2011年10月17日月曜日

wilsonic works 15: Tokyo Karankoron's 1st single


10月19日発売の東京カランコロンのシングル、
「少女ジャンプ」をプロデュースしました。

東京カランコロンの名前を知ったのは、
どこかのライヴハウスでもらったチラシを見て。

バンド名だけでOKだと思った。

語呂が良くてちょっと口にしたくなるバンド名、
僕はこれだけで興味持ちます。
ライヴ観に行きます。

それが去年の初めのころ。
で、ライヴ情報とかチェックして機会があったら観に行こうと
思っていたのに、なんだかんだで調整できず、
結局ようやく彼らのライヴに行けたのは去年の夏くらいか?
まだ、初の全国流通盤『東京カランコロン e.t.』のリリース前だった。

代々木Zher The ZOOでライヴを観て、
そのひらめきに満ちた音楽と圧倒的な演奏力に痺れた。
バンド名から想像していた音を、軽く超えていた。
僕の頭の中に、エレファント6ナゴム」「ブルックリン」とか、
いろんな単語がグルグルと巡っているうちに、あっという間に
ライヴが終わった。

それから何度かライヴに足を運んでは、メンバーとも
少しずつ話をするようになり、そのうちなんか一緒に
できたらいいねー、なんて云っていたら、
一年くらい経ってついにご一緒できた、というわけです。

東京カランコロンについて。
彼らの魅力は、

1. 横並びに似ているバンドが全く見当たらない。
2. 各メンバーのスキルはもちろん、バンドとしての演奏力が半端ない。
3. 男女ヴォーカルを擁するが故の幅の広い音楽性。

などなど、挙げればキリがないんですが、
相当コンセプチュアルに考えられていながら、
基本はとっても肉体的というか、
プリミティヴな部分を大切にしているのが素晴らしい。

彼らのレコーディングにはクリックは存在しないし、
リズムは必ず全員同じブースでせーので録る。
当然音はかぶりまくりなので後からの修正は不可能。

気づいたらスタジオにはプロトゥールスが当たり前にある
時代にバンドを始めていながら、この姿勢。
かといって、勢いのみを重視したジャッジメントはしない。
音源としてのクオリティもしっかり保っている。

すげー。

そんな人たちなので、今回偉そうにプロデューサーとか
クレジットしていただいておりますが、実際はほとんど
やることなかったんですよ。

演奏のディテイルやアレンジの基本はほぼメンバーに
お任せでOKなので、僕はヴォーカルに専念でした。
今回のシングル、1曲目の「少女ジャンプ」はせんせい(女声)、
2曲目の「ぽっかりsweet」はいちろー(男声)がリード。
2曲とも彼らの曲としてはかなり「ウタもの」に寄った作りなので、
それぞれのヴォーカルの魅力がしっかりと引き出せたら、
と思ってディレクションしました。

彼らにとって、初のシングル、「少女ジャンプ」。
明日10月18日は店頭入荷日です。
カップリングにはなんとライヴ・テイク8曲がどどーんと
収録されていて、お値段ぽっきり1000円!
お店で見かけましたら手にとってみてください。

なお、かなり面白い「少女ジャンプ」のMVはこちらです。
ギターのおいたん大フィーチュア(笑)。

p.s. メンバーはおそらく全く直接の影響を受けていないと
思いますし、多分知らないでしょうし、全世界でこんなこと思うの
僕だけかもしれませんが、東京カランコロンの音楽を聴いていると、
ときどきP-MODELのことを、それも『ポプリ』を思い出すのです。
誰かこの気持ちを共有できる方はいらっしゃいませんか???




2011年10月11日火曜日

The Bandana Splits covers Benji Hughes


最近めっきりリアル店舗では洋楽CDを買わなくなってきている。
昨今の円高により、洋楽CDは海外のサイトや
日本のamazonなどで買う方が安くつくことがまずいちばん。

モノによってはタワーレコードが圧倒的に早く入荷することが
あったり、日本盤が本国盤より先行することもあるので、
そういうときは逡巡したりもするけど。

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僕は音楽パッケージを買うとき、なるべくそのアーティストが
活動をする国でプレスされたものを買うようにしている。
なぜかというと、普通テスト・プレスのチェックやジャケットの色校などは
本国のものでしかチェックしないから。

マスタリング以降の工程(プレス、ジャケット印刷)は、
本国でのチェックを済ませたらあとはリリースするそれぞれの
国の裁量にまかせる、ということがほとんどなのです。
(アーティストやマネージメントによっては、各国盤をチェック
する場合もあります)

アナログ盤の時代ほどではないにせよ、プレスするマシンに
よって音は当然変わるし、ジャケットの色味なども結構違う。

だから、なるべくそのアーティストが本来意図したものを、
と考えると、そのアーティストが活動する国の盤を買うのが
正解なんじゃないか、と。

これはまあ、はなはだ一方的で自己満足な考え方なので、
他人にそれを強要するつもりはさらさらありません。

洋楽の日本盤の丁寧な仕事ぶりや、ライナーノーツの重要さなどを
否定するつもりも全くありませんし、僕自身もこれまで日本盤解説には
非常にお世話になってきています。
そして、考えに考えて日本盤を選択することもあります。

それもこれも、音楽がファイルとして管理されていくと
全く別の話になっていくんでしょうけどね。
そこまで行くと別の次元なんで、またの機会にです。

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閑話休題。

お店で洋楽CDをあまり買わなくなっていますが、お店が
プッシュしていなければチェック出来ないものもたくさんあります。

先月タワーレコード新宿店で購入した、The Bandana Splits
アルバムがまさにそう。

ジャケットからして、The PipettesとかThe Schoolみたいな
オールディーズ風味のポップスをやっているのかな?と
期待して購入したのだが、ちょっと違った。

彼女たちがお手本にしているのは、いわゆる "オールディーズ" の
時代より前のジャズ・コーラス、The Andrews Sistersとか
The Chordettesあたり。

っていうことは、昨年みんなの心を奪ったThe Living Sisters
あたりも当然意識してるんでしょうね。それと、Verveから
数年前にデビューしたThe Puppini Sistersとか。

でも、そこはブルックリンのグループだけあって、そこまで
本格的に当時の感じを再現しているわけではない。
プロデュースはApollo SunshineのSam Cohen。
レーベルはDawn Landesで知られる(?)Boy Scout Recordings
このあたりの外枠から見ても、非常に現代的でRAWな作りなのだ。
ノスタルジックというよりは、素朴。

大半の曲が彼女たちのオリジナルで占められているのだが、
カヴァーが2曲収録されている。
1曲は1963年のヒット曲、The Caravelles
「You Don't Have To Be A Baby To Cry」のほぼストレートなカヴァー。

で、もう1曲。
僕をびっくりさせたのは、
Benji Hughesの「All You Gotta Do Is Fall In Love」のカヴァー!

なに一人で盛り上がってんの?、
と疑問符が浮かんでいることでしょう。
全然有名な曲じゃないです(多分)。Benjiさん自身も知る人ぞ知る
アメリカのシンガー・ソングライターです(おそらく)。
ただ、このBenjiさんのオリジナル(このアルバムに収録)は、
"2008年竹内の心のヒット・チャートベスト10" に入るくらいに
大好きな曲でして、いやほんと心底びっくりしたんですよ。

ジャズ・コーラスともオールディーズとも無縁なこの曲を、
なぜ彼女たちはカヴァーしたのでしょう?
特に大きなヒットを示したわけでもないこの曲を。
メンバーやプロデューサーがこの曲大好きだったとか、
そんな理由なのか? いや、それが何よりなんですけどね。

そして彼女たちのこのカヴァーの出来が、
しみじみととってもいいんですよう!

男のしわがれた声で女の子に語りかけるオリジナルはもちろん
最高なんだけど、スウィートな女声3パートで囁きかけられるとまた・・・。
ぶっきらぼうに聴こえた歌詞が、こうも甘く響くとはねー。

この曲をカヴァーした、という事実だけで、僕は彼女たちのことを
多分ずっと忘れないし、それだけの理由で何回も聴きこんだりする。

重要なんですよ、カヴァーって。

っていう話はまたいずれ。

それにしても、レコード屋のバイヤーのプッシュで、
予備知識なくでも買ってしまう、という行動が減ってきたのは、
確実にHMV渋谷店の閉店が理由の筆頭に挙げられる。
あそこと新宿SOUTH店では結構買わされたもんなー。
残念だなー。