2020年の音楽リスナーとしての日々を時系列に。
<1月>
2019年夏にリリースされていたアイルランドのwhenyoungというバンドにハマる。サウンドはちと好みから外れる部分もあるのだが、全曲何かしらフックの
あるメロディと、女声の高音の魅力に参った。
エリン・モランのソロ・プロジェクト、A Girl Called Eddyの2ndアルバムが
実に16年ぶりにリリースされて、しかもその内容が素晴らしいときたもんだ。
この名義では16年ぶりではあるけど、エリン嬢は2018年に男女デュオThe Last Detailの
メンバーとしてこれまた名盤をドロップしているので、久々感は少ない。
それにしても、The Last Detailの素晴らしさは専ら男性メンバーであるところの
Fuguことメディ・ザナドが担っているとばかり思っていたので、この2nd『Been Around』
の完成度には驚いた。
1月下旬はAndy Shaufの2nd『Neon Skyline』に首ったけ。彼の過去作含め、
毎日何回も聴いていた。
<2月>
初頭にはEthan Gruskaのこれまた2nd『En Grade』が。Phoebe Bridgersや
Blake Millsが参加したり、この界隈この人脈の切磋琢磨充実具合どうなの?
The Starsのベスト盤『LaGuardia』がとても良くて、過去のオリジナル・アルバムを
順に聴き直す。
Christopher Hollandの新作『Golden Hour』が2019年に出ていたことを知り、
慌てて購入。やっぱこの人はハズレがなくて、これまた過去作をまとめて聴く。
そしたらDiscogsで名盤『Brother Sun Sister Moon』の前に『hoopatasso』という
プロトタイプが出ていたことを知り、これも入手する。少し収録曲が違うのだ。
<3月>
Margot & The Nuclear So and So'sというバンドが前から好きだったが、
Richard Edwards以外のメンバーに関しては知識がなかった。
Heidi Lynne Gluckはベース&キーボードで、2000年代前半には
Juliana Hatfieldのバンド、Some Girlsのメンバーだった人。
彼女の2016年にリリースした唯一のソロ・アルバム『Pony Show』が
好みのど真ん中ストレートでびっくりして調べてみる。
同じく前から好きなLily & The Madeleineにも参加していたり、なんかいろいろやっている。
Some Girls含め、彼女が関わっている音源を片っぱしからチェック。
しかし、2016年以降の音源が見当たらないのが切ない。請う新作。
あと、Vulfpeck周辺のRyan Lerman『Noisy Feelings』、ブリストルの
SSW、Fenne Lily『On Hold』とかをよく聴いていた。
<4月>
最初の緊急事態宣言でステイ・ホームな日々、
音楽と読書とアマゾン・プライム(映画)で過ごした。
ロバート・ヒルバーン著『ポール・サイモン 音楽と人生を語る』(奥田祐士訳)を
読みながら、改めてポール・サイモンのソロ・キャリアをじっくり。
能地祐子さん作成のプレイリストも素晴らしく、充実の日々。
前にも何曲かチェックしていたThe Foreign Filmsを、ちゃんと認識。
カナダのビートルズなんて呼ばれてるThe NinesのメンバーでもあるBill Mojorosのユニット。
2020年に最新作『Ocean Moon』がリリースされたが、2018年のアナログ3枚組大作
『The Record Collector』がパッケージも内容もスゲー。
人生で初めてPink Floydの『The Wall』をちゃんと頭から最後まで聴いたステイ・ホーム。
<5月>
Hazel Englishの1stアルバム『Wake Up!』が素晴らしい。
Justin RaisenとBen H. Allenという二人のプロデューサーの曲が
交互に配置されていたり、全曲に共作者がいることが、
曲のヴァリエイションを豊かにしているようだ。
K. L. Mazlin(Kane Mazlin)というSSWを知り、彼の所属する
False Peak Recordsというオーストラリアのインディ・レーベルを知る。
Bandcampで購入したら、本人からサンキュー・メールが届き、
少しやりとりをした。やっぱB4やBB5、ゾンビーズあたりが好きだそうで。
レーベル・オーナーの Remy BoccalatteとMazlinのユニット、
Spring Skierとか、Mazlinが以前やっていたHungry Kids in Hungary、
Sans Parentsといったバンドの音もチェック。
ソロ名義はまだ3曲しか出ていないけど、肩の力の抜けたポップスたち。
アルバム、待ってます。
<6月>
Sondre Lercheの『Patience』とPhoebe Bridgersの『Punisher』を
飽きることなく交互に聴いていた。
The Explorers Clubがアルバム2枚を同時発売。
オリジナル曲の『The Explorers Club』とカヴァー曲の『To Sing and Be Born Again』。
オリジナル曲のほうを何回も聴いた。
Muzz、Emily Rockerts、Becca Mancari、Boniface、Jonathan Wilsonなどなど豊作。
<7月>
ネットでNicole Atkinsの「Captain」って曲にウットリしてしまい、
アルバム『Italian Ice』購入。過去作品も改めて聴き返してみて、
このSSWのユニークさを認識する。そして2007年の『Neptune City』が
いちばん好きだという結論。しかし「Captain」は曲として完璧。
Mr Ben and the Bensというバンドを知る。新作『Life Drawing』が
信頼のBella Unionからのリリースで、内容も最高だった。
過去作品を全て購入して、片っ端から聴きまくる。
カナダのCailey Thomasもこの月に発見。
8年で18曲しか発表していない寡作家。そして全て良い曲。
<8月>
2005年に出た1stアルバム『Fear Not Distant Lover』で好感を持った
Peasantというアーティストを久々に思い出し、最近リリース
してんのかな、と検索したら、2015年に死んでた。
持っているアルバムを聴き返し、死後にリリースされたアルバムを
オーダーする。
Hello Foeverの奇跡の1stアルバムと、The Lemon Twigsの
『Songs For The Geberal Public』に心躍る真夏の日々。
Whitneyのカヴァー集『Candid』は清涼剤。
このアルバムを聴いてからThe Roches再評価が俺内で進行中。
<9月>
ナッシュヴィルのSSW、Molly Pardenを知り、2011年のアルバムから
最新作までをチェックする。なんでこんなに良いメロディばかりなの?
エレファント6周辺は大好物なのに、今までNana Grizolを知らなかった。
知って即、全アルバムを購入。2008年1stから最高ですよ。
Dent Mayの『Late Checkout』はジャケットのアートワークも含め、
大好きなアルバム。ララミーンズ入ってる「Sea Salt & Caramel」最高!
魅惑のファルセット・ヴォイス、Holy Hiveもよく聴いた。
<10月>
愛するウェールズのバンド、El Goodo待望の4thアルバム『Zombie』が
またしても期待以上の内容で悶絶。しかも2枚目から3枚目は9年も
待たされたけど、今回は3年のインターヴァル。次もこのペースでお願いします!
The Coralは好きで全作品所有している(はず)なのだが、本体以外の
活動を全くチェックしていなかった。Paul Molloyのソロ作『The Fifth Dandelion』
がめっちゃ良いハーモニー・ポップ満載だったので、James Skellyのソロ、
Ian SkellyとPaul MolloyによるSerpent Powerなどをチェック。
あと、Photo Ops新作『Pure at Heart』がタイトルそのままのピュアな曲に
溢れていて何回も聴いた。
Another Michaelに注目。
Asheの「Save Myself」に出会う(この曲が2020年の俺ベスト・ソング)。
京平さんの訃報に愕然とするが、曲を聴いて追悼できたのは11月に入ってからだった。
<11月>
Steady Holidayの「Living Life」がグサグサと刺さって、何度もリピート。
過去作やDreさんが前にやっていたMiracle Daysの2013年のアルバムとかも掘る。
2016年の『Under The Influence』は当時買っていて、褒めているメモ発見。
すっかり忘れてた。
映画『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』に深く感銘を受け、
自分史上初のザ・バンド・ブーム到来。いやアルバムは全部持っていたんですよ。
でも、ちょっと自分の好みとは違うんじゃないか、と思っていた。
映画観て、ロビー・ロバートソン(奥方も)とメンバーのことが好きに
なって、敬遠していたロビーの自伝も購入して、読みながら
アルバムをじっくり聴き返す日々を送る。
いやー、いいバンドだわ。もっと早く気づけよ俺。
<12月>
Will BirchによるNick Loweの評伝『恋するふたり ニック・ロウの人生と音楽』を
読み始めて、Brinsley Schwarz〜ソロの作品を時系列に沿って聴いてみる。
ニック・ロウは結構揃えていると思っていたが、カタログの半分くらいしか
持っていないことが判明。この期にひと通り購入。
カナダのSSW、Haley Blaisの最新作『Below The Salt』が極上に良くて、
2014年以降の過去作品を辿る。2018年にプロデューサーが入って急激に
作品力が上がるのが手にとるようにわかる。この先が楽しみだ。
The Bird and the Beeの「You and I at Christmas Time」は今年のクリスマス・ソングの
チャンピオン! 収録アルバム『Put Up The Light』はSiaの2018年作
『Everyday is Christmas』に匹敵するくらい充実したホリデイ・アルバム。
Calexicoのホリデイ・アルバム『Seasonal Shift』は12月30日に届いた。