<5月>
なんとなく購入したDevotchkaの2018年のアルバム『This Night Falls Forever』が
フツーのロックでは鳴らないような楽器が予想外で気持ちよく、旧作を集めまくる。
Molly Tuttleの『When You're Ready』が好きで何度も聴いていたのもこの頃。

<6月>
I Was A Kingというノルウェイのバンドの新作『Slow Century』(プロデュースは
TFCのNorman Blake)を聴き、とっても好みだったので旧作を集めまくる。
デビューからずっと好きなKishi Bashiの新作『Omoiyari』の1曲目に悶絶。
森山直太朗バンドのヴァイオリン、須原杏さんに「Kishi Bashi聴きました?」って
訊ねたら「大好き!」って返ってきたの最高。
忘れちゃいけないOhtis『Curve of Earth』。

<7月>
Phil Wainmanという、70年代から80年代にかけて活躍したUKのプロデューサーに
急に興味を持ち、音源を集めてみる。SweetやBay City Rollers、Mudなどで
知られる彼だが、Boomtown Ratsの「I Don't Like Mondays」や
XTC「Ten Feet Tall」もプロデュース作品と知ると、気になっちゃって。

<8月>
プロデュースにEthan Gruskaが関わっているということで購入した
Bad Booksの3rdアルバム『III』、収録されている曲がことごとく良くて、
一体どういうことだと慌てふためく。
Kevin DevineというSSWと、Manchester OrchestraというバンドのAndy Hullが
首謀者だと知り、とりあえずBad Booksの旧作と、Kevin Devineのこれまでの
作品とManchester Orchestraのカタログを発注。
どうやら俺の好みはKevin Devineの作風のようで、彼の更に過去のバンド、
Miracle of 86の作品なども取り寄せる。

<9月>
引き続きKevin Devine関連作品を調べては聴き続ける日々。
Pernice Brothers、Chris Von Sneidernらの久々の新譜に喜ぶ。
元Oranjulyの人がやっているParksというユニットの『Parks』が
めっちゃポップでこれも嬉しい帰還。
今回もジャケが酷いAlex Cameron『Miami Memory』(タイトルもどうなの?)、
内容は前作同様素晴らしくて安心。2019年、Jonathan Radoのプロデュース作品、
充実しまくり。

<10月>
Big Thiefの今年2枚目のアルバム『Two Hands』のレアな音作り、手触りに感動。
Angel Olsenの『All Mirrors』におけるJherek Bischoffのアレンジに惚れぼれ。
Clairo待望のアルバム『Immunity』の完璧さはどうだ。ロスタムのプロデュース、
半数の曲をShawn Everettがミックス、Daniel Haimも参加。嫌いなわけがない。
と、やはり女性ヴォーカルものに充実作多し。

<11月>
Jeff Lynne's ELO『From Out Of Nowhere』の、変わらぬ豊潤なメロディにため息。
Young Guvの『I & II』のポップな衝撃は、Lemon Twigsの登場時の感動に匹敵。
昨年末にとんでもない傑作アルバムをリリースしたThe Last Detailの
リカット7inch「Places」が嬉しい。超絶傑作シャッフル木漏れ日ポップにして
ロジャニコ的転調をかます名曲!

<12月>
Tower渋谷で面出しされていたCity and Colourの『A Pill For Loneliness』を、
なんの期待もなく聴いていると、めっちゃ好みだということが判明。
10年以上前に1枚買ったことがあり、それ以来全然気にしていなかった自分を責める。
カナダでは出せば1位の圧倒的な存在感。例によって旧譜を集めまくる。
自分の10年前くらいのTwitterを読み返すのが楽しくて、最近すっかり忘れていた
June & The Exit Woundsとか、Kevin TihistaとかThe Grapes of Wrathとか
聴き返してみる。あぁ俺は好みが全然変わらないなあ、と改めて。

駆け足だけど、こんな音楽生活を送ってきたのだな。
自分用メモなのでリンクとか貼りません。