2012年8月14日火曜日

now I am a moviegoer


以下、2012年の7月上旬に下書きして、そのまま放置していた
ブログを本日加筆訂正してアップします。

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前々回のエントリで、
「仕事が忙しくないときは昼間から映画観たり」
なんて書いたけど、
実は40年以上、映画には特に興味なかった。

子どもの頃、親に連れて行ってもらった記憶は
いくつかのゴジラ、ガメラ程度だろうか?

テレビで放映される映画はいくつか観て、
激しく揺さぶられたことがあったけど、
音楽のようにさらに深く探究したりすることはなかった。

あー、20代の頃ジョン・ヒューズものとかにちょっと
ハマりかけたことがあったけど、長続きはしなかったなー。

そんな僕がですよ、去年から週に1回は映画館で
映画を観る、ということを義務付けていて、
厳密にいうと週に1回は行けないこともあるんだけど
ほぼそのくらいのペース(もしくはそれ以上)で続けている。

きっかけはJon Brion
彼が音楽を手掛ける一連の映画をDVD等で観て、
映画と音楽の密接な関わりに気付いたり、
触れることにより、現代アメリカ映画の面白さに
気付き始めたりするわけだ。

で、ジョンが関わった映画は劇場で観るようにしよう、
と思って、『ハッカビーズ』とか観たりし始めたんだけど、
とどめは『脳内ニューヨーク』かな。

僕はこれが日本で公開されたとき、一週間で2回観た。
この映画で、映画の面白さと音楽の素晴らしさと、
フィリップ・シーモア・ホフマンという俳優に改めて唸り、
ミシェル・ウィリアムスという女優に惚れてしまうのだ。

それが2009年の11月。
翌2010年は、気になる映画があったら、
時間を見つけては映画館に足を運ぶ
ようになっていた。月に2本くらいの頻度かな?
で、2011年、前述のように週に1回は映画館に行こう、
という目標を立て、多分年間で60本くらいは観たと思う。
ただ、その他何を観たかとかメモしなかったんであまり覚えていない。

なので、今年は3段階くらいで評価するメモも始めてみた。
そのメモによると、今年上半期に映画館で観た映画は、
全部で42本。月に平均7本。健闘しております。
その中で今のところのベストは、
今年に入って、2回観たのはこの映画だけ。

『さあ帰ろう、ペダルをこいで』は、映画としては大作でもないし、
なんていうか、まあ地味なほうでしょう。
でもね、なんか最近こういう「家族」とか「無償の愛」
とかに弱いんですよ。
そして、時代や社会に翻弄される人々の、
どうしようもない運命、とか。


あと、主演のミキ・マノイロヴィッチが本当に上手い
(昨年リヴァイヴァル上映された『アンダーグラウンド』で、
これまた長い旅がスタートするのですが、それはまた別の機会に)。

でもですね。
やっぱ付け焼刃の映画ファンだから、まだまだ全然ダメ。
知識全然ないし、映画の観方よくわかってない。
『スターウォーズ』も『マトリックス』も観たことないし、
フェリーニもヒッチコックも黒澤も1作も体験しておりません。
これからひたすら修行だなー。

ただ、今は映画を観るのが純粋に楽しい。
まだまだすごい映画、面白い映画、恐ろしい映画が
いっぱい待ち構えているかと思うと、身震いする。

音楽にしても小説にしても、ひとりの人間が一生の
うちに体験出来る数は限られている。
だからこそその人なりの好みや指向があって、
それによる選択がまたその人を作っていく。
これまで触れてきた多くの音楽や文学によって今の僕が作られた。

そして、新たに僕の世界を構築するコンテンツとして、映画が加わった。
今までほぼ未体験だった映画の世界が、40代後半の男の視界に、
新しい色を着けてくれる。

要するに。
久々に音楽以外の趣味が出来たんで嬉しい、という、
ただそれだけの今回のブログでした。

wilsonic works 22


前回のエントリのときはまだ制作途中だったが、
それから2ヶ月強、東京カランコロンのメジャー・デビュー・ミニアルバム、
『ゆらめき☆ロマンティック』が8月15日の発売日を迎える。

なんでもお盆休みの物流の都合とかで、通常は発売日前日に
店頭に商品が並ぶものだが、早いところでは昨日13日に
超フライング・ゲット出来る状態になっていた。
先ほど僕も、7階で大展開していただいている、タワー新宿にて
ゲットしてきたばかり。

このミニアルバム、男女ツイン・ヴォーカルを擁する彼らの、
女性ヴォーカルの「せんせい」をフィーチュアした楽曲を中心に
組まれた全5曲。
プロデュースに関わった自分が云うのもなんですが、
その密度たるや半端ないっす。

1曲目「泣き虫ファイター」は、元チャットモンチーの高橋久美子さんが
初めて他者に歌詞を提供したことも話題の超キャッチーな失恋?ソング。
せんせいのヴォーカル、今までとはひと味違う新しい表情が新鮮!
これまで全ての楽曲をいちろー及びメンバーだけで作ってきた彼らが、
なぜ高橋さんに作詞を依頼したのか、などが、高橋さんとの対談形式で
語られているナタリーの記事はこちら
そして「泣き虫ファイター」のMVはこちら
楽しい振り付けはなんとラッキィ池田さん!

2曲目「夏Part1」と3曲目「ウキウキエブリデイ」の作詞は、共にせんせい。
これまでほぼ全ての作詞を、男性ヴォーカル&ギターの
「いちろー」が手がけてきた東京カランコロンだが、
今回は作詞にヴォーカルにせんせい大フィーチュア。
いちろーの強くて印象的な詞に対し、せんせいの詞はMC等の
彼女のイメージと同様の、ふわふわしたドリーミーな世界観に溢れている。

4曲目にはアニメ「ちびまる子ちゃん」主題歌の、「うれしい予感」
(オリジナルは渡辺満里奈)のカヴァーを収録。
ご存知の方はご存知のように、僕は相当なナイアガラ・マニア
だったので、勘ぐられる方もいらっしゃるかもしれませんが、
このセレクトは僕ではありません(笑)。
せんせいが「ちびまる子ちゃん」の大ファンだということで、
彼女がこの曲をピックアップしてきた、というのが真相。
オリジナルとは似ても似つかぬシューゲイザー的アレンジにより、
(といいながら根底に流れる共通するものはある)、
これはこれで相当面白いヴァージョンになったと思う。

5曲目「ララララ」はいちろーの作詞。
ヴォーカルもメインのラインを主にいちろーが歌っている。
彼の曲作りに対するスタンスが、彼らしい語り口で綴られている。
今回、彼の詞は5曲中この1曲だけだから、余計にいちろーの
キャラクターが浮き彫りになっているのかもしれない。

という内容。
最後まで聴くとまた最初から聴きたくなる、そんな5曲の流れ。


メジャー・デビューが決まり、どういうコンセプトで
リリースして行くのか、をコンセプチュアルに考え、
その戦略に沿って曲作りを始め、練り上げて行く。
その瞬間瞬間に立ち会って彼らを見続けてきているわけだが、
彼らがすごい速さで成長していることを実感するここ数ヶ月だった。

いろんなラッキーやミラクルを呼び込み、周りの人を
ぐいぐい巻き込んで行く勢いたるやもう。
アラフィフの僕にはとうてい真似できない反射神経と
吸収力、そして体力。感嘆ものです。

彼らのその急成長&努力が遺憾なく封じ込められた
『ゆらめき☆ロマンティック』。
ぜひとも手に取って、聴いてみてください。


なお、素晴らしいアートワークは、ゆずやSEKAI NO OWARI
などの作品で知られるファンタジスタ歌磨呂さん。
タニザワトモフミ『何重人格』も彼の仕事。
とにかくアイディアの宝庫。
今回のジャケット写真、アーティスト写真、これは合成では
ありません。どうやって撮ったのか推測するのもまた一興かと。



あと、東京カランコロンはCDも素晴らしいけどライヴがまた
すごくいいと評判なので、音が気に入った人はぜひとも
彼らのステージを体験してほしい。
9月12日に渋谷クアトロにてワンマンのチケット一般発売は8月18日より。
ソールドアウト必至なので、早めのゲットをお勧めします。
ワンマン含む今後のライヴの詳細はこちら



そして。

僕は何より彼らの上昇志向、貪欲さが大好きで。
インタヴューなどを読んでみるとおわかりのように、
彼らは売れたいとためらいもなく云いきり、そのために
いろんなことにチャレンジしたい、テレビにもいっぱい
出たい、と云う。
だから彼らはメジャーに行き、さまざまな戦略を考え、
やりたいことやるべきことを具現化していく。

しっかりとした骨格の音楽を作った上で考える
戦略だから、決して間違わない。
実に頼もしい。

こうなったらもう、バカみたいに売れてもらわないと。
いやほんとに。

そのためのお手伝い、これからもしっかりやらせていただく所存。
あーもう、悪い予感のかけらもない。