2012年12月31日月曜日

wilsonic 2012 annual report


2012年も残すところあと少し。
今日は今年のwilsonic竹内の活動を総括ということで。

まず、本業に関して。

その壱:今年リリースされた、竹内が関わった作品
(括弧内は役割&肩書き)

02月 スピッツ album『おるたな』(director)
04月 東京カランコロン single「×ゲーム」(producer)
04月 タニザワトモフミ album『何重人格』(producer)
05月 SAKANAMON mini album 『泡沫ノンフィクション』(producer)
08月 東京カランコロン mini album 『ゆらめき☆ロマンティック』(producer)
09月 99RadioService single「BYE × BYE」(producer)
11月 東京カランコロン mini album 『きらめき☆ドラマティック』(producer)
11月 カルマセーキ album 『鍵は開けてある』(armchair directive)
12月 SAKANAMON album 『na』(producer)

2011年がシングル3枚、ミニアルバム1枚、DVD2種しか
リリースされていないことを考えると、倍以上の仕事量。

そして、年間で6アーティストの作品に関わるのは、
メーカー・ディレクターをしていた頃でもあまり無くて、
確か1996年〜97年あたりがそうだったような気がする。
スピッツ、氷室京介、THE GROOVERS、HEATWAVE、
rosy、そして吉川晃司かな? 6アーティスト。

まあ、基本的にジャケットやMVなどにはタッチせず、
音作りのみに関与するパターンが増えてきたので、
メーカー勤務時代の毎日の煩雑さと比べると
今のほうが断然スッキリしていて忙しさの種類が
違うんですけどね。

来年もこのくらいの量の仕事をしたいものです。
もちろん、質をキープもしくはアップさせて!


その弐:今年購入した音楽

洋楽:1,143アイテム
邦楽:180アイテム

5年くらい前に、あまりにCDを買い過ぎて聴くスピードが
追いつかなくなり、反省したことがある。
当時は年間1500枚くらい買っていた。そりゃ聴けないよ。

それ以降、少しずつ買う数を減らして、
昨年は700アイテムを切るところまで行けたんだが、
今年はまた購買欲が向上してしまった。

増えた原因は、SNSとBandcampだと思われる。
知人や信頼する人のツイートで気になってすぐ購入、
とか、Bandcampなんかだと試聴して良ければすぐ
Paypalで買えちゃうから、ついつい・・・、というパターン。
結局年末になっても聴けていない音楽がアルバムに
換算して100枚くらいあるし、観ていない音楽DVD作品も
20アイテムくらいあるはず。
再び反省ですなー。

で、上記Bandcamp等の利用増により、
2011年と比べると、割合的にはフィジカル(Vinyl、CD)が減り、
ダウンロードの比率が結構上がっている。。



その参:今年行ったライヴ、イヴェント数とアーティスト数

ライヴ・イヴェント:180
アーティスト数(のべ):682

これはまあまあ自慢してもいい数だと思う。

傾向としては音源とは逆に海外アーティストよりも
日本のアーティストのライヴを観る方が、2:8くらいの
割合だった、という感じかな?

来年は海外アーティストの割合を少し増やしたい。
同時に、日本の大物アーティストのステージに
多く接したいと思った。


その肆:今年観た映画(映画館で観たもの)

若い人と話していて、「最近どんな映画観た?」と訊くと、
レンタルしたDVDで観た映画のことを話す人が多いのに驚く。

映画を観る、というのは自宅での鑑賞ではなく、映画館で観る、
という意味だと思うのは、生まれたときに家庭に一般的に
ヴィデオというものが無かった世代だけの感覚なのか?

家で観るのは「ヴィデオ(DVD, Blu-ray)もしくはテレビで映画を観る」と
形容するのではないか?

ま、いいんですけど。

今年僕が映画館で観た映画の総本数は、113本

今年の頭に週に1本以上は映画を観るという目標を
立てていたのだが、軽くそれを上回った。
ツイッターで映画に詳しい方のつぶやきを参考に、
今まで興味の無かったジャンルにも踏み込むように
してみた。

8割以上が洋画というのは、今の平均的な日本の
映画ファンの真逆なのでしょうね。

いちばん多く通った映画館は渋谷のヒューマントラストシネマで、16回。
次点が新宿武蔵野館の14回、3位は同じく新宿バルト9でした。

以下、2012年竹内的良かった映画12選(鑑賞順)。

『ヒミズ』
『ドラゴンタトゥーの女』
『おとなのけんか』
『ミッドナイト・イン・パリ』
『さあ帰ろう、ペダルをこいで』
『サニー 永遠の仲間たち』
『灼熱の魂』
『コロンビアーナ』
『アルゴ』
『人生の特等席』
『007 スカイフォール』
『レ・ミゼラブル』

番外編
『山下達郎 presents Theater Live Performance 1984-2012』

各映画に関して書き始めるといつまでたっても終わらないと
思われるので、コメントなし。

あ、そうそう。渋谷シアターNの閉館、非常に残念。
もっと早く映画好きになって、もっといろいろ教えて
もらえば良かった。

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以上、取り急ぎ2012年の年間リポートということで。

SNSとか映画熱とかのせいで、読書量が
劇的に減ってしまったのが唯一の悔やみ。
2013年は読書熱復活、と行きたいものです。

それでは、良いお年を。
2013年もよろしくお願いします。










2012年12月9日日曜日

wilsonic works 27


3週にわたり4作品がリリースされる "タケウチ冬の盤祭り"
の掉尾を飾るは、これがメジャー・デビュー作品となる、
SAKANAMON『na』
収録されている10曲のうち、9曲をプロデュースした。

今回、アルバム発売に合わせてタワーレコードで配布されている
フライヤー用に、タワレコのバイヤーさんやラジオDJ、編集者等に
混じって僕もコメントを寄せている。
その文章をここに転載してみる。

多くのヒラメキとちりばめられた仕掛け。
エモーションと緻密さの同居。
どんなに難解な言葉を使っても人懐こい表情の曲たち。
SAKANAMONの音楽は、一種の「発明」だと思う。

ここにあるいくつかのタームは、僕が音楽に対するに
当たり、非常に大切にしているものばかり。

まず、「ヒラメキ」と「仕掛け」について。

前者は曲を作り、アレンジし、演奏し歌唱するときの、
とっかかりとなるもの。
後者は曲を興味深く聴かせるための手段。
前者が右脳的なるもので、後者が左脳的、という云い方も出来る。

そして、この「ヒラメキ」こそが「発明」なのだ。

音楽は、発明。
発明しなきゃ音楽じゃない。

今回、たまたまSAKANAMONに向けて「発明」という
言葉を使ったけど、多くの優秀なミュージシャンは、
多かれ少なかれ発明し続けているものだ。
そして、発明しなくなるとその音楽は輝きを失う。

僕ら裏方は、そういう発明の才が無いから裏方をやっているのだ(笑)。

ミュージシャンが小さな発明をしたのを見逃さず、
それを商業品として世に送り出すための「仕掛け」
などを考えて、アシストをする。
それが僕の仕事。

SAKANAMONのシンガーであり、ソングライターである
藤森元生の「ヒラメキ」は、時に天才的だ。
どこからそんな着想を得るのかさっぱりわからないが、
やけに気になるモチーフや言葉を持ってくる。

最大公約数のような音楽の氾濫が、現在の音楽販売不振の
一端を担ったと思っている僕は、こういう「はみ出した」才能が
面白くてしょうがない。


次。「人懐こい表情の曲」って何だ?

これも最近ようやく気付いたんだが、僕はどうやら
シリアス(っぽい)曲やアーティストが苦手みたい。
シリアス過ぎて笑えるくらいだったらまだいいんだけど
(今年1回だけそういうアーティストをライヴハウスで
観て、周りの人が熱心に聴いている中、僕は笑いを
堪えるのに必死だったw)。

シリアス(っぽい)音楽は、とにかく窮屈。

なんていうか、解釈の自由度が低いのが苦手で。
曲を聴いて、「俺はこう思う」「私はこう感じた」と、
受け取る側によっていろんな解釈が出来る音楽が好きだ。
あと、同じ曲なのに聴く度に違う感情を揺さぶられる、
とかもうそういうの最高の音楽だと思う。

聴いただけではもちろん、歌詞カードを見ても意味が
わかりにくい歌詞のSAKANAMONの音楽は、難しい言葉を
単に難しく響かせようとしてはいない。
韻を踏んだりする言葉遊びや様々なアレンジの方法で、
歌詞自体の意味ではなく、イメージを植え付ける。
時に開放的に、時に攻撃的に、時に情けなく。

歌声のバランス&ヴァリエイションも重要。
時に無機質、時にエモーショナル、時にアホらしく。

そういった工夫や組み合わせ、加えて藤森元生の持つ
天然成分(笑)の結果、SAKANAMONの音楽は
とても「人懐こく」僕の耳に忍び寄ってくる。

実はこの「天然成分」がいちばん重要だったりするんだけどね。
やってる本人が面白がっていれば、自ずと曲に表情は生まれる。


『na』は、5日に発売されて、売れ行きも順調だと聞く。
きっと彼らの音楽は、それ自身が持つ人懐こさで、
多くの人の生活の「肴」となっていくことだろう。

ということで、アルバム『na』の1曲目を飾る、とびきり
キャッチーでいて、最後に「そのオチかい!」とツッコミを
入れたくなる曲「マジックアワー」のMV&メイキング映像は
こちら

前作ミニアルバム『泡沫ノンフィクション』にも『na』にも
収録されている「カタハマリズム」のMVはこちら

そして、アルバム『na』収録曲で唯一僕が関わっていない
曲「ミュージックプランクトン」のMVはこちら

エンジニアも違うので一概には云えないけど、
「ミュージックプランクトン」と「カタハマリズム」を
聴き比べると、竹内がどういうスタンスで音に
向き合っているか、少しわかっていただけるはず。
ま、同業者向けのお話かもしれませんが。
特にヴォーカルの質感に顕著に出ていますね。
YouTubeではなく、CDで聴くとさらにわかるはず。


p.s.
今年に入ってからのSAKANAMONは、観る度に
ライヴ・パフォーマンスの完成度が上がってきている。
音源を聴いて興味を持たれた方は、是非とも一度、
ライヴをご覧いただきたい。
また、以前観たことがある方も、是非最新の彼らの
ステージをご覧になってほしい。
ライヴ情報はこちらを参照ください。