2014年11月5日水曜日

wilsonic works 43


READ ALOUDの3rdミニアルバム『アカンサス』が11月5日に発売された。

今回はプロデュースが亀田誠治&バンド、僕は共同プロデューサー及び
ディレクターとして関わった。

よく、プロデューサーとディレクターってどう違うんですか?
という質問を受ける。

日本の音楽界では、プロデューサーは主にサウンド面のプロデュースを
指すことが多く、基本的にアレンジもプロデューサーが行うことが多い。
プロデューサー=音楽家、プレイヤーであるのが普通。

ディレクターは、通常レコード会社、レーベルの社員とか契約社員。
(元)ミュージシャンの場合もあるが、ノンミュージシャンの
人も結構いる。役割はいろいろだが、予算、スケジュールの管理などの
事務的な面と、楽曲のクオリティ・コントロールとか、ジャケット等
ヴィジュアル周りまで関わることが多い(『アカンサス』では
僕はヴィジュアルには関わっていません)。

映画界におけるプロデューサー(制作者)が音楽業界のディレクターで、
映画界のディレクター(監督)が音楽界ではプロデューサーと呼ばれている、
と考えると近いかもしれない。

僕の場合は、アーティストによって関わり方が違うので、
その都度肩書きを使い分けている。
今回のREAD ALOUDのミニアルバムでは、ディレクター的役割が
メインで、予算とスケジュール管理、楽曲の粗選びなどをやった。
アルバム全体の構想段階から関わって、詞やメロディ、
コードや構成などの詰めにも関与したため、共同プロデュースの
クレジットも入れてもらった。

実際のスタジオ作業は基本的に亀田さんとメンバーに全面的にお任せして、
僕はただただ“いい曲”が“もっといい曲”になっていくのを眺めていた。

エンジニアは僕が全幅の信頼を寄せる牧野英司さん。
マスタリングはバーニー・グランドマン前田康司さん。

前作から約1年半。これまでの蓄積と、全国を回るツアーで得た
感触とを上手く消化し、丁寧に時間をかけて作った楽曲たち
(今回はクワタユウキだけではなく、メンバー全員が詞曲作りに
関わっている)。
亀田誠治という新たなパートナーによって引き出された
READ ALOUDのプレイの魅力とクワタのヴォーカル力。
『アカンサス』は、今の充実したREAD ALOUDの姿が
余すことなく詰まっている傑作だ。

初監督映画『FORMA』も話題となった映像作家、坂本あゆみさんが
監督した「君の声を思い出す」のMVはこちら

12月7日には渋谷クラブクアトロでのワンマン・ライヴも決定している。
彼らの音、映像、生演奏にぜひとも触れてほしい。

p.s.

バンド名のREAD ALOUDは、音読、声に出して言う、というような
意味合いだけど、彼らはそれを地で行くというか、何に対しても
真剣に、本気で議論する。遠慮せず、主張する。
メンバー同士でも、他者に対しても。
そして、言ったことには責任を持つ。

事なかれ主義、空気を読む、摩擦を起こさない、なんて若者が
多いこの時代に、彼らのガチンコぶりは新鮮だ。
いつまでもそのREAD ALOUD精神でいてもらいたいし、
僕もなるべくそうありたいと、彼らを見ていて思った次第。